本屋で、軽くいつも通りの巡回コースで書棚を見ている時。
何となくティーン向け文庫の棚に妙に引っかかるものを見つけました。
でかでかと、「土方歳三」と書いてあり、手前に「火星の」とあります。
これだけで、この本が何であるかをハッと理解しました。
著者が吉岡平というのを見て、全て正しく思った通りの本であることが確信できました。この人なら、絶対にできる。そして、やる。間違いなく、可能だ。そう確信できるだけの信頼を、この名前には置いているつもりです。
少なくとも、「火星の大統領カーター」の73倍ぐらいインパクトがあると思います。
重大な問題は、これがティーン向け文庫のコーナーに、今風の美少女バリバリの文庫本と並べておいてあることです。
まあ、そういう本を過去にいくつも出している前科(褒め言葉)が、ソノラマ文庫にはありますが。
それにしても、これは「土方歳三」が何であり、更に「火星のXXX」が何であるかを理解できないと、まず面白がることができませんね。まあ、「土方歳三」の方は、NHKの大河ドラマで新撰組をやっているし、ヤオイ系定番のネタとも言えるので、まあ何とかなる可能性はあります。
しかし、バロウズの火星シリーズはどうでしょうね。なかなか難しいとも思います。
(ある意味で、これは教養を要求する小説と言うことができるかもしれません。そして、要求された教養に対応するべく努力を払うことも、また読書の道だと思います。それがはたして、今時の読者に受け入れられるか分かりませんが。しかし、それは本来努力すべきことだと思います。それこそが、読書の愉悦を最大化させる快楽の道であるがゆえに)
でも、まあ良いでしょう。ティーン向け文庫を読むティーンのことはさておき、私はこのタイトルと表紙だけで十分に楽しめました。
表紙と言えば、末弥純のイラストも、今時のPhotoShopあたりで描きました、というタッチと違って、どこか武部本一郎っぽさも漂わせて、ナイスですね。
感想編はこちら: http://mag.autumn.org/Content.aspx?id=20040529191950