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2008年08月01日
川俣晶の縁側歴史と文化下高井戸周辺史雑記total 19337 count

歴史常識の非常識・「日本は戦争で中国に負けた」事実を知らない日本人問題!?

Written By: 川俣 晶連絡先

 桜上水Confidentialさんが以下のような良いことを書いています。

2008.07.30 中国より

皮肉屋のイギリス人ジャーナリストと食事をしていたところ、

同じ侵略者でもなぜ中国は日本を非難して、イギリスを非難しないか に話しが及んだ。

「日本は悪くて、イギリスは悪くない。

そりゃあ、当たり前だ」

「上海大虐殺はなかったとか、総理大臣が靖国神社へ参拝したりとか、いかん部分があることは認めるが...」

「そんなことは関係ない。日本は中国と戦争やって負けただろ?」

「まあ...そういうことになるのかな?」

「その自覚がないのがいけないんだ。

イギリスが悪く言われないのは当たり前。イギリスは、中国と戦争やって勝ったんだもの」

「日本だって、日清戦争には勝ったぜ」

「だからぁ。そうじゃないんだって。一番最近の戦争で負けただろ。その自覚がないんだよ。日本人には」

目からうろこ。

あ、中国人は戦争やって勝ったと思ってるんだ。

(以下略)

 下高井戸周辺史とはほとんど関係ありませんが、良い機会なので少しだけ書いておきます。

 ちなみに、以下の内容はその場の勢いでいい加減に書き飛ばしたものなので、内容はけして信じないように。むしろ間違っていると思って読むのが知的な態度でしょう。信じて自慢げに語ったりテストの答えに書いて酷い目にあっても責任は取れません。あしからず。

中国に負けたことを知らない日本人 §

 このイギリス人の意見に全て賛成するわけではありません。

 しかし、「戦争に負けた自覚がない」というのは事実でしょう。

 これは、いわゆる満州事変から日中戦争にかけての中国との戦いに、日本人の多くは勝ったと思っている、ということですね。しかし、当然のことながら日本は負けています。おそらく、日本人の多くが見落としているのは以下の3点です。

  • 日本が中国で躍進したのは、中国内部で国民党と共産党が激しい内戦を行っている時期で、全力で日本軍と戦っていない。国共合作が成立した後、日本軍はそれほど目覚ましい成果を出せなくなった
  • 広大な国土を持つ大陸国家にとって、国土の奥深くまで攻め込まれることは必ずしも軍事的な不利にはあたらない。敵は、伸びきった補給線という弱点を抱え込むからである。補給能力が限界に達すると前進できなくなり、しかも持久戦に持ち込まれると補給線や占領地の維持に資金や戦力を割かれ、弱体化していく。つまり、自滅待ちはあり得る選択
  • 相手が参ったと言わない限り、決着は付いていない。常に逆転はあり得る。しかし、日本はポツダム宣言を受諾することでアメリカ合衆国、英国、中華民国、ソビエト連邦の四カ国に無条件降伏して、「参った」と宣言した

 つまり、中国が「負けた」と思う理由はどこにもありません。

まだまだあるぞ・日露戦争も §

 こういった疑問を追求していくと、いくらでも他に事例があります。

 たとえば、世界の大国ロシアに勝利したと日本人が信じて疑わない日露戦争。しかし、このときロシアは既にロシア革命の火種を国内に抱え込んでいます。そういう意味で、革命対策にもエネルギーを割かねばならず、全力で日本と戦ったとは言えません。

 有名な日本海海戦にしても、バルチック艦隊は日本の支援国の妨害を受けつつ、世界を半周する大航海で疲れ果ててやっと来たところを、元気いっぱいで待っていた連合艦隊に迎撃されたわけです。最初から大きなハンデのある戦いだったわけです。

零戦無敵神話も §

 太平洋戦争の初頭、零戦は欧米の戦闘機に対して圧倒的に優位に戦いました。一般的には、零戦の後継機種の開発遅延により、日本軍は空戦で劣勢を強いられるようになったと理解されているように思えます。

 しかし、よく考えてみるともっと別の要素があります。

  • ヨーロッパでは国家の命運をかけた大戦争を遂行中であり、極東の植民地防衛のために優秀な部隊を送るはずがない
  • アメリカはそれまで戦争に参加しておらず、パイロットに実戦経験がない (中国に行った義勇軍のような例外はあるが)。また、人種差別的な思想から日本人をなめていた
  • 一方、日本軍は中国大陸で十分な実戦経験を積んでいた

 つまり、アメリカ軍のパイロット達が十分に経験を積み、日本人を侮らなくなった時点で零戦無敵神話は消滅していたと考えられます。ちなみに、機体の性能差は問題ではありません。相手の弱点を研究してチームワークで追い込めば(いわゆるサッチ・ウィーブ)、より強力な相手も仕留められます。

常識の非常識と歴史 §

 こういった歴史の常識が非常識に化ける瞬間は、歴史を知る楽しみの1つでもあります。しかし、この手の戦争の歴史は、実はある程度以上追求しても面白くありません。ほとんど間接的史料に頼るしかなく、しかも様々な利害関係が絡むため、どこまで事実を反映しているか分かりません。旧軍軍人の証言もあてになりません。しかも、閉鎖的かつ機密の塊のような軍隊絡みとなれば、なおさらです。それに加え、終戦時に焼却された等の理由で、失われた資料も多くあります。

 では、戦史以外の何を追求したら歴史は面白いのでしょうか?

 私の答えは、「郷土史」です。自分の住む場所の周辺であれば、何回でも容易に現地に足を運ぶことができます。そして、現地を見ていると分かることはいろいろあります。たとえば、かつての水路が道路になっていても、暗渠の典型的な特徴が分かれば、道路を見て水路跡だとあたりを付けることも可能になります。そういった現地で得た情報と史料を付き合わせて楽しむ方法の方が、ずっと満足度が高く面白いと思います。

 あくまでも、個人的な「面白さ」ではありますが。

 常に片足を、「自分の目で見た現物」に置き続ける限り、たとえ誤った説を唱えたとしても、そこに一片の真実が含まれる可能性を留保できます。

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