「凄く重要なことに気づいた」
「というと?」
「ガ○ダムの第14話サブタイトルは『時間よ、とまれ』。でも、ヤマトでよく聞くのは『急げヤマト』だ」
「それがどうしたの?」
「だからさ。ガ○ダムは無時間性に対する願望があるが、ヤマトにはない。時間が足りないとき、ガ○ダムは時間を止めたいと思うが、ヤマトは急ごうとする」
「そうか。それは対照的だね」
「更に言えば、オタクは無時間性の病理と呼ぶ現象にさいなまれていることが多いが、それゆえにガ○ダムと相性が良いことが分かる。そして、ヤマトと相性が悪いことも分かる」
「無時間性ってのは、まさに時間が止まって欲しい訳だね」
「というか、止まっているふりをする」
「未だに1979年のガ○ダムを延々と語ってるわけだね」
「ご苦労なことさ」
「未だに1974年のヤマトを語ってる君もな」
「あくまで昔語りだよ。既に古びた話で現役ではないと自覚しているよ」
「それで、何か言いたいんだい?」
「だからさ。重要なポイントはどこにあるのかというと、時間に価値を見出すか否かなんだよ」
「それで?」
「未来で待ってるとソフィーが叫ぶハウルもやはり有時間なんだ」
「ハウルも待たせたねと登場するね」
「つまり、時間が演出になっているわけだ。時間が流れていないとこれはできない」
「ヤマトもそうだね」
「1年という期限もそうだし、重核子爆弾の同時解体も時間が流れているから意味を持つ」
「斎藤が真田に言う、慌てず急いで正確にな、という台詞も凄く時間を意識してるね」
「古代は歩いた。3日掛かった、という台詞もな」
「ということは時間は重要だね」
「大切でもある」
「たがかアニメごときにいつまでも関わっていられないということだね」
「理屈の上ではその通りだ」
「時間よとまれ」と「時間よとまれ」 §
「ここまで書いて気づいたのだが、ヤマトでも時間よとまれと言ってる」
「どこで?」
「歌としての新たなる旅立ちの歌詞」
「じゃあ、ここまでの議論は無意味?」
「そうとも言えない。なぜなら、2番の歌詞は、時間よ行けよに変わるからだ」
「どういうこと?」
「平和な時は止まって欲しいが実際には続かない。しかし、哀しいときは過ぎ去って欲しいという歌詞なんだな。だから、実際には無時間願望とは言い切れない。そもそも、新たなると言った時点で既に無時間的ではない」
「つまり、時間は止められないということを強調するための時間よとまれなんだね」
「そうだ」
「やはりヤマトは時間が動いている世界なんだね」
「でも、そういう世界はオタクやネットの世界では受けが悪い。あれは時間停止願望に満ちあふれているからだ」
「とっくに終わったブームを後生大事に抱えている人がいっぱいいるね」
「しかし、声が大きく目立つだけで、全体の中では少数派に過ぎない。多数派は時間が動いている側に生きている」
「なぜそうなるんだろうね」
「良く分からないが、結婚して子供を作ってしまうとイヤでも意識するからかもしれないな」
「子供はどんどん成長するからね。時間を意識しちゃう」
「学資も貯めないとならないけど、期限が切られるし」
「足りないから来年にまわす、とは言えないものね」
「学校に上がる年齢は待ったなしだ」
「政治の世界もそうじゃない?」
「これを書いている今、民主党の総裁選のニュースを盛んにしているが、日本が危機的な状況なのにたかが1政党の総裁選でいろいろな話が止まるのはやはり無時間的な世界観なんだろう。僕が解決に行くまでいつまでも問題は待ってくれるということだろう」
「候補者の1人は基地問題で話し合いを振り出しに戻すつもりらしいよ。よく話し合うって」
「まさに無時間的な話だな。あらゆる人がいつまでも待ってくれるわけではない」
「基地問題を解決してその代わりに日本が滅んだら感謝してくれる人も残りそうもないね」
「その通りだ。日本が滅ぶというと大げさに思われるかもしれないが」
「ヤマト世代は日本沈没世代でもあるからね。それは当然、想定の範囲内さ」
「ヤマトだって地球が滅ぶ瀬戸際まで行くし」
「同じ頃、ノストラダムスの大予言も流行ったしね」
「あれも滅びの予感を背景にしたブームだね」
「1999年には滅びなかったけど、もちろん滅びの予感はそれとは別のところにある」
「環境破壊とか人口爆発とかそういう部分にあるわけだね」
「遊星爆弾が落ちてこなくても、日本列島が沈まなくても、まさに滅びるときは滅びそうだ」
「確かに。暗い話だけどね」
「しかし、いいかもしれないぞ」
「何が?」
「日本が滅んだとしよう。日本にはもう人が残らない」
「うん」
「するとあらゆる反対派もいなくなることになる」
「そうだね」
「ってことは日本のどの土地でも基地に提供できるぞ」
「思いやり予算でコストを負担する国民も残らないけどね」
「じゃあ、基地を維持する金もないので在日米軍も撤退だ」
「それは喜ぶ人も多そうだね」
「だから喜ぶ人ももう残ってない時の話だって」
「破壊の限りを尽くされた地上には音もなく動く物も無かった。古代は知った。今1つの国が死んだのだ」
「もう神様の姿が見えない……」
「靖国神社も崩壊ずみさ。人がいないんだから。右も左も残らない」
「でも、もしかして神は無理でも仏なら」
「鎌倉に行くと砂浜に大仏が座ってるかもよ」
「オチはドテラマンかい」