「Dororonえん魔くん メ~ラめらは予想以上だ」
「そんなに?」
「凄いのは最初だけで徐々に凡庸なアニメになっていくのかと思ったら、そうでもない。かなりの密度だ。昭和ネタと豪ちゃんネタ満載」
「そうか」
「でも、おいらはそれほど強烈な豪ちゃんファンというわけでもないので、まあ理解度は70%ぐらいかな。まあ、実際は50%ぐらいという可能性もあるが」
「じゃあ、不満なの?」
「いや。熱いし、面白いから満足している。それで構わない。理解できないネタが残ったからと言って、怒るわけでは無い。あくまでヤマトファンであって、豪ちゃんファンではないからな」
「そうか」
「特に、本来のストーリーは放っておいてひらすらエロに走るとか。敵として登場しながら出番が与えられず抗議する敵とか。あのへんはもう、まさに豪ちゃんノリだろう。正しく、豪ちゃんアニメでは無く豪ちゃん漫画のノリだろう。あと大切な場所を豪ちゃんマークで隠すのもね」
「そうなの?」
「昔さ。『イヤハヤ南友』っていうのをマガジンで連載しているのを読んでた。確か曖昧な記憶によると、2つの家が学園で勝負をするのだけど、他の学科はすぐ終わるのに保健体育の勝負だけ延々と続くのだ。しかも、やたらエッチな展開ばかり」
「わははは」
「そういう意味では。真マジンガー 衝撃! Z編と立ち位置は近いかもしれない」
「あれもかなりの豪ちゃん愛の作品だね。でもあまりエッチじゃないぞ」
「そうだ。『こっちの方がもっと豪ちゃん愛は深いぞ』と挑発してるみたいだ」
「愛か」
「愛だ」
「あい」
「ここで、Dororonえん魔くん メ~ラめらと真マジンガー 衝撃! Z編に共通する特徴がある」
「それはなんだい?」
「原作のノリの異常なまでの尊重と、それを打破して再構成する大胆さだ。愛があるから原作を徹底的に大切にするが、けして原作へのイエスマンにならない。本来なら原作にあるはずの深い部分に降りていこうとして、そこから別の可能性を見出そうとする」
「100%原作に忠実じゃないってことだね」
「そうだ。忠実じゃ無い。でも愛がある」
豪ちゃんという条件を取り除くと §
「豪ちゃんという条件を取り除くと、この構造はそのままSPACE BATTLESHIP ヤマトにあてはまる」
「えっ?」
「だからさ。SPACE BATTLESHIP ヤマトも『俺たちのヤマト愛を見てくれ!』という強い熱気があるにも関わらず、違う物語になる。一歩行きすぎた愛は原作を踏み越えてしまうのだ。原作の向こう側に見える別の世界にまで行ってしまう」
「それってどういうことだろう」
「だから、2010年前後の今の時代の一部で典型的に見られる1つのパターンなのだろう」
「そうか」
「そういう時代に我々は生きているのだろう」
「すると他にも?」
「たとえば、アリス・イン・ワンダーランドでも徹底的な原作に忠実な描写が重ねられていくが、ストーリーは別物になる」
「それってアメリカだよ」
「言葉が違っても、同じ時代の空気を吸って生きているんだ」
オマケ §
「そういえば、2011年のドラえもん映画である鉄人兵団も、リメイクの方が原作に忠実なんだそうだ。でも、かなりぶっとんでいる」
「やはりドラえもん愛なのかな」
「静香ちゃん愛かも知れない」
「静香ちゃんの家のお風呂は絶対に出すとか?」
「そうそう。あれは外せない」
「ヤマトに真田さん。豪ちゃんに裸。静香ちゃんにお風呂だね」
「そうだ、ヤマトは真田さんだ。乗って無くても存在感がある」
オマケ2 §
「どうでもいいことに気付いてしまった」
「なんだい?」
「木下ゆうきさんという人がいる」
「誰だい?」
「サイコアーマー・ゴーバリアンの作画監督という印象があった」
「ゴーバリアンというとマジンガー顔のロボットアニメだね」
「マジンガーと関係無いけどね。でも一応、原作:永井豪とダイナミック企画」
「それで?」
「木下ゆうきさんは、宇宙戦艦ヤマトIIIの原画も手がけていると言う意味で、ヤマトと無縁とも言えない」
「ほほう。それが発見というわけですな」
「いやいや」
「違うの?」
「実はspamメールのタイトルを見て今日知ったのだが」
「何を?」
「木下ゆうな、という名前がそっくりのAV女優がいるらしい」
「ぎゃふん」
「一瞬、あの木下ゆうきさんがどんな恥ずかしい姿を晒したのかと焦った」
「するわけねえ」