2002年05月26日
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宇宙世紀の駄ッ作機 グワジン級超々弩級戦列艦(続きの続きの続きの続きの続きの続き)

Written By: トーノZERO連絡先

 正統があれば異端あり。異端の宇宙世紀史へようこそ。

 グワジン級の見せ場がどこかにないか、と関係者は必死に探し回りました。

 すると、ちょうどあるイベントが近いことが分かりました。サイド3と地球連邦の間で取り交わされた、小惑星帯治安維持条約の更新の時期が近づいていたのです。

 この条約そのものが、ある種の火種になっていて、連邦内部でも、ジオン内部でも、より有利な条件に改めるべしという意見がくすぶっていました。

 しかし、どちらも最大多数の穏健派が、争乱を恐れて現状維持という条件で根回しを進めたため、条約更新は互いに文書にサインして取り交わすだけの無味乾燥なものになる見込みでした。

 そこで、グワジン関係者は、連邦の過激派が交渉をぶち壊そうとしているという噂を流して、代表団を軍艦に送る必要があると説得しました。

 こうして、グワジン級は、ジオン最重要の条約更新のために、出発することが決定されました。

 それは、連邦の首脳にグワジン級を見せつけて驚かせると同時に、グワジン級の偉容を衆目に見せつけ、存在意義をアピールするという効能もありました。

 ジオンは代表団をグワジン級で送る、という情報が連邦に伝わると、連邦側もマゼランに代表団を乗せ、宇宙空間で文書を取り交わすことになりました。

 もちろん、その2隻だけ終わりではありませんでした。マスコミなどの数多くの宇宙船が、その場に集まりました。

 衛星軌道上に並んでアームで固定されたマゼラン級と、グワジン級は、人類が知り得る範囲内で、最大の戦闘力の結晶の顔合わせとなり、マスコミを沸かせました。

 そして、ジオン側には有り難いことに、明らかにグワジン級の方が大きく、洗練されており、しかも強そうでした。

 この光景をみて、なおグワジン級の存在意義に異を唱える者はジオン国内にはいませんでした。連邦側では、マゼランでは戦力に不安があるとする一派が生まれ、マゼランで十分だとする一派と派閥抗争状態に陥りました。このことが、ただでさえ遅い連邦軍の対応速度を、更に遅くしたことは事実と言えました。

 しかし、ジオン軍内部の受け止め方は、少し異なっていました。1対1でグワジン級がマゼラン級に負けると言う者は誰もいませんでした。ですが、時間に遅れそうになったマゼランが何のためらいもなく全力噴射を行い、グワジン級を上回る加速力を見せた事実に、誰もが技術の蓄積の差を思い知らされたのです。

 グワジン級の慎重派の艦長なら、いきなり巡航加速から最大加速に主力アップする命令など絶対に出しません。徐々に段階的に出力をアップさせて、それでやっと最大出力を発揮させられるのでした。それに比べ、マゼランがいきなり最大加速を掛けたことは、明らかに技術力の差でした。

 ジオン軍内部では、グワジンは切り札にならないのではないかというムードが広がりました。

 もはや、大きく強ければ良い、という考え方を支持する者は誰もいませんでした。

 グワジンの次に作るべき主力兵器は、むしろ小さく安く機動性に優れ、そして、マゼランを撃沈できるだけの攻撃力を兼ね備えたものになるべきだという意見が主流になり、新しい兵器への模索が始まりました。

 その努力がMS-05ザクとして結実したとき、グワジン級は時代遅れの兵器と化したのです。しかし、新兵器の秘匿という観点から、グワジン級は表向き、ジオン最強の兵器という位置づけで宣伝活動が続けられました。

 その最大のイベントは、デギン公王を迎えての観艦式でした。8隻のグワジン級がずらりと並ぶという、あとにも先にも、これ1回しか無いという豪華絢爛の軍艦絵巻が展開されました。そして、8隻のグワジン級が射撃統制回路を接続して、小惑星に向かって一斉射撃を行った場面は、まさに圧巻でした。地球圏までわざわざ引いてきたデモンストレーション用の小惑星は、けして小さいものではありませんでした。それが一撃で粉砕され、粉々に砕け散るのは、ジオン驚異のメカニズムとして宣伝されるにふさわしいものでした。

 しかし、連邦軍側では、この宣伝は、ジオン脅威のメカニズムと受け取られ、この砲撃力に対抗する手段について、様々な検討が行われました。しかし、この時点で、小惑星帯で初陣を上げつつあったMS-05ザクに注意を払う連邦軍人はほとんどおらず、ジオンの宣伝工作はまさに成功したと言えました。

 続きます。


ご注意: このコンテンツは、「バーチャルネットライター と~のZERO歳」と呼ばれるサイトに書き込まれた内容を変換して、本サイトに転送したものです。このコンテンツの内容は、「と~のZERO歳」という仮想人格が書いたものという設定であり、謎のアニメ感想家トーノ・ゼロと限りなく近いものの、必ずしも同一人格ではないことをお断りしておきます。

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