2003年11月02日
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オープンという言葉の意味の変化? 歪曲?によるコミュニケーション不能問題?

Written By: 川俣 晶連絡先

 トーノZEROのコンテンツ統合で、オータムマガジンがまるでアニメ感想サイトになってしまったかのような危機感を感じている今日この頃ですが。

 それはさておき、Open Technology Seminarというセミナーのお手伝いをすることになりそうです。全くのボランティアです。ベンダーに中立なニュートラルなセミナーを目指すそうです。

2003年11月17日午後10時頃追記。このセミナーは破綻した感じです。プランニングするメーリングリストがずいぶん酷い状況になっています。既に主要な人々が降りていて、私も降りました。状況としては、言い出しっぺのリーダー格の人物が、その道の本当の最先端の専門家を前に、対等であるかのような態度を取り、かつ、そのことに無自覚であったことがあるように思います。そういうことになれば、コミュニケーションは成立せず、破綻してしまうのは当然の結果であろうと思います。まあ、このようなタイプの人は、この業界では珍しくありませんね。ビジネスピープルと揶揄される人々の一部は、こういうタイプでしょう、たぶん。しかし、そういう人達は、けして本当の専門家を自分の身近に置いたりはしないものです。置けばボロがどんどん出るからです。その点で、彼は上手くやれなかったと思います。というわけで、私はこのセミナーの関係者ではなくなりました。

 そこで、.NETを取り上げたらオープンソースではない、という意見をもらったという話をちらっと聞きました。

 それを聞いた最初の感想は、「オープンソースしか聞く耳を持たないような時代遅れがまだいるのか」ということでした。あるソフトがオープンソースなら確実に成功する、あるいはクローズな方法より確実に良い結果を出せるという主張は、あるソフトがオープンソースで成功することは絶対にあり得ない、という主張と同程度にナンセンスでしょう。

 しかし、それはどうでも良いことでです。オープンソースの絶対神話はとっくに崩壊しているし、それを見ようとすれば自然と見えるはずのものです。

 それよりも、もっと重要なことに気付きました。

 Open Technology Seminarという名前には、Openはあっても、Sourceは無いのです。それなのに、どうしてオープンソースと混同されたのでしょうか? そういえば、マイクロフトはオープンである、という言葉に、ぜんぜんオープンではないと噛み付く意見を見たことがあるような気がします。

 これはどういうことでしょうか?

 オープンソースは、オープンとは違うから、オープンソースというのです。

 オープンはオープンソースの略語ではないし、オープンソースの世界でいうオープンという言葉の意味と、オープンソースと違う世界で使われるオープンが異なる意味を持っていることは、当然の成り行きです。しかし、その相違に気付いていない人がいるような印象を受けました。それが致命的なコミュニケーションの断絶を引き起こしている可能性はあり得そうです。

 そもそも、オープンという言葉は何か。

 きちんと調べるといろいろ出てきそうですが、とりあえず時間もないので、頭の中からすぐ思い出せる話を書きます。当然、記憶がどんどん劣化していくので、内容は無保証です。かなりインチキだと思って読んだ方が良いでしょう (笑)

 1980年代の頃、オープンというのは、ビジネスの公開性を示す言葉だったような気がします。たとえば、MS-DOSはオープンだが、任天堂ファミリーコンピュータはクローズだったと言えます。MS-DOS上で動作する応用ソフトを作って販売するために、特にMS-DOSの開発元であるマイクロソフトと契約する必要はないし、ロイヤルティを支払う必要もありません。それに対して、任天堂ファミリーコンピュータ上で動作するゲームソフトを開発して販売するためには、(任天堂が納得するように行うとすれば)、契約と守秘義務と多額の支払いが必要でした。このような比較から明らかな通り、マイクロソフトは、圧倒的に開発者にフレンドリーで開けっぴろげで自由な立場を取っていたと言えます。更に、家庭用ゲーム機のクローズさは、今に至っても、いささかも変わっていないという事実もあります。極めて例外的なPS2 LinuxやWonder Witchのような一部を除けば、(メーカーが納得するように行うとすれば)、契約していない一般の開発者が家庭用ゲーム機のプログラミングを行うことは、ほとんど不可能と言えます。

 1990年年代に入ると、オープンで連想されるのは、オープンシステムということになります。これは、1つの組織内に、異ベンダーのシステムが混在する環境です。それまでは、1つの組織は、1つの会社に全てを開発させるのが普通でした。異なるメーカーのコンピュータ同士はうまく接続できないのが常識で、1つのメーカーの製品でまとめるのがよくあることだったそうです。そのあたりの世界は、あまり縁がないので、実際に体験しておらず、確実なことが言えませんが。

 それに対して、オープンシステムというのは、いろいろなメーカーの製品が相互接続する世界です。それによって、コストダウンとシステム開発運用の難しさが発生したようです。

 オープンとは相互接続性である、視点で見れば、マイクロソフトのOSはオープンであると言えます。もちろん、マイクロソフト独自技術で構成されるWindowsの世界というものがあるにせよ、他社製品との接続を拒絶しているわけではありません。実際、マイクロソフトのネットワークOSは、かなり早い時点からTCP/IPをサポート範囲に入れているし、ライバルとも言えるNetwareのプロトコルもサポートし続けています。他にも、特定ベンダー依存のプロトコルをいくつかサポートしています。実際、サラリーマン生活中には、MS NetworksやLAN Managerで、XeroxのXNSというプロトコル下のLANを使っていた時期もあります。一切、他社製品との接続性を認めないという選択もあり得る状況で、マイクロソフトが取っている態度は、オープンシステム的な意味でオープンであると言うことはできるでしょう。たぶん。

 そして、その後に出てきた流行がオープンソースです。

 これらの流れから見れば、ベンダーに中立なニュートラルなセミナーを目指すOpen Technology SeminarのOpenとは、2番目の「オープンシステム」的な意味でのOpenに近いと言えるように思います。その点で、何の不思議もなく、自然な流れだと思います。

 しかし、こういう流れを把握していない人、特に若くて頭がよくて勉強しているものの過去の経験から来る常識が無い人は、容易に言葉の意味を取り違えて、コミュニケーションを破綻させうるでしょうね。

 さて、あなたは、オープンという言葉で何を連想しますか?

私の場合の答え §

OPEN "1:FILENA.EXT" FOR INPUT AS #1

 オープンではなく、エフオープンなら

fp = fopen("filename.ext","r");

 とかにもなりますが……。

 あ、ちなみに、ここはオチなので笑うところです。

 え? 意味が分からないので笑えない? 失礼しました~~~

読者の反応(2003年11月2日15時7分追記) §

13:54 <B> うーむ。 JavaVM ってオープンソースだったっけか? f(^^;

(中略)

14:00 <B> opensource.org の言うオープンソースは、定義されてるよ f(^^; > http://www.opensource.jp/osd/osd-japanese.html

(中略)

14:02 <B> 私が言いたいのは、「.NETを取り上げたらオープンソースではない」って連中は、Java も取り上げたら (たぶん) イカンだろう、ってことだ。 f(^^;

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