2002年05月21日
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宇宙世紀の駄ッ作機 グワジン級超々弩級戦列艦(続き)

Written By: トーノZERO連絡先

 正統があれば異端あり。異端の宇宙世紀史へようこそ。

 グワジン級の建造は、まず、グワジンが収まる大きさの巨大なドックの建設から始まりました。既存のドックでは、グワジン級の巨体を収容できなかったのです。

 通常、宇宙船を宇宙空間で組み立てる場合は、巨大な直方体型のフレームを組み、パーツが誤って漂流して出ていく危険を取り除くため、ネットで全体を覆って行われました。そして、フレームにアームを付けて、そのアームの先端に溶接機や、資材の固定用ハンドなどが取り付けられていました。これらの施設全体が、宇宙船建造用のドックと呼ばれるものでした。

 しかし、グワジン級は軍事機密の塊であり、しかも切り札となるべき兵器ですから、ネット越しに外から中を見られるわけには行きません。そのようなクレームが情報部より出されたため、これまでサイド3に無かったほどの大きさであるだけでなく、完全密閉型という新しいスタイルのドックを建造する必要がありました。

 これに要する予算は膨大なものになり、建設期間も非常に大きなものになりました。純粋なグワジン級の設計と建造の費用しか考えていなかった政府関係者は、ドックの新造だけでも頭が痛いのに、更に特殊なドックを建造するために増えた出費に頭を抱えました。さらに、大規模なドック建設に要する期間も馬鹿になりませんでした。政府関係者は、これ以後の作業をなるべく短期間で行い、またコストダウンも図るように、各方面に働きかけました。しかし、これは予算超過とスケジュール遅延の最初の要因でしかありませんでした。

 関係者の努力により、ドックはスケジュール通りに完成しました。しかし、完成はしたものの、過去にサイド3では経験の無かった大型アームは、精度が十分ではないことが発覚しました。またテストのために動かしていると、すぐに壊れて動かなくなりました。

 一方、グワジン本体の方も、順調にスケジュールが遅れていました。グワジンに使うエンジンは実績のない新しい技術が多数必要とされましたが、いざ作ってみると様々な問題が生じていました。また、艦体の方も、強度と軽量化を実現するために、複数の種類の合金を場所によって使い分ける設計になっていましたが、その中に流通量が少ないものが含まれていて、材料がいつまで経っても揃いませんでした。ドックが完全でも建造が開始できないのは目に見えていました。

 関係者は誰もが、自分の抱えるトラブルを解決するために走り回っていました。

 当初予定されたグワジン級建造スケジュールの半分以上が経過した頃に、やっと関係者の努力が実り、ドック内に竜骨が設置されました。

 やれやれ、これでやっとスケジュールが先に進むと関係者は安堵しましたが、それは、はかない夢に過ぎませんでした。

 すぐに、1日当たりの予定作業量がこなせないことが発覚しました。これは、部品を掴むアームの移動速度の見積もりミスでした。アームが大型化したことにより、重量も増え、必然的に慣性も大きくなります。そのため、適切な位置でピタリと止めるには、ゆっくり動かす必要がありました。そのため、通常のドックと同じ速度で動くという前提のスケジュール見積もり通りのペースで作業は進められませんでした。

 建造の完了予定期日は、更に先送りしなければなりませんでした。

 それから数ヶ月が経過し、艦体がだんだん形になってきました。しかし、ある日、巡回中の監督官が恐るべき事に気付いたのです。

 「艦体がバナナのように、反っている……」

 関係者は慌てて、精密な検査を行い、艦首と艦尾が、それぞれ、1メートルほど本来あるべき位置より高くなっていることを確認しました。

 さっそく調査が始まりましたが、なかなか原因が分かりませんでした。どの作業手順も正しかったはずでした。

 それなのに、どうして艦体が反ってしまったのか。

 やはり、これまで経験もない大型艦を建造するなど、無謀でありすぎたのか、という意見も出ました。チベ級を建造した関係者は、そらみたことかと、陰で笑いました。

 しかし、もっとも焦ったのは政府関係者でした。既にスケジュールは致命的な段階まで遅れていました。このまま事態を放置すれば、国民から公約違反として糾弾されることは不可避でした。

 もう我々は終わりかも知れない、と覚悟を決める政治家や軍関係者も出てきました。

 続きます。


ご注意: このコンテンツは、「バーチャルネットライター と~のZERO歳」と呼ばれるサイトに書き込まれた内容を変換して、本サイトに転送したものです。このコンテンツの内容は、「と~のZERO歳」という仮想人格が書いたものという設定であり、謎のアニメ感想家トーノ・ゼロと限りなく近いものの、必ずしも同一人格ではないことをお断りしておきます。

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