ド・リトル・リトル物語 ドリトル先生と怪奇の湖 Kindle版
本作は【ド・リトル・リトル物語】というタイトルありきである。
そこから内容を組み立てている。副題は【ドリトル先生と怪奇の湖】である。
しかし、ドリトル&カグヤ・シリーズに怪奇などあるのだろうか。
いくつかある。
たとえば、亀のタイニードロンコの正体は実は謎である。ついでに言うと、彼と旧知の仲のノアさんも謎である。しかし、タイニードロンコの謎とノアのことは主人公からは見えないようになっている。
では主人公の鳥斗から見える範囲で謎はあるのだろうか。
それはある。
頭が二つあるヤギ、オシツオムレツが産まれた理由だ。
そのようなわけで、本作は鳥斗達がオシツオムレツの産まれた理由を探しに行く話となっている。
しかし、今の世界に秘境などは存在しない。謎を探しに行く場所が無いのだ。
かといって、宇宙に行っては動物が活躍できない。
そこで、人間世界に密かに隠れ住んでいる小さな人を登場させた。小さな人なら衛星写真にも写らない。
そして、小さな人と言えばアレしかない。
そこで、章題はあのシリーズ作品のもじりを並べてみた。
- 第1章 誰も知らない小さな湖
- 第2章 豆粒ほどの小さな夢
- 第3章 星からおちた小さな石
- 第4章 不思議な目をした男の娘
実はこの章題から逆算して物語が組み立てられている。
だからこの小説には、【身体が小さくなると巨大な湖に見える池】【豆粒ほどの大きさの小さな犬】【宇宙から落ちてきた小さな人】【左右の目の色が違う不思議な目を持つ女装少年】が登場する。
ちなみに、【左右の目の色が違う不思議な目を持つ女装少年】はオシツオムレツ出生の秘密に迫るための重要な伏線である。左右の目の色が違うことも、心は女、下半身は男というちぐはぐな状態も、実は物語的に重要な意味を果たすのである。
それはいったい何か?
それは読んでのお楽しみ。
念のために言えば、物語の内容そのものは本作の完全オリジナルである。クトゥール神話とも小さな人のシリーズとももちろんヒュー・ロフティングの小説とも似ていないオリジナルの内容になった。そうしないと、タイトル、章題、シリーズの基本設定と整合させられないからである。
オマケ §
この物語は、鳥斗の婚約者カグヤが男の娘とセックスをしていると雀のチープ斉藤が鳥斗に教えることから始まる。鳥斗の傷心が、別に行かなくても良い冒険の始まりとなるわけである。普通に行けば秘密になるはずのことがばれてしまう点が、動物が介在する本シリーズの特徴だ。雀のチープ斉藤が窓から見ていることに気付かず(気付いていても秘密が漏れるとは思わず)やっちゃったカグヤも甘いと言えば甘いが、見たままのことを伝えてしまう雀のチープ斉藤も知恵が足りない。ちなみに、知恵が足りないのは雀だからである。本シリーズの動物たちは意外と頭が悪い。鳥斗の家に集まっては糞を垂れ流すのである。しかも、「動物だからしょうがない」と開き直る。帰宅した鳥斗の仕事はいつも糞の始末である。
糞を垂れ流す愉快な仲間達との楽しいけど臭い冒険譚へようこそ。