「テレサを幽霊として解釈することは前にもやったような気もするが」
「うん」
「それはそれとして、メッツラゴー!」
本題 §
「テレサは『さらば』では反物質世界の人間であると説明される」
「うん」
「でも、本当は幽霊じゃないかと思い始めた」
「えっ?」
「テレサが明確に行った物理的な行為は通信だけだ」
「まさか」
「そうさ。会話は幽霊とでもできる」
「でもさ。機械装置に通信はあったわけじゃん」
「そうだ。そこだ」
「えっ?」
「何か分からないが強力な通信が来た。これだけが事実」
「ええっ?」
「それを相原は解釈できなかった。解釈したのは真田さん」
「真田さん?」
「そして、手を取り合うとエネルギーになってしまうという説明を聞いて、テレサが反物質世界の人間と言ったのも真田さん。そうか、宇宙の愛か、と解釈したのも真田さん」
「なんだそれは」
「だから、テレサというのは謎の通信から真田さんが作り上げたイメージかもしれない」
「まさか」
「裸の少女の形をして出てくるのは、真田さんのイメージが具現化しただけかもしれない」
「あれが真田の好みってことかい」
「真田は科学という奴の傲慢さが憎いので、科学という奴の傲慢さを具現化した都市帝国を破壊して終わる。真田の人生はね」
「でも、死んだ後でテレサでてくるじゃん」
「出てくるけど、一緒に突っ込むだけで古代と会話はしてないのだ」
「えっ?」
「真田のイメージであって、古代のイメージでは無いからだろう。だからオレンジの人と一緒で、本当はそこにいないと思うべきだろう」
「ひぃ~ おばけだ」
「そうすると、テレサが突っ込めば古代は生還できるはずだ、という結末の矛盾が解消される。テレサが存在していないとすれば、古代は突っ込むしか無い」
ヤマト2のテレサは §
「ヤマト2のテレサは幽界と現世の中間にいる幽界の使者であろう」
「どうして?」
「住んでいるテレザートは死の世界。そして、テレサ自身も死んだはずなのに戻ってくる。しかも、島を幽界から現世に戻してくれる」
「まさか」
「テレサは、ズォーダーが持つ死への恐怖が具現化したものかもしれない」
「だから、ズォーダーの最大の脅威であり、しかも最後はズォーダーに突っ込んで終わるわけだね」
「でも、テレサは島とラブラブになるぞ」
「ズォーダーの好みは、クールに割り切れる男だ。デスラーのようにね。古代型じゃない」
「デスラー自身は古代を気に入っちゃうけどね」
「そうだ。しかし、ズォーダーから見て地球側で目立つのは暑苦し古代や土方じゃない。よりクールな島タイプが好みになりそうだ」
「おいおい。男だぞ」
「ズォーダーの近くにいる女といえば。サーベラー。あれで女が好きになれるか?」
「むぅ」
「しかも、『女だな、サーべーラー』といって、女を否定的な文脈で使う」
「でもテレサも女だぞ」
「死への恐怖を具現化して島を愛するとすれば、変態同性愛者ではない以上、イメージを女として思い浮かべるしか無い」
「ズォーダーの理想は女になってクールな男とラブラブになることか」
「ヤマト2のズォーダーにはそういう女性的な側面があるかも知れない」
「それでいいのか?」
「いい。ズォーダーには女性的な側面が濃厚にあるからだ。強権を振るう独裁者とはやや違う。ルックスは独裁者でもね」
オマケ §
「結局話がヤマト2のズォーダーに戻ったね」
「そうだ。ヤマトの2の見所はズォーダーの悲劇だ。そこを見誤るとあまり面白くない」
「永遠にの見所はアルフォン、みたいな話だだね」
「そうだ。そこを踏み外すと永遠にも面白くない」
オマケ2 §
「ああ、そうか」
「なに?」
「テレサがズォーダーにとっての死への恐怖が具現がしたものだとすると、ヤマト2の結末がすっきり説明できる」
「というと?」
「この時点で、ズォーダーは有象無象の夾雑物を切り捨てたんだ」
「大帝、私をおいていかないでー、というサーベラーを置いていったということだね」
「そこでズォーダーは自らの死への恐怖と夾雑物抜きで対面したんだ」
「それで?」
「ズォーダーは死への恐怖を超越するために凶悪な侵略者としての仮面をかぶったのだ。でも、死への恐怖と対面して受け入れてしまったら、その仮面はもう必要無い。侵略者ズォーダーはここで消滅するんだ」
「えっ?」
「テレサに戦闘力なんて必要無い。ただズォーダーの前に出るだけでいい」
「するとどうなる?」
「ズォーダーは自ら消えてなくなる」
「死への恐怖を超越して死ぬことが可能になるってことだね」
「だから自爆して死ぬことができる」
「だから、戦う必要も無いってことだね」
「そうだ。自ら死ぬことができるのだ。戦いは必要無い」
テレサよ永遠に微笑みを §
「ああ、そうか」
「なに?」
「テレサよ永遠に微笑みを♪」
「それがどうした?」
「永遠に微笑むことができるのは、人間じゃ無い」
「えっ?」
「やはりテレサは人間じゃないのだ」
「反物質世界の人間じゃないってことだね」
「おしっこもうんちもしないで、祈り続けられる存在なんだよ」
「つまりは、やはり幽霊」