IT業界最大の未解決ミステリー: 1975年6月10日、誰が発売前のマイクロソフト製BASICのテープを盗んだのか?
「これは何の新刊なんだい?」
「1975年6月10日にパロアルトのリッキーズハイアットハウスで、発売前のBASICの紙テープが消えた。その事件に関して少し調べたので忘れないうちに本にまとめたよ」
「それで誰が盗んだんだ?」
「分からない」
「分からないのにまとめ?」
「分からないということを明確にした。おそらく、今後も分かることはない。その理由も明確にした。
ビル・ゲイツと他の皆さんの対立がいつ始まっていつ終わったか、あるいは終わっていないかも明らかにした。ついでに、ある種の人達にはマイクロソフト=ビル・ゲイツであることも明らかにした。また、BASIC開発の背景にDECユーザー人脈が存在することも明らかにした」
「DECがそんなに重要なのかい?」
「この本にDECとかDECUSという言葉を書き込むとは書く前には思ってもいなかったよ。ミニコンと書けば十分だと思っていた」
「でもそうではなかった?」
「そう。ついでに本には書かなかったが、CompuServeのホストはPDP-10で動いていたということまで知ってしまった」
「そこは余談だね」
「余談だよ。しかし、もうPDP-10とかPDP-8をイメージできるようになってしまった」
「えー」
「PDP-11もな」
「それらはマイコン文化のゆりかごだったと言うことだね」
「そう。DECのミニコンに親しんだ人達が降りてきて初期のマイコン文化をリードした」
「だから、ビル・ゲイツとポール・アレンは最初から完成形のフルBASICを実装しようとしていたのだね」
「そう。二人は既にDECユーザー文化圏に属していた。Altair 8800ショックで目ざめた人達とは年期が違いすぎた」