2010年03月21日
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終戦における陸海軍の意識の差と「わが青春のアルカディア」と「ヤマト」

Written By: トーノZERO連絡先

 やっと分かってきましたよ。

 昭和20年(1945年)8月15日に太平洋戦争は終わっているわけですが、その際の陸海軍の認識には差があります。

  • 海軍 ほとんどの主力艦が沈められ、水上特攻にも等しい大和の出撃と撃沈もあり、残った船もほとんど空襲で着底し、宇垣纏中将も特攻して、完全に燃え尽きて終わった
  • 陸軍 まだ本土決戦もやってないし、本土決戦で負ければ天皇を連れて満州に後退すれば更に戦えた

 つまり、西崎ヤマトと松本ヤマトの差を

  • 真っ白に燃え尽きるまで戦え
  • オレはまだ戦えるのに国家が降伏してしまった

 という2つに価値観の対立に収束させた解釈と完全に一致します。

 従って、わが青春のアルカディア(映画)は、復員船として使われた「まだ戦える」デスシャドウを飛べないように破壊してハーロックは降りますが、これは陸軍的な解釈です。

 しかし、実際の復員船は「やっと航海できる」レベルであり、とても戦力に入らず、しかも数が足りずに勝者から船まで借りて行ったものです。航空機などの小さな機材や資料を破棄する行為は行われたかも知れませんが、主力艦のような大規模な対象を壊す余力は海軍には無かったと考える方が妥当でしょう。というか、既に空襲で戦えない水準まで壊れていたと思われます。2520で第16代YAMATOが残骸として「あえて壊す余地もなく破壊された姿」で横たわっているのが、おそらく海軍的な解釈です。

 これを持って「どちらが正しい」と判断を下す行為はナンセンスですが、争いの遠因を考えるヒントにはなりそうです。

オマケ §

「というわけで比較してみたのだが」

「いやその、天皇を連れて満州ってマジ?」

「さあ。そんな構想もあったらしいという話も聞いたことがあるけど、真偽は知らん」

「ってかさ。普通は本土決戦と言えば、背水の陣でしょ? 負けたら後は無いわけでしょ?」

「必ずしもそうとも言えないよ」

「えー?」

「イギリスも本土を奪われたらカナダに後退して戦い続ける構想があったようだし」

「そのスケール感は想像を絶するな」

「小さな国土でひしめきあう戦後日本のスケールで考えてはダメだな」

「ま、考えるだけなら、ということだけどね」

「そう考えるだけなら。実行できるか、やって価値があるかは別の話としてだな」

「確かに発想だけなら何でも持てる」

「だから、最終決戦と本土決戦は必ずしもイコールではない、ということだ」

「そういえば、ガミラスも本土決戦に負けているけど、ヤマト2で戦えるだけの戦力を残しているね」

「ヤマトの航海はガミラス本土への一直線の線だが、ガミラスは帝国として面の展開を行っていた、ということだろう。だから、本土の崩壊とデスラー総統の打倒はガミラスの崩壊と必ずしもイコールではないわけだ」

「だから、デスラーはヤマト追跡に執着してデスラー艦だけで必死にヤマトを追っていたけど、実際には彼の帝国と艦隊はまだ残っていた?」

「そもそも本来のドメル艦隊もヤマトと戦わないで後退しているわけだし、他の戦線で消耗したとしてもある程度は残っていたはずだ」

「ちょっと待てよ。ならばその残存した組織や資材はどこに消えたのだ?」

「ヤマト2で対ヤマト戦に投入され、新たなる旅立ちのイスカンダル防衛戦でほとんどが消耗された……と言いたいところだが、そうではないかもしれない」

「というと?」

「ガミラスが占領していた星を維持管理する者がすべて軍人とは考えられないし、ガミラスに協力的な星もあったはずだ」

「実際、ビーメラ星はそういう感じだったね」

「反対派もいたけどね」

「まあそういう対立はどこにでもあるでしょ。アマールとかでもね」

「だからさ。新たなる旅立ちの最後でデスラーは自艦1隻しか残らなかったように見えるけれど、それは直率する艦隊が1隻しか残らなかったというだけで、実際はガミラスというシステムはまだ残存していたのではないだろうか」

「でも、そんなものはその後は出てこないよ」

「そうさ。おそらくそのシステムはデスラーのガルマン民族解放運動を支援した上で、そのままガルマン・ガミラスの一部に統合されてしまったと思われるからだ」

「なんと」

「ガルマン・ガミラスは主にボラー連邦に虐げられてきたガルマン民族から構成されているが、あくまでデスラーが戦って勝ち取った帝国だ。ならばデスラーが大帝国であるボラー相手に戦える根拠はどこにある? デスラーには武器弾薬食料を補給し、兵士を休息させる場所が必要だが、小マゼラン星雲あたりがそのために有力な足場を提供していたのではないだろうか?」

「なるほど」

「従って、完結編の銀河衝突によってガルマン・ガミラスは滅びるが、小マゼラン星雲のような辺境を視察していたデスラーは生き延びることができるし、彼の帝国は全て崩壊したわけではなくなる」

「ではなぜ、復活編や2520にデスラーの帝国やその後継者の帝国は既に存在しないの?」

「それは分からない。とはいえ、デスラーが助けに来ない版を前提に考えれば、デスラーは既に死んでいたと解釈でき、もう出てこないことも良く分かる」

「完結編の場合も異説のフィルムが多いそうだし」

「だから、混乱を避けるために、静かに余生を送ったことにしてもう出番がないというのもあり得る解釈だろう」

「あれだけ激しい男なのに?」

「激しいからこそ、反動も大きいのかも知れないぞ」

「そういうものかな」

「あるいは……」

「あるいは?」

「彼には別の出番を企画しているのかも知れない」

「べ、別の企画!?」

「既にデスラーズウォーなどの企画が存在したことはほぼ確実。ならばヤマト復活編の成功の余波に乗って次はデスラー復活編もあり得るかもよ?」

「いや、あれを成功と言えればだけどね。営業的な意味で」

「おとっつあん、それは言わない約束でしょ」

「でも、傲慢な態度でボラーを蹴散らして何をするかと思えばガルマン民族を助けるだけというデスラーも見てみたいよね」

「うんうん。無理っぽいと分かっていてもそう思う」

「もはや無理っぽいね。やはりもっと今時のテーマを取り上げないと」

「どんな風に?」

「いっそ、デスラーが次の仕事を探すデスラー就活編」

「スターシャを失った痛手を癒そうとお嫁さんを探すデスラー婚活編とか」

「そして娘まで作っちゃうの。ところが人の心を読む能力を持っていて……」

「って、永遠のジュラ編かいな!」

「やはり1年でいきなり大人になった娘を連れて打倒ボラーっていうのも」

「デスラーよ永遠に!」

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