読んでいて「そう、そうなんだよ!」と思ったのは地図によって地下鉄路線の位置が違うこと。
私も、新宿三丁目周辺でそれに遭遇していました。
その理由まで調べたというのは立派なことです。私は疑問を感じる段階で止まっていました。
新宿三丁目を見ると §
気になる人は、都営新宿線の新宿三丁目駅南側の線路のラインをmapfanと、mapionで見比べてみて下さい。更に、手元にある昭文社の文庫判東京都市図。この3つでは、線路の描かれた位置が全て違います。これを書いている今、確認しました。
しかし懸念も §
しかし、本書に書かれた内容がどこまで信用できるかは懸念を感じます。
いくらなんでも、それは無理があるのでは……という説もかなり含まれます。
全ての地下鉄は既に建設済みであったというような話は無理がありすぎます。
大江戸線が、車体が小さいのに線路が広軌なのはおかしいという主張も、にわかには納得できませんね。大江戸線はリニアモーターですから、線路の間に他の鉄道には存在しない設備が入りますから、広い軌間を採用しても不思議ではないような気がします。(事実かどうかは確認していませんが)
不明なのは…… §
懸念を後押しするのは、60ページの以下の記述です。
戦後、営団地下鉄は、新宿-幡ヶ谷間に地下鉄を建設し、京王に譲渡している
巻末の参考文献に載っている「京王電鉄五十年史」にもあたりましたが、そんな話はありません。
ちなみに、日本鉄道建設「公団」と工事施工協定を締結し、初台-幡ヶ谷間は首都高速道路「公団」に工事を委託した、という記述は「京王帝都電鉄三十年史」に見つけました。
ちなみに首都高速道路公団に工事を委託したのは、首都高速4号線の真下、基礎部分に地下路線が走るからですね。まとめて工事を行うのは合理的な判断に思えます。
暫定的にトンデモ本に分類するのが賢い判断か? §
とりあえず、トンデモ本に分類するのが賢い判断かな、という気がします。
ただ、地図によって地下鉄路線の位置が違うといった(おそらくは)事実に関する指摘が含まれるために、うっかり信じてしまいかねない危うさはあると思います。