冒険とはなんぞや?
遠くに出かけるのが冒険なのか?
見ず知らずの初めての場所を歩くのが冒険なのか?
いずれも冒険と見なして良い条件とは思いますが。
真に驚きを伴う冒険ということになると、条件は変わります。
たとえば、あまりにも身近でありながら、まだ足を踏み入れたことがない場所があり、しかもそこに思いがけないものを見出すこと。
凄いものは無いと思い込んでいた場所に、それを見出す衝撃。
そのような衝撃を、今日は我が身で体験しました。
発端 §
単なる散歩です。
ついでに、下高井戸の漫画喫茶の所在を確認しようと思って歩き始めました。
下高井戸駅から日大通りを日大に向かって歩きながら、あのあたりに漫画喫茶があったはずとチェックしながら歩いたところ、いずれも既に存在せず。
ちょっと驚き。
それでも、他にあるかも知れないと日大に向かって歩き続けました。
大学の近くならあるかもしれないと思ってのことです。
しかし、見付かりません。
(ちなみに、ラーメン英はまだ営業していた……)
そのまま日大の門の前を何となく突っ切って歩きつつ、このまま桜上水駅に抜けてそこで漫画喫茶があるか見てみよう、などと思いました。
しかし、横道が何やら魅力ありげに誘っています。桜上水駅からは遠ざかる方向に道を曲がって歩いていくと。
何やら良いムードの歩道のある道が。
その先には何やら公園が。
この道と公園が、何やら意味ありげに細長いのです。まるで川の跡のように。
公園に入ってみると、説明板に、北沢川と左内弁財天のいわれが書いてありました。
そう、この公園と道は、北沢川跡だったのです。
北沢川 §
北沢川は、玉川上水の分水だそうです。(それ以前からも川はあったらしい)
玉川上水とその分水というのは、最近、羽村の郷土資料館で買った論文集を読んで、その位置づけや意味合いが分かってきたもので、興味深いです。
つまり、玉川上水というのは幕府にとって戦略的に重要な上水であるため、水を直接取ることが許されず、分水経由でしか貰うことができなかったのです。そういう意味で、北沢川はこの分水の水を得るために必須の存在として作られたのだろう、という切実さが実感されます。
さて、この北沢川も他の多くの川、用水と同じように埋められてしまっています。
この川の跡地らしい道があったので、それを延々と歩いてみました。
どこまでが本当に北沢川の跡地なのか分かりませんが、上北沢駅近くまで歩いてしまいました。(そして、上北沢駅から電車で帰りました)
左内弁財天 §
この公園には、左内弁財天というものが祭られています。
これは鈴木左内家が祭ったことから左内弁財天と称されるもので、この家には井の頭の池の龍神と左内家の娘のラブロマンスの逸話などがあるようです。(現地説明板による)
死角の理由・冒険の理由 §
このような場所の存在を知ることがなかった理由として、私が子供の頃から住んでいる場所が杉並区と世田谷区の境界に近いという事実が上げられます。
小中学校は区立であるため、当然、友達も同じ杉並区の在住者に偏ります。その結果、活動範囲も、自然と杉並区内に偏ります。子供の頃、杉並区内ははるか遠方まで遠出しているにも関わらず、世田谷区内の探索はほとんど行っていません。
そこに、あまりにも意外なものを含む死角が生じていたわけですね。