宇宙戦艦ヤマトを解釈する1つのポイントが、おそらくここです。
多くの人は宇宙戦艦ヤマトを地球防衛軍に所属する軍艦と見なします。
戦艦という以上は当然です。
しかし、「軍艦である」にも関わらず、戦闘しないエピソードは珍しくもありません。
実は、子細に見てみると「ヤマトの豊富な武装を用いて敵を討つ」ことが真の見せ場になったことは多くありません。(七色星団ですら、実はドリルミサイルの逆回転と、ドメルの決断と自爆が見せ場なのだ。ヤマトが敵を撃つ描写は、そこに含まれないのだ)
ということは、「たまたま軍に所属して軍艦に乗っているが、それは本質ではない」ことになります。
では、何か本質なのかといえば、やはり冒険でしょう。なぜかといえば、以下のような状況があるからです。
- 戦闘は冒険に際して付随する1つの行動でしかないが、付き物である
- 冒険に乗り出すために乗る船が軍艦であっても奇異ではない (そういう冒険に耐える船が軍艦であることも多い)
- 冒険に乗り出すのが軍人であっても民間人であっても大差ない (待ち受ける驚異がそのような差をほとんど意味がないぐらいに無意味にしてしまうのが冒険だ)
それゆえに、宇宙戦艦ヤマトとはまず軍艦であるという以前に冒険船である、といえます。あるいは軍艦に乗って冒険に出ているだけとも言えます。
であるから §
実は復活編でヤマトが「正体不明の敵」から攻撃される宇宙に乗り出していく設定は「冒険」と呼ぶに相応しいわけです。敵が分かっていて宣戦布告されていたら、それはただの軍事行動です。