レッドホークヤマト感想 §
「アオシマコミックスのレッドホークシリーズの2回目の読書が終わったので、簡単に感想をまとめようか」
「どんな感想だい?」
「やはり良かったな。人の心が感じられる」
「昨今は感じられない作品も多いってことだね」
「設定については、ほとんどパクリとデタラメであまり論じる余地はない。でも、物語の抽象的な構造はしっかりしているし人間の把握もできているから、読後にイヤな印象は無い。すっきり出来る」
「すっきりできない作品も多いわけだね」
「そう。プロパガンダに過ぎなかったとか、いじめを良い話に見せかけているだけとか、そもそも中味が何も無いとか、そんなものがいくらでもある」
「それはヤマト2202批判かい?」
「まさか。ダメなアニメは山ほどあるぞ」
「ぎゃふん」
「で、結局艦橋がロボでもいいの?」
「良くはない。良くはないが、子供向けにデフォルメされた世界にはありだろう。きちんと演出的に上手く使えていればな」
復刊ドットコムヤマト2下巻感想 §
「そういえば既に復刊ドットコムからヤマト2の下巻が届いている。これもかなり満足できたぞ。中味は良かった」
「松本版ヤマト2は?」
「結局、ここで描かれた闇の部分は、さらば宇宙戦艦ヤマトにもヤマト2にも、いわんやヤマト2202にも反映されていない。改めて、作品に向き合うことで良いものが得られた気がするよ」
「どこが良かった?」
「やはり、あれはヤマトではないと素っ頓狂なことを急に言い出す土方が良かったな」
「あれぞ土方ってことだね」
「武闘派の怜悧な武人であればあるほど、命を賭けた冒険に出ていくヤマトに対して甘くなるものだろうな」
「あれが土方であって、最近のアニメに出てくる土方は土方じゃないってことだね」
「どこも土方に見えないね」
「ヤマトIIIはどうだい?」
「良く出来てると思うよ。この短さの中に上手く落とし込んで話をまとめていると思う」
「次元航海版の新作ヤマトコミックは?」
「うん。面白いね」
「公式設定を無視しているよ。古代守がハーロックだし」
「もともと公式設定なんて大して出来が良いものでは無い。シャーロキアンの原理主義者的に、描かれたものは全て真実として扱う制約を課す遊び方はあるが、ヤマト2199以降の公式設定が公式設定を否定するような状況下ではもう意味がない」
「結局、自分で軸を立てて、それに沿って設定を構築していく以外にないわけだね」
「そう。だから、手垢の付いた上に一度否定された古代守ハーロック説が復活したっていい」
「新作アニメと整合しなくなっても?」
「ヤマトの設定はもともと整合してないんだよ。いろいろと。今更整合しなくて誰が怒る」
「うわー。怒った怒った」
「石津版ノベライズハードカバー2分冊で殴るぞ」
「うわー。貴重書。殴って殴って」
オマケ §
「結局、古いものをいろいろ読むと、いかに自分が【分かっていたつもり】に過ぎないかが分かって面白い」
「俺はその時代を生きたから分かっていて当たり前だ、という慢心が一番恐いわけだね」
「そうそう。何度も繰り返すがそういうことだ」
「慢心の分かりやすい例はある?」
「あまりにも多すぎて選べないぐらいだよ。世界は慢心で一杯だ」
「ヤマト2199とか2202のスタッフは慢心の代表例とは言わないの?」
「彼らだけが特に慢心していると思うのは大甘だよ」
「えー」
「実際、SBヤマトでも、山崎監督が【これぐらいできると思っていたが実際にやってみると難しかった】と言っているぐらいだ」
「じゃあ君はどうなんだよ」
「実際に調べて目から鱗という経験なら何度もした。分かったつもりが一番恐い」