「前にも言ったと思うけど、ガ○ダムはパイロットが搭乗してしまうと顔が見えない」
「ロボの顔はあっても、操縦者の顔はもう見えないね」
「でもヤマトは見える」
「そうか外から窓を見ると」
「中が見えるんだよ。オープニングでも中で立っている人が外から見えるだろ?」
「うん。でもシャッターを閉めると……」
「そうだ。見えなくなるけど、どうしても必要になるときまでシャッターは閉じない」
「見えるのがノーマルなんだ」
「うん。ヤマトは見えるのがノーマルなんだ」
「それで?」
「実はさ。思い出したんだけど。ヤマトの後でテッカマンに燃えていた人がいた」
「ピカチュウ、ボルテッカだ!」
「いや、そうじゃなくてテッカマン。初代の方だね」
「ああ。あれだ、新造戦艦が出てくる」
「それはアンドロメダ。テッカマンに出てくるのはアンドロー梅田」
「アフロだね。やはりアフロ最強」
「問題は、おいらはさっぱり燃えなかったということだ」
「なぜ? タツノコの等身大アクションのバリエーションだろ? そういうのは嫌い?」
「いや。キャシャーンやポリマーは嫌いじゃない」
「では何が違うんだろう?」
「今になって分かってきた気がする」
「というと?」
「キャシャーンやポリマーは基本的に顔が見えるヒーローなんだ。キャシャーンは変身しない。口を覆うガードが出てくるだけ。ポリマーは変身するが、頭はヘルメットだけで顔が見える」
「なるほど」
「でもテッカマンは顔が見えない」
「そうか、その差か」
「そうするとだな。多くの謎が解けるのだ」
「というと?」
「ガッチャマンが好きだったり、かっこいいヒーローというと009が思い浮かぶのは、みんな顔を見せているヒーローなんだ。そういえば、ムテキングも割と好きだったけどあれも顔が見える」
「そうか。そこがポイントなんだね」
「だからさ。カタパルト上のコスモゼロのコクピットからブラックタイガーの発進を見守る古代が外から見えることに意味があるんだ」
「うん、顔が見えるってことだね」
「だからさ。問題はここで別の発想があり得ることだ」
「というと?」
「ブラックタイガーの発進など見守らなくていい。古代はペガスに入って変身した方がもっと面白くなる、と思ってしまう人もいるわけだ」
「そこはちょっと違うんじゃないかな。ヤマトにはヤマトの価値があるんだし」
「だからさ。そこで、ちょっと違うと思う人と、思わない人がいるんだよ」
「なるほど」
余談 §
「ただ、ペガスの中に拘束されて体をぐるぐる巻きにされるという状況は、そこはかとない官能性を感じさせる面があるのかもしれない」
「なに!?」
「全身を顔までピッチリと覆われてしまうのは、かえって皮膚感覚としての官能性を引き起こすのかもしれない」
「むー。マニアックな」
「ブースターを切り離して傾斜路から上がっていく宇宙船とか、そういう理屈の上での良いところはいろいろあると思う」
「でも、テッカマンには燃えなかったのでしょう?」
「やはり、ヤマト以後でやるには突き詰め方が足りなかったのだろうと思うな。あるいは」
「あるいは?」
「テレビスケールの限界なのかもしれない。それでは、映画スケールで作っているヤマトには届かない、ということなのかもしれない」
「うーむ」
「ともかくさ。ヤマト後の時代といえば、テッカマンよりBD7の少年探偵団の方が面白いや、とこちらは思ってしまう」
「明智君も小林少年も顔が見えるね」
「怪人20面相は変身するが単に別人の顔から正体を現すだけだ」
「そうか、自分の顔で勝負するからかっこいいわけだね」
「敵も味方もな」
「そうか。だから、そういうのを見られるわけだ」
「うん、あのポケットにミクロマンのエスカルゴのパーツ、絶対全部入らないだろ、とか思いながらね」
「ヤマトにブラックタイガーも全部入りそうにないしね」
「たしかに」
「ちなみに、三代目明智小五郎~今日も明智が殺される~、なんていうのも、今でもたまに見てるしな」
「深夜アニメすっかり見ないと思ったら、そんなものを見てるのか」
「毎回じゃなくて、たまにだけどな。33分探偵もたまに見てたし」