「SPACE BATTLESHIP ヤマトFAQ・見ようかと思っている君へのアドバイス【第2版】という文章に、昔のヤマトファンのためのFAQとして以下のように書いた」
- Q:もうちょっとアドバイスしてよ A:ヤマトを見に行くつもりだとヤマトではないものを見せられます。ヤマトとは違うものを見に行くという決意を持って見に行くと、ヤマトに案内されるようになっています
「それがどうしたの?」
「実は、Twitterの#sbyamatoで対照的な感想を見かけてなるほどと思った。いい加減に書き飛ばしたFAQ、意外と当たってるかも知れないぞ」
「ええっ? どんな感想?」
「以下の2つだ」
- ニセヤマト(笑)。浮遊大陸と一緒に波動砲で吹き飛ばしていただきたい(泣笑)
- ヤマト好きとしては、2分で泣けるとか、泣きっぱなしとか、そんなはずないと思っていたのに、2分でうるっときた自分にびっくり。
「ニセヤマトってのも凄い感想だね」
「下の感想は、『2分で泣けるとか、泣きっぱなしとか、そんなはずないと思っていた』ということは、実はヤマトとは違うものを見に行くという決意があったことを示す」
「ヤマトというラベルを貼った映画で、ヤマトじゃないものを見せられて心が動くわけがないってことだね」
「うん。だから、彼はヤマトに案内された。だから泣けた」
「そうか。じゃあ上の方の彼は?」
「決意の有無は良く分からないが、おそらく決意はない。浮遊大陸云々と言っている時点で違うものを見る決意はなかったことが推測される」
「そうか」
「だから彼はヤマトではないものを見せられたわけだ」
「つまり、彼が見たのはニセヤマトだね」
「そうだ」
「これってどういうことなんだろう?」
「SPACE BATTLESHIP ヤマトが宇宙戦艦ヤマトじゃないという根拠はそれこそ1秒に1回ぐらいの割合で量産されるから、実はこんなのヤマトじゃないと言うのは、凄く簡単なんだ」
「うん。森雪の目で始まるヤマトなんてあり得ない」
「そうさ。超弩級宇宙戦艦6巡洋艦8護衛艦多数が高速接近中で始まるものさ」
「それがヤマトだね」
「でもさ、そこで立ち止まって考える必要があるんだ」
「なにを?」
「おそらく主要スタッフもヤマトファンであることは間違いない」
「そうだね」
「ならば、ヤマトじゃない映画を彼らが作るだろうか?」
「えっ? そうだな。できるだけヤマトを作るよね」
「ならば彼らにとってのヤマトとは何だったのだろうか?」
「浮遊大陸ではないだろうね」
「森雪が生活班長であることにもないし、最初の決戦場が冥王星であることにもない。古代進が火星にいることにもない」
「じゃあなに?」
「台詞であり、デザインではなくデザイン上の特徴であり、シチュエーションであり、ヤマト魂なんだろう」
「そうか」
「その段階まで進むと、この映画はヤマトネタの膨大な断片の海の上にあることが分かる。どっちを向いてもヤマトの構成要素なんだ。いくら、佐渡が女かよと思っても猫と酒瓶が見えてしまうのだ。違っているはずなのに同じ要素が無数に見えてしまうのだ」
「いくら、徳川が西田敏行かよと思っても最後にあの台詞を言われちゃうとね」
「安藤だってさ。TV第1シリーズにはいなかったけど、第3艦橋が吹っ飛んだときの犠牲者に名前が付いたキャラだと思えばやはりヤマトの重要な構成要素なんだよ」
「なるほど」
「沖田のバカメだってさ。言うタイミングが違うから、こんなのヤマトじゃないというのは簡単。でもさ。やっぱりバカメって言うのはやはり沖田しかない。藤堂じゃダメなんだ」
「そうだね」
「南部だってアニメとは似てないよ。でも、メガネ君なんだよ。メガネ掛けてるんだよ」
「別人だけど南部だって納得しちゃうね」
「だからさ。SPACE BATTLESHIP ヤマトに浮遊大陸はないが、浮遊大陸も含めてヤマトの全成分は砕かれてぐつぐつ鍋で煮込んであるんだ。その鍋をオーダーすると、出てくる料理はヤマトではなく鍋だ。浮遊大陸も三段空母も出てこない。そこで、ヤマトじゃなかったと帰ってもいい。やっぱりヤマトじゃありませんでした、と報告するために喜び勇んで帰ってもいい。単に上映が終わるまで時間を潰してもいい。でも、ヤマトじゃないという覚悟を最初から持って鍋に手を出すこともできる。そして、ヤマトじゃないと思って一口食べるとあら不思議。ヤマトの味がするんだ。ヤマト以外の何者でもない味がするんだ」
「結果として、同じ劇場で上映終了までいても、食べた人と食べなかった人の感想はまるで違うわけだね」
「ちなみに、最後まで劇場の椅子に座ってスクリーンを見ていることは、なんら見た内に入らない。昔からよく言ってることだけどさ。誰が見ても分かるように映画は作られる必要があるが、それで映画が分かるわけではない。最後の1歩だけは常に見る側に踏み出すことが要求されているんだ。席に座ってスクリーンを見ているだけの受動的な態度では観客としてはダメなんだ」
「いくらコックが料理を作っても、食べる作業だけは客の仕事ってことだね」
オマケ §
「『ヤマトは鍋』説の登場だ。これはピンチだ」
「どうして?」
「『ヤマトはおでん』説というのを準備中だったからだ」
「ええっ!? おでん?」
「どういう意味かは公開する時まで待て。書くかどうかは未定だがな」
「ところで、そのヤマトを砕いて煮込んだ鍋って何か名前があるの?」
「あるとも」
「どんな名前?」
「ヤマト煮っていうんだ」
「……」
「はんぺん食べてるのに、ヤマト煮の誘惑。青のりスパンコール 心乱れるドメル♪」
『あのとき総統から電話さえなければ!』