2003年08月04日
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オンライン文化の時代的変化と地域的相違、はたして今の韓国とパソコン通信時代の日本は似ているか?

Written By: 川俣 晶連絡先

 昔々、パソコン通信というものがありました。PC-VANも日経MIXももうありません。それでもまだ一応Niftyはあって、時々Niftermでログインしたりしますけど。しかし、残されたNiftyもかつてのパソコン通信の雰囲気ではないですね。私は、最初にパソコン通信を取り上げたASCIIから出版されたムックを買って興味を持ち、300bpsのパソコン通信を友人宅で見せてもらい、1200bpsのモデムを買って始めました。ですから、パソコン通信を体験した初期の世代であると言えると思います。

 そして、パソコン通信の初期の時代として印象に残ることは、自分もみんなも未熟ゆえに馬鹿をたくさんやったということと合わせて、利用者による強い自治意識です。自分たちのコミュニティは自分たちが秩序を打ち立て、維持していくのだという雰囲気があちこちで漂っていました。けして、管理者にサービスを提供してもらう単なる利用者の立場ではなかったのです。

 どうして、こういうことを思い出したのかというと、こんな記事を読んだからです。

日本の「リネージュ」ユーザーは集団活動が好き~東大池田教授が実態分析

https://internet.watch.impress.co.jp/www/article/2003/0731/nc.htm

 リネージュというのは韓国製のネットワーク ロールプレイング ゲームです。日本でもサービスされています。他人数のプレイヤーが同じ世界に入り込んで遊ぶタイプです。私はこのゲームの経験はありませんが、これも一種のコミュニティと言えると思います。

 この記事では、同じリネージュというゲームを遊ぶ態度に、韓国と日本では差が見られると言います。この記事では、日本は管理された「ディズニーランド」、韓国は西部開拓時代を連想させる「アドベンチャーランド」と表現する、と述べています。それに続いて、「リネージュの秩序を維持するのは誰か」との設問で、「ゲーム会社」「運営者(ゲームマスター)」と回答したのは日本のほうが多かったのに対して、「一般のプレイヤー」「血盟」としたのは韓国が多かった、と書かれています。秩序を維持するのが一般プレイヤー、という考え方は初期のパソコン通信の世界を連想させました。まあ、パソコン通信に「血盟」というものは無かったので単純に比較できませんが。1つに、日本における初期のパソコン通信文化は、西部開拓時代を連想させるようなアドベンチャーの世界であり、それは突如ネットワーク文化が花開いた韓国の状況と似通った部分があるのかもしれないと思いました。

 もしそうなら、ゲームの秩序はゲーム会社が維持しているという日本のプレイヤーの感覚は、未来の韓国人の感覚ということになるのかもしれません。

 とはいえ、単純に地域差と時間差が生まれているようだね、という話で終わるつもりはありません。

 リネージュの日本人プレイヤーの持つ感覚は、けしてそのゲームの世界の中だけで閉じている訳ではなく、他のオンラインゲーム、更には日本のインターネット全体にも同じような傾向が見られると言えるのかも知れません。

 たとえば、電子掲示板などを見ていると、ちょっと驚くような内容を目にすることがあります。相手を馬鹿扱いするメッセージがあり、その者を馬鹿扱いするメッセージがあり、議論の対立軸も不明瞭で、建設的な方向に話が進むこともなく、仲裁に入ったり、話をまとめようとする者もいない。実に子供っぽく、かつ、見ている方が不快になるようなスレッドをしばしば見かけます。同じパターンをしばしば見るので、たまたまそういうスレッドがあるということではないと思います。また、特定の掲示板の文化ということでもないと思います。普段は足を踏み入れないが検索エンジンで引っかかって読んでしまうことがある2ちゃんねるで見ることもあるし、そうではない掲示板で見ることもあります。

 この手の相手を馬鹿扱いする応酬で終始するような非生産的な態度は、もしかしたら、誰が管理する者なのか、という観点で見ると何かが見えてくるかも知れません。

 もし、利用者が必死に住み心地の良い場所であり続けるように維持し続けなければ、消えて無くなってしまうかも知れない、という危機感があるとして。なおかつ、消えて無くなってしまったら代わりの場所はそう簡単には見つからない、というシビアな状況があれば、相手を馬鹿扱いするだけの態度は取れないでしょう。相手が馬鹿だと思っても、馬鹿だとなじるだけでは済みません。何らかの方法を考えて、問題を解決しなければなりません。それは、みんなが持つ共通の問題で、みんなで取り組まねばなりません。

 しかし、今の日本の状況はそんな感じではありませんね。電子掲示板などいくらでもあるし、それらは雲の上にいるような凄い人が管理運営していて、自分の言動と関係なく電子掲示板は維持され続ける、と思えば、自分が言いたいことだけ書いてそれで終わり、という気持ちになるかも知れません。

 でも、そんな気持ちで全てが済むわけではないのですよね。

 本当に良い雰囲気で盛り上がっているところは、電子掲示板であれ、オンラインゲームプレイヤーのグループであれ、それを良くしてやっていこうと自発的に意識的に活動している一般参加者達がいるはずです。思ったことを書きっぱなしにするだけでは、盛り上がっている楽しいコミュニティにはならないのです。

 では、日本にもっと盛り上がって楽しいコミュニティを増やすにはどうしたら良いのでしょう? 日本の一般的な動向に逆らってそれを達成するにはどうしたら良いのでしょうか?

 と書いたところで、この文章は終わりです。私には答の持ち合わせがありませんので。それに、これはみんなの問題ですから、みんなで取り組むべきものでしょう。

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