2008年08月31日
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旧甲州街道『滝坂』・京王線 仙川駅~つつじヶ丘駅間廃線跡

Written By: 川俣 晶連絡先

 甲州街道が江戸時代に五街道として整備される前は、仙川とつつじヶ丘の間にある滝坂という坂から東の経路が全く違っていたと言います。現在は下高井戸、新宿を経由して四谷方面に続きますが、昔は滝坂から南の方に進み、渋谷の方に続いていたとされます。これを滝坂道と呼びます。

 さて、この滝坂道ですが、実は十分に徒歩圏内、散歩圏内を通っています。ヨークマート桜上水店(世田谷区桜上水2-6-9)の前で合流する南側の道がそれです。そのあと経堂駅の方に進み、商店街が続く道です。

 そのあたりが明確に意識されたとき、「そもそも滝坂とは何だろう」という疑問が出てきて、それが甲州街道の旧道となる急な坂道であることが分かり、場所も特定できました。キューピーの少し先です。

旧甲州街道『滝坂』 §

京王線 仙川駅~つつじヶ丘駅間廃線跡 §

 さて、そこまでは少し前の話です。

 昨晩、それに加えて面白いことに気付きました。

 上の地図のF点から南に延びる道は、実は京王線の廃線跡らしいのです。そんなバカなと思うかも知れませんが、開業当初、仙川から調布あたりまでの路線経路は全く違っていたのです。なんと甲州街道を超えて北側を線路が続いていたのです。

 詳しくは、調布~仙川廃線跡を探る(1)あたりを参照願います。

 現在道路として跡をたどれる範囲は以下の部分と思われます。

 同じ場所に旧道と廃線跡があるなどという面白い場所を放ってはおけません。さっそく行ってきました。

 ちなみに、A点で接しているのは滝坂道(滝坂という坂のある場所ではなく、滝坂道という古い道路)です。

廃線跡 §

京王線廃線跡(?)

 路線はほぼ直線ですが、凄い坂です。これが昔通りの地形のままだとすれば、京王電気軌道屈指の難所の1つだったのではないかと思います。

 もう1つ、この坂が本当に旧線路であれば、仙川駅は掘割ではなく地上駅だった可能性が高いと思います。掘り割りを通す気があれば、これだけの急坂に線路を敷く理由がありません。

 とすると、調布~仙川間の線路の付け替えは、甲州街道との交差部分を解消するために線路を甲州街道南側に持っていくだけではなく、仙川付近の急勾配解消という意図もあり、そのために仙川駅の堀割化工事も平行して行われた可能性も考えられます。

 いろいろ面白い可能性が思い浮かびます。

 2008/09/01追記。間違いなく勾配解消も目的の1つだったことを京王帝都電鉄三十年史で確認しました。しかし、堀割=切通しが作られた時期に関しては謎が浮上しました。このあたりは、「迷走する史料・仙川駅付近の切通しは開業当初からあったのか昭和2年に掘られたのか?」を参照願います。

川付近 §

 上記廃線跡と甲州街道の合流点付近には、「入間川(いるまがわ/いりまがわ)」に掛かる「入間橋」があります。そのあたりの廃線跡道路と甲州街道の境界には、ボロボロで崩壊しかかった柵がありました。

残存するボロボロの柵

 これがいつの時代のもので、誰が作ったものかは分かりません。ただ、相当古いこと、手入れが行われていないことは間違いないでしょう。何が理由か分かりませんが、道路、廃線跡、川が交錯する特殊な場所で、管理責任が曖昧で誰も手を付けられないのかもしれません。特に川が絡むといくらでも不思議なことが起こりえます。

滝坂下 §

 滝坂のやや西方には滝坂下という交差点があります。現在も生きている地名なのですね。京王線ユーザーとしては、仙川→つつじヶ丘という地域名しか意識しませんが、中間の地名ももちろんあり得ます。

滝坂 §

 下から上がってみましたが、まず甲州街道から入ると少し下り坂になってびっくり。上り坂ではなかったのか! と思ったら途中から凄い登りの急坂でした。

滝坂

 やはり、ここは甲州街道の難所の1つなのでしょう。少なくとも、山間部以外では。

 ちなみに、カメラを持って坂を撮影している年配の男性を見かけました。やはり歴史趣味の方?

オマケ §

 階段のようで階段ではない謎のトマソン。滝坂道と京王線が交差するやや南側にて。

トマソン?

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