一時かなり遅れていましたが、今はおおむねリアルタイムに近い時間で見ています。
つまり、2007年5月16日放送 第136話 「邪心経典発動!暗黒界の魔神レイン」まで見た状況でこれを書いています。
1年目、2年目、3年目 §
1年目も良かった。万丈目の復活はやはりドラマだ!
2年目も良かった。Dヒーローという屈折した存在を扱うエドは十代とは違う主役だった。
そして3年目。
新しいキャラクターが大挙して参加した時にはどうなるかと思いましたが、この連中が実に魅力があっていい!
しかも、異世界でデュエルを行うという大胆なストーリー展開を行いつつも、最初の異世界では漂流教室的なサバイバルのドラマを、そして2回目の異世界では信頼の崩壊という心のドラマを描いてくれます。
途中で、これはちょっと……と思ったこともありますが、徐々に飲み込めてくるにつれて、「これはいいぞ!」と思うようになりました。
3年目のOPとED §
ちなみに、3年目のOPとEDもいいですね。
歌もいいし、絵も良いです。
OPは特にヨハンが出ている頃のものが好きですね。
EDは、サッと連続してデッキを開き、そして閉じていくところが凄く良いですね。カードの内容を把握できるだけの時間はありませんが、それでもカードの印象とカードを扱う手のファッション性から、誰のデッキであるか一目瞭然というのが演出の見事さです。
あともう1つ、同じポーズでカードをかざす十代、万丈目、天上院というカットで、万丈目が格好いいのも良いところですね。
魅力ある3年目の新キャラ達 §
3年目開始早々やってきた新キャラ達。
こいつらが、またみんな良いキャラなのだ!
プロフェッサー・コブラ §
まずは、悪のボスと思わせるだけの貫禄を見せつけつつ早々に退場してしまった可哀想な人。この落差は、とても印象深いですね。強そうな人が持つある種の脆さが泣けます。
更に言えば、いかにヨハンやオブライエンの心が強いかも、彼との対比で分かります。
ヨハン・アンデルセン §
これまで、ある意味で孤独だった十代。いかに、丸藤翔やティラノ剣山がアニキと慕ったところで、天上院明日香が気に掛けたところで、十代の十代らしい生き方と噛み合う友はいなかったと言えます。
そして、おそらく初めて登場したのがヨハンです。
いくらでも楽しそうにデュエルの話をできる十代とヨハンというのは、ある種の理想的な「親友」と言えますね。
更に、最初の異世界のラストで、自分の身体を張ってみんなを助けたスマートさと情の厚さも魅力があります。
とはいえ、彼を助けねばならない心理的必然性において、十代と他のみんなに落差があるのはやむを得ないでしょう。ヨハンが最高であるのは、十代との組み合わせにおいて……なのです。
オースチン・オブライエン §
こいつもいい!
最初は悪の手先かと思わせておきながら、実は誇りのある傭兵です。
最初の異世界では警備部隊を組織して、本当に頼れる男ぶりも見せてくれます。特に組織をまとめる……という点では、個人主義者の多いデュエリスト達の中では特異的な存在かもしれません。
しかしそれにも関わらず、オブライエンはたった一人でも強いし、頼れる男です。
そういう意味で、オブライエンは本当に優秀な人材ですね。
十代達は、オブライエンの力で支えられている面があると思います。
ジム・クロコダイル・クック §
片目を隠し、ワニを背負った変な男。
しかも、天上院明日香をトゥモローガールと呼んだり、言葉遣いも変。
ですが、いざ危機的状況に陥ったときに見せる冷静さや強さは魅力がありますね。まっとうな常識人よりもずっと頼れる意外性を意識してしまうと、逆にワニを背負った彼を見ると安心してしまうかも?
アモン・ガラム §
優秀な人物かと思いきや、暗い過去と屈折した心理の持ち主。
他のアカデミアから来た4人のうち、彼だけが状況からドロップアウトしてしまった感があります。しかし、彼の過去や、彼を慕うエコーの存在を考えれば、彼もまた困難な人生を生きてきた魅力ある人物の1人です。
加納マルタン §
マルタンは、彼自身よりも、遠くから彼を心配しているナポレオン教頭の態度の方が分かる感じがしますね。ナポレオン教頭も人の子であったのか!という感じで。
早乙女レイ §
実は、遊戯王DMと違って、GXは女性キャラクターに偏りがある感じがありました。たとえば、天上院も、十代が使うバーストレディーも、冷たく尖ったタイプの美女です。一方、遊戯王DMでの女性達といえば、デュエリストではなくダンサー志望の少女である真崎杏子は柔らかいタイプの女の子です。遊戯が好んで使うBMG(ブラック・マジシャン・ガール)も、直接肉弾戦を行うタイプではなく、またブラック・マジシャンの弟子という位置づけであり、格下のかわいげのある女の子というムードがあります。
そういう状況で、再登場という形で3年目のGXに来たのがレイです。寒色系のオベリスク・ブルーの制服を着る天上院に対して、暖色系のオシリス・レッドの制服を着て「格下のかわいげのある女の子」という対照的なムードを見せてくれました。
2回目の異世界には参加していないので、もう出番がありませんが……。彼女も3年目のGXで重要な価値を持つキャラクターだと思います。
孤独なデュエリストの心 §
さて、3年目の展開でグッと来るのは、やはりヨハンを失った十代の孤独感でしょう。
ここでポイントになるのは、十代に自発的についてきた万丈目や天上院らの立場と態度です。
彼らは、十代の勢いに乗せられてうかつに異世界に来てしまいました。
しかし、デュエルが本当の命を賭けて行う行為であると知ると、そんな恐ろしい場所とは思っていなかったと尻込みしてしまいます。
このような状況下で、状況に深入りしていく十代と、彼らの溝は深くなるばかりです。
それどころか、仲間達は負の感情に囚われ、カードの生け贄にされてしまいます。彼らは、十代に恨みの言葉を言いつつ、消えていくのです。
敵の激しい攻撃に晒され、仲間からも恨みの言葉しか聞けない状況でデュエルする十代の極限状態の心理ドラマは見事ですね。
もちろん、その後で怒りと復讐に我を忘れて戦う十代の「自分を見失った」強さも見所です。
この展開は、本質的な意味でのデュエリストの孤独を描いていると言っても良いと思います。いかに仲間がいても、デュエル中に頼れるのは自分だけです。自分のデッキを信じろ……という言い方は、裏を返せば頼れるのはデッキだけという状況を示しているのかもしれません。デッキ1つだけを拠り所に戦う心は、仲間と本当の信頼で結ばれていない可能性すら示唆します。
(ちなみに、遊戯王DMでは硬い信頼で結ばれた本当の仲間が存在します。しかし、それはデュエリストとしての仲間ではありません。それ以前に結ばれた信頼関係であって、十代を巡る状況とは少し違うのです)
ですから、十代はこの状況を乗り越えていかねばならないのです。
それは、たとえ今十代が直面しないとしても、デュエリストであり続ける限りいずれは直面する問題です。
それを非常に印象的に描いているのが素晴らしいですね。