「余談だが、デラ(ダラ)・セダカのアルバム【ガール・フレンド(I'm Your Girl Friend)】の感想を簡単にまとめておこう」
「何か言うことがあるのかい?」
「そうだ」
「それはなんだい?」
「ネットの評価を見るとあまりよろしくない。それはなぜか。星空のエンジェル・クィーンを聞く限り、そんなに悪いと思えない」
「それで?」
「聞いて分かった」
「そもそも、これはどういうアルバムなんだい?」
「音楽は、実は分かれている。星空のエンジェル・クィーンだけが喜多郎。他は父親の人脈で集まったTOTO等のエース演奏家達」
「それで何が問題なんだい?」
「星空のエンジェル・クィーンは上手く音楽とボーカルがマッチしていると思う。特に変には聞こえない。しかし、他の曲は変に聞こえる曲が多い。ボーカルが位負けしている。まあ大物に囲まれて小娘が位負けするのは当然だがね」
「でも、星空のエンジェル・クィーンは上手くまとまっているわけだね?」
「そうだ」
「つまりそこに謎があるわけだね?」
「その通り。なぜ曲によって出来不出来が分かれるのか」
「アルバムそのものの出来はどうなんだい?」
「曲はどれも凄くいい。演奏もいい」
「問題はボーカルが上手く噛み合っていない点だけなんだね」
推理 §
「君の推理は?」
「そうだな。演奏が暴走してボーカルを置いてきぼりにしている感じがある。星空のエンジェル・クィーンに関してはそれがない。むしろ、未熟な娘を押し上げて歌わせているようなところがある。だが、他の曲はプレッシャーを掛けて押しつぶそうとしている感じがする。デラ(ダラ)自身が萎縮してしまっていて、歌を完全に乗りこなせていない感じがある」
「つまりなんだい?」
「デラ(ダラ)を盛り立てようとするよりも、思惑が先に走った感じなのかな、という気もする」
「具体的に不味い点はどこ?」
「2つある。まず、デラ(ダラ)自身が萎縮してストレートに声が出ていない曲があること。それから、ミックスダウンのバランスが良くなく、ボーカルが飾りになってしまっている曲がある」
「星空のエンジェル・クィーンが失敗していない理由は?」
「そもそも、最初から全く別の思惑で全く別の企画としてレコーディングした曲がたまたま同じアルバムに入っただけだろう」