12巻・100時間目扉絵 スカートの中身が丸見えでもエロより美を感じさせる構造

　12巻・100時間目扉絵が凄いですね。

　さすが100時間目の記念扉絵。

　明日菜と刹那が空中で戦っている構図ですが、「明日菜の右足+胴体」「明日菜の左足」「刹那の胴体+右足」「刹那の左足」が方形を作りだしています。そして、左右に伸びる「明日菜の左足」「刹那の左足」はまっすぐ左右に伸びているのに対して、「明日菜の右足+胴体」の延長線上にある左腕、「刹那の胴体+右足」の延長線上にある右足の膝から先は曲がっており、上下方向の勢いを殺しています。その結果として、左右に伸びる勢いが強く強調されます。それによって、左右から交差する瞬間という印象が形作られます。

　直前の幼い明日菜、ナギ、タカミチらのシーンの重さと見事さに負けないで「現在時制」のシーンへとつなぐブリッジとして機能しています。

　うーん、これは見事です。

　逆に、学園祭編の扉絵は、本編のテンションが高いときは扉絵が突出して自己主張せず、なめらかにエピソード間をつなぐようになっているのも見事ですね。

　扉絵1つにしても、見せ場と見せ方を心得ています。