2007年11月10日
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番外編・ガンダム00は真の非幼児アニメを指向したことにより、「幼児」の支持を失ったのか?

Written By: カワマタアキラ連絡先

 機動戦士ガンダム00の第6話まで見た感想です。

 過去に「試論・アニメブーム30年戦争 つまりアニメブームとはファン対ファンの意識されざる戦争であったのか!? 《前編》」において、以下のように書きました。

 ここで使用されている「大人指向派」等の用語は、この文脈においてそれぞれ意味が定義された上で用いられているので、原文を参照して把握した上でお読み下さい。

 1979年4月7日から始まった機動戦士ガンダムは、このような状況を安定的に固定化させる働きがあったと考えられます。

 この作品は、ヤマト以上の大人指向派の世界観を持ちながら、それと同時に子供指向派も大満足するようなロボットアクションを提供しました。

 大人指向派から見れば、「あんなピエロのようなロボットさえ出なければもっと気持ちよく見られるのに」という感想になりますが、子供指向派から見れば、ロボットアクションを楽しみつつ、それに後ろめたさを感じないための正当化の論理も提供してくれるまさに理想的な作品であったと言えます。

 この時点で、大人指向派と子供指向派は最高の蜜月状態にあったと言えるでしょう。

 つまり、元来少数派であった大人指向派は、自分たちの嗜好を社会に認めさせるために、多数の子供指向派の人数の力を借用できたのです。そして、子供指向派は、後ろめたさや、「はやく卒業しなさい」という圧迫から逃れるための論理を、大人指向派より手に入れることができたのです。

 つまり、機動戦士ガンダムという作品は、「大人指向派」と「子供指向派」に対して、優れたサービスを提供した作品であったということです。そして、それ以降のガンダムシリーズは、大なり小なり、同じような特徴を継承しています。

 ところが、ガンダム00という作品は、完全に「大人指向派」にのみサービスする作品であり、「子供指向派」が切り捨てられています。

 この点は、私にとってはまさに痛快で面白いところです。

 話の内容も面白いですが、それと同時に、作品が持つそのような構造そのものが面白いですね。

「子供指向派」の切り捨てとは何か? §

 ガンダム00におけるそれは、一言で要約すれば、「巨大ロボットプロレス」「巨大プロレスチャンバラ」の快感の除去です。

 この作品において、ガンダムは圧倒的なテクノロジーを持ち、モビルスーツ戦で勝利して当たり前です。そこには、本来「ロボットアニメ」が持っていはずの勝利の快感、カタルシスは希薄です。それゆえに、この作品はおかしい、出来が悪い、間違っている、ガンダムはXXであるべき、といった批判が出てきます。

 しかし、この作品が語っている物語の本質とは政治と経済と駆け引き、そして戦争に向き合う人間の心です。そのようなドラマにおいて、実行力となる軍事の位置づけは単なる手段でしかありません。つまり、手段である軍事力の行使は、派手であるために作品中の見せ場の1つにはなっても、それはクライマックスにはなり得ないのです。クライマックスとは、軍事力の行使という出来事を駆け引きの道具として使って、利益を得た者と失った者が生じる部分にあります。

誰のための物語か? §

 つまりですね。

 敵を倒すだけで問題が解決されてしまう物語は、まったくもってリアリティがないばかりか面白くない……と常日頃から思っている人(私のような人ですね)が納得する物語を作ろうとするなら、こういう物語にならざるを得ない……ということですね。

 上で引用した文章に出てくる「アニメブーム30年戦争」という対立構造において、少数派であったはずの私の側に立った作品が堂々と出てきたのは非常に面白いです。しかし、それこそが本来あるべきアニメの健全な進歩であると私は思います。

補足 §

 であるから、逆説的にガンダム00は極上の戦争アニメなのですよね。

 リアルな戦場を描いた「だけ」のアニメは本来戦争アニメではなく戦闘アニメと呼ぶべきものです。戦争を題材として扱うならば、戦争がいかなる効能を持った手段として政治的に使用されるかという観点が必要とされます。

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