「SPACE BATTLESHIP ヤマト公開時にはこういう文言が踊った」
日本人が初めて世界に挑むSFエンターテインメント
映画「SPACE BATTLESHIP ヤマト」12月1日(水)全国ロードショー
「うん。胸が躍った?」
「いや、見るまで不安もあったから難しい」
「そうか」
「それはさておき、SPACE BATTLESHIP ヤマトは本当に『日本人が初めて世界に挑むSFエンターテインメント』なのだろうか」
「たぶん、違うのじゃないか? 別にSF邦画が世界に配信されたの事例は過去にあるだろう?」
「うん。そう思う。単に過剰に煽ってるだけの感がある」
「そうだよね」
「でも、そんなのは普通だよ。よくあることだ」
「そうか」
「それよりも問題は、SPACE BATTLESHIP ヤマトは本当に世界を目指したのかってことだよ」
「えっ?」
「乗組員が日本人ばかりで、しかも船に名前もヤマトだ。これで世界に本当に挑戦しているのだろうか」
「何か話が急に難しくなったぞ」
今時の日本特撮論 §
「とすれば、結局、『今時の日本特撮はこうです!』と世界にアピールすることがメインかもしれない」
「世界の人たちに支持されるかではなく、今時の日本特撮を知りたい人に見てもらう感じだね」
「ただ1つだけ言えることは、これだけの映画はなかなか簡単にできるものじゃない。演技の熱意と力量もかなり高い。そういう意味で、作ろうと思ってすぐ作れる映画でもない。これが今の日本映画の1つの頂点ですと言って見せるに値するタイトルなのかもしれない」
「頂点だなんて思わない人もいると思うよ」
「だから、1つの頂点なんだよ。何が頂点かは人によって変わるからね」
「そうか」
「でも、世界のクロサワは頂点になれない」
「なぜ?」
「現在進行形で映画を撮ってない過去の人は、『今』の頂点にはなりようがないのだ」
オマケ §
「この『今』という概念は重要だな」
「どうして?」
「『今』にこだわる歴史マニアはどうなると思う?」
「それって自己矛盾じゃ無いの?」
「そうじゃない。『今』そこにある遺物の解釈がメインになるわけだ。曖昧な口伝の伝承は対象にならない」
「うーむ」
「だから、アニメも『今』を見ないと意味が無い」
「ヤマトの大多数は過去だよ」
「だからさ。『今』の自分を形成した原点を探って表出したのがヤマトということだ」
「難しいな」