「実は2つの理由でこれは見ておく必要があると思った」
「第1の理由は?」
「ゾンビ映画だから」
「好きだね」
「鮫とゾンビは好物だ」
「じゃあ第2の理由は?」
「実は、1回見ようと思って新宿の映画館に行ったらその日の上映が全て満席で見られずすごすごと帰った経験がある」
「そこまで人気があるなら見ておく必要があると思ったわけだね」
「そういうわけで、渋谷のユーロスペースだと席をネット予約できると知って【これなら見られる】と思ってユーロスペースに行くことにした」
「それで?」
「ところが、見に行こうと思った日に、この映画だけネット予約不可に変更されていて真っ青だ」
「えー」
「それでも、席が残っていることだけは確認できたので、早起きして劇場が開く時間に合わせて行ってチケットを買って席を確保した。そのあと一時間以上劇場で待ったけどね」
「どっかで時間をつぶせよ」
「朝の早めの時間はどの店もまだ空いてないし、外は暑いし」
「ぎゃふん」
「そういうわけで絶賛の声ばかりのこの映画を見たのだが……」
「だが?」
「イマイチ楽しめなかった」
「その理由は?」
「ネタバレ」
「具体的に教えてくれ」
「実は今回の映画では3つのネタバレがあった」
「その3つとは?」
- 誰でも楽しめるから見て、というタイプのオススメ意見がネットで割と多く見られた。つまりゾンビ映画ではない
- 映画のポスターに「この映画は二度始まる」と書かれている
- 前半において、笑うべきシーンでもないのにクスクス笑う客がいた
「つまりなんだい?」
「後半の展開がおおむね予測できてしまい、面白いことは面白いのだが予測を上回るほどの面白さではなかった。残念だ」
「では、良かったのはどこだ?」
「絶対に止めることが許されない異常空間において、上手く行かない人生を送っていた父、妻、娘が暴走して一つの結果を出してしまうのは面白かった。あとワンカットという要素が単に臨場感を出す手段ではなく、物語を盛り上げるために役立ったのは良かった」
「そういえば昨日未来のミライを見たよね。それと比較してどうだった?」
「未来のミライの方が気持ち良く見られた」
「理由は?」
「カメラを止めるな!は満席だったが未来のミライはガラガラでストレスなかったし、ネタバレもなかった」
「映画の内容関係ないし……」
「まあ、個人的な体験の感想はそんなものだ」
「えー」
「おそらく、今カメラを止めるな!の最大の敵になっているのは過剰な人気感。快適にリラックスして映画を見られる感じの環境ではない」