2002年03月11日
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宇宙世紀の駄ッ作機 RX-78SA1 Gファイター

Written By: トーノZERO連絡先

 正統があれば異端あり。異端の宇宙世紀史へようこそ。

 RX-78の開発成功は、ある種のうわずった熱狂をジャブローにもたらしました。連邦の技術力を持ってすれば、田舎臭いジオンを超えることなど、難しいことではないと軍の高官や政治家達は言葉を交わすようになったのです。

 そんなとき、RX-78をパワーアップする構想が、好意的に迎え入れられたのはある種の必然だったと言えるでしょう。

 しかも提案者は、RX-78を成功させた功労ある技術者、テム・レイと来れば、話を聞かないわけがありません。

 テム・レイは熱っぽく語りました。RX-78に、宇宙大気圏内を問わず長距離クルージング能力を与え、しかもRX-78を上回る大支援火力と強力な装甲を持つ専用支援兵器、Gファイター構想です。

 Gファイターは、RX-78を内部に完全に収納した状態で飛行でき、随時内部のRX-78を切り離して降下させられるだけでなく、機体前部だけを使えば高機動の中型戦闘機になり、機体後部は無限軌道を持つ大型支援戦車として使うこともできると言うのです。

 もちろん、使うかどうかも分からない無限軌道を常に機体の一部として飛ばすのは、常識で考えれば無駄です。しかし、当時は誰もがミノフスキー粒子によって実現された熱核エンジンの桁違いのパワーに酔いしれており、これさえあれば何でもできるという錯覚が蔓延していたのです。

 テム・レイがプレゼンテーションで見せたシミュレーション映像は、RX-78とGファイターからなるエリート一個中隊が敵の重要拠点に遠隔地から攻撃を仕掛けるというものでした。Gファイターの大火力で防衛施設を破壊し、迎撃に出てきたザクは分離したRX-78が格闘戦で蹴散らし、敵地に乗り込むとGファイターの一部は後部を分離し、火力支援メカGブルとしてRX-78の後方から砲撃を行います。そして、空中では機体前半部のGスカイが制空権を確保し、残りのGファイターは空中からの対地攻撃で、RX-78を支援します。

 この映像に誰もが興奮しました。Gファイターの開発プロジェクトは即座に承認されました。それを見届けたテム・レイは、サイド7にRX-78を受領に旅立ちました。そして、ジャブローに帰ってくることはありませんでした。

 さて、しばらくすると、誰もが頭が冷えてきます。冷静に考えると、戦闘機なんだか対地攻撃機なんだか輸送機なんだか戦車なんだか良く分からない機体だし、完全にRX-78専用という設計のため、他の目的に転用することも困難です。しかも、構造が複雑でコストは、戦闘機と地攻撃機と輸送機と戦車を足したよりも割高でした。

 しかし、高官の誰もが興奮して全面支援を約束した手前、誰もが「これはちょっと……」と思いつつも、プロジェクトを中断させようと提案する者はおりませんでした。

 かくして、Gファイターの設計は完了し、試作機の試験飛行が開始されました。しかし、試作機には、テム・レイがプレゼンテーションしたようなびっくりどっきりスーパーメカの面影はなく、ただテム・レイの構想を現実的なテクノロジーで再現するだけで力尽きたようなゴテゴテとした機体になっていました。実際に飛ばしてみると、性能も大したことはありませんでした。RX-78を機体内部に抱えながら敵の戦闘機を軽々と振り切るダッシュ力など、夢想上の性能でしかなかったのです。

 しかし、火力と装甲に限れば、確かにテム・レイの構想が実現されており、これはこれでモビルスーツの支援兵器の一つとして利用価値があるのではないか。とても消極的ではありますが、そのように考える高官もいたため、本格的にRX-78を運用していた、ほとんど唯一の実戦部隊であるホワイトベース隊に、Gファイターの試作機は送られました。

 ホワイトベース隊でのGファイターの利用実績は良好であり、その意味でGファイターを駄ッ作機とするのは適切ではないかも知れません。しかし、戦闘機でもあり戦車でもある兵器の有効な使い方を、終戦までに連邦軍はついに思いつくことができませんでした。

 しかし、Gファイターの設計と運用によって得られたノウハウは、数年後に起こるTMS(可変型モビルスーツ)の開発ブームに大きな影響を与えることになります。その意味で、Gファイターの存在はけして無意味なものではなかったと言えるでしょう。

 なお、一部に、戦闘機でもあり戦車でもある荒唐無稽な兵器が実在するわけがないという先入観を持って、実際にホワイトベース隊に配属されたのはGファイターではなくコアブースターなる機体だと主張する研究家がおります。そして、あろうことかドキュメンタリー映画の映像を改ざんしてGファイターを消してコアブースターを描き足すようなことが横行しています。しかし、これらは全て事実無根のことでありまして、Gファイターが実際にホワイトベース隊で運用されたことは紛れもない事実なのです。


ご注意: このコンテンツは、「バーチャルネットライター と~のZERO歳」と呼ばれるサイトに書き込まれた内容を変換して、本サイトに転送したものです。このコンテンツの内容は、「と~のZERO歳」という仮想人格が書いたものという設定であり、謎のアニメ感想家トーノ・ゼロと限りなく近いものの、必ずしも同一人格ではないことをお断りしておきます。

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