これらの作品群のシリーズ名は「戦争をしない軍艦」となっていましたが、これを「辺境艦隊シリーズ」と変更します。
理由は、シリーズ名を付けたとたん、バタッと売れ行きが落ちたからです。「戦争をしない軍艦」はシリーズ名として良くないと考えました。
なぜ良くないのか。
そもそも、なぜ「戦争をしない軍艦」なのか。
このようなシリーズ名を付けたそもそもの発端は、軍艦の本来の仕事は自国の権益の守護であって、戦争ではないと知ったことです。たとえば、アメリカ海軍が生まれた理由は海賊です。軍艦の真の仕事は、戦争ではない……という認識がそもそも高尾という作品の始まりです。
ですから、企画段階で付けられたタイトルは「戦争をしない軍艦」です。しかし、これでは売れないので日本連邦宇宙軍重巡洋艦『JSS-HC3 高尾』というタイトルになっています。
しかし、シリーズ名として復活させるのなら良かろう……と思いましたがだめだったようです。
なぜダメなのか。
その理由はおそらく、「戦争をしない軍艦」が「仕事をさぼる軍艦」「自国民を守らない軍艦」「屁理屈をこねるサヨク軍艦」「戦わない軍艦」と思われてしまうからでしょう。しかし、これは完全に濡れ衣で、重巡洋艦高尾は日々日本の権益を守るために戦う軍艦です。砲を突きつけて星を奪い取るなど日常茶飯事の辺境宇宙において、海賊や密輸船に発砲するのも日常茶飯事。他の国家を出し抜くために敵に先んじて星に足跡を印すことも任務なら砲を突きつけることも任務。砲を突きつけられた自国の領有する星を守るために盾になることも任務。状況が膠着すれば外交官となって自国に有利になるように交渉することも任務ですが、これは言葉の戦いです。
つまり、もし「戦争をしない軍艦」が「戦わない軍艦」と理解されてしまうならこれは大問題です。全く作品内容と正反対です。「戦争をしない軍艦」は残念ながらシリーズ名から退場して頂くことにしました。
今後とも、「辺境艦隊シリーズ」をよろしくお願いいたします。
「辺境艦隊シリーズ」簡単なまとめ §
辺境にも法が及ぶ。
しかし、辺境の常識は「証拠が残らない事件は無かった事件」だ。
いかに武力を投入して何かを奪ったとしても、証拠さえ残らなければ罪にはならない。
そんな辺境宇宙の日本人にとっても最後の頼みの綱は、日本連邦宇宙軍がただ一隻辺境に配備した重巡洋艦高尾だった。
今日も、日本人を救い、日本の権益を守るために高尾は辺境宙域を奔走する。
日本連邦宇宙軍重巡洋艦『JSS-HC3 高尾』
セルガー星系の権益争奪戦のために、北央連合は艦隊決戦型巡洋艦ポートランドを派遣した。それに対して、日本が送り込めたのは性能で劣る植民地警護用の巡洋艦、高尾だけであった。先に到着した方が有利になる。ポートランド対高尾のスピード競争が始まった。勝つのはどっちだ。
日本連邦宇宙軍重巡洋艦『高尾』2: 討伐!仮面海賊
日本連邦が高尾を辺境に送る前に北央連合に占領されてしまった惑星秋津。住人達は自力で抵抗運動を開始した。一部の有志は仮面を被って正体を隠し、北央連合から物資を奪う海賊になった。惑星秋津解放の命令を受けた高尾は、表向き海賊退治に協力すると見せかけて惑星秋津に乗り込んだ。はたして惑星秋津の日本人達を、人種差別的な北央人達から解放できるのか?
日本連邦宇宙軍重巡洋艦『高尾』3: 百隻対一隻・ツシマ海峡の死闘!
高尾に偽装した海賊船アンナ一世と高尾が偶然同じステーションに入港したことで、高尾の田中艦長は間違って海賊船アンナ一世に乗り込んでしまった。北央連合にだけは大きな権益を渡せない……という奇妙な一致点を見いだして、田中艦長は海賊船アンナ一世を指揮することになる。だが、彼らの前に立ちはだかったのは、北央艦隊百隻だった。はたして海賊船アンナ一世は百隻を突破して目的地の惑星ミラクル・ジャイアンツ3に到着出来るのか?
その後は……
実は第1巻巻末の用語集に、その後の展開がちょろっと書かれています。
主要登場人物 §
- 羽佐間大佐 高尾艦長。海賊艦長と異名を取る。不可能を可能にする奇跡の指揮官。
- 田中大佐 2代目高尾艦長。ボンクラと言われる男だが、身を挺して惑星秋津に潜入し、見事惑星秋津を解放する。
- 三条中佐 2代目高尾副長。階級を身体で買ったとか娼婦と見分けが付かないと言われるが、実はベッドの中で機密情報を聞き出す天才。様々な駆け引きで鍵を握る情報を手に入れてくる。
- 牧野アンナ 国を奪われた悲劇の姫。日本人でありながら遺伝子操作で金髪を持っている。奪われた国の復興が悲願。
- 崎村シゲル 何でもできるという才能を買われて高尾に乗り込む新米少尉。機材を何でも調達できない辺境では、現地で手に入るもので何とかする必要があった。