ズォーダー大帝とは、デスラーと比較して扱いが小さな悲運の人です。しかし、ヤマト2の陰の主役ともいうべき味のある大物です。
さて、ズォーダー大帝の最大の名台詞といえば、さらば宇宙戦艦ヤマトの「女だな、サーベラー」だと思います。
実はこの台詞は、ズォーダー大帝が武人であり男であることを示すと同時に、厳密な意味で独裁者タイプではないことを示します。つまり、側近の決断にノーと言えないタイプです。そういう意味で、ヤマト2のズォーダー大帝と大差ありません。側近の行動を抑止できないのです。
その点は、軍の独走を抑えられなかった昭和天皇に近いタイプであり、ズォーダー大帝は彗星帝国の開祖ではないでしょう。自分で帝国は作れないのです。その点で、自分の帝国を作れるデスラーとは違います。ズォーダー大帝から向けられるデスラーへの好意の背景にはそういうものがあるでしょう。
それを簡潔に示すという意味で、「女だな、サーベラー」は名台詞です。
……と思っていたのだが §
WikiPediaにこの台詞は零号フィルムのものであり、流布されている版には入っていないと指摘されて愕然としました。
ひおあきら版などにも入っていて、いろいろな資料にもあり、映画に含まれることは当たり前だと思っていたあの台詞が欠けているとは。
いかにも足下をすくわれた思いです。
確実だと思っていた足下が崩れた気がします。
実は、私が「さらば」だとずっと信じていたものと、世間が「さらば」として評価している対象が同じではないかもしれないからです。
しかし §
しかし、ヤマト2にはこの台詞があるらしい (古いカセットテープのデジタル化を進めていけば確認できるはずだが、切れたテープの対処を準備しないと)
余談 §
初回上映時の記憶を辿ってみると。
- この台詞のあるシーン、英雄の丘のアンドロメダ通過後のシーンも見ている可能性がある
- 徳川が出てくるシーン、土方の艦長就任にまつわる騒動はおそらく見ていない (他のメディアでは目にしている)
- 白色彗星のパイプオルガンはおそらく「白色彗星」である
つまり、零号フィルムの1つを見た可能性が十分にあり得ますが、確実ではありません。ちなみに、さらばではない宇宙戦艦ヤマト映画を見たとき、スターシアが死んでいたのは確実です。あれは鮮明に覚えている驚きです。カットだと思ったら新作の別展開だったなんて! しかも同じ映画をTVで見たときも驚きです。ぜんぜん別物が入っているなんて!
ついでに、「女だな、サーベラー」の件も、「ひおあきら版」が独自展開ではなく原型により忠実である傍証になります。