2011年08月01日
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感想・映画「実写版 忍たま乱太郎」【ネタバレ注意】

Written By: トーノZERO連絡先

「とゆーわけで、7月は外出の用事も多く、かなり映画を控えてしまった」

「そうか」

「8月は見たい映画も多いので、そこそこ見るかも知れない」

「なるほど」

「というわけで、8月1日は1000円で見られる劇場も多いから、TOHOシネマズ以外でも割と敷居が低いので、バルト9まで行って忍たまを見てきた」

感想 §

「土井先生。本当は優秀で若くてかっこいいはずなのに、扱いが悲惨」

「そこが面白い?」

「子供がいくら走り回っても、大人の悲哀がちゃんとあるのだ。そこはいいね」

「じゃあ、良かったのか?」

「本当に重要な感想はこのあとで」

感想2 §

「子供がはしりまわる映画を見て面白いか?」

「意外と面白かったぞ」

「じゃあ、この映画はいいの?」

「そうとも言い切れない」

「どっちなんだよ!」

「この映画には致命的な欠陥がある。それは登場人物が多すぎて良く分からないことだ」

「えっ?」

「客が受容できる人数を大幅に超えた登場人物が出てくる」

「どうして?」

「長期シリーズ化したマンガ原作とアニメがあって、『このキャラは出す必要がある』という要請が過剰に多かったのだろう。だから、中盤はある意味で映画としては破綻している。ファンムービーに近い。熱心なファンと、部外者の受け止め方にはかなり差が出ることも考えられる」

「でも、面白かったと言ったじゃないか。君は熱心なファンなのかい?」

「そうじゃない。昔アニメをちょっと見たきりで、最近は全く見てないしね」

「では、何が面白いのだい?」

「実は、この映画は馬鹿げたお笑い喜劇のように見えて重要なポイントが潜んでいる」

「それはなんだい?」

「この映画、実は主人公の乱太郎が勝たない」

「えっ?」

「最後の勝負で主人公側の陣営が勝つ。これはお約束通り。何も問題は無い」

「でも、主人公は勝たないわけ?」

「そうだ。エリートに職を奪われて農業ぐらしの父親がいて、期待されて忍術学校に入学し、勝負ではちょっとばかり足に自信があってクラスメートからも乱太郎がいればと信頼されて勝負に出たにも関わらず、仲間だったはずのきり丸としんべヱは最終勝負早々に脱落。途中までは仲間が支援してくれるが、最後は1人きり。敵と1対1の競争になるが、主人公は勝てないのだ。勝つのは、銃が上手い仲間のエリートなんだなこれが」

「えっ?」

「だから学園長がいくらガッツだと言ってもそれでは勝てない無情の現実が提示される。乱太郎のがんばりを見て銃を使った奴が撃てたという理由付けがあろうと、乱太郎は勝てなかったという事実に変わりは無い」

「それってどういうこと?」

「だからさ。乱太郎は自分なら勝負できるという天狗だったのだよ。しかし、その天狗の鼻はへし折られたのだ。しかし、それは子供が大人になる過程で必ず経験することなのだ。結局、父親と乱太郎は似たような『勝てなかった』という境遇に置かれるが、そこで明らかになることがある」

「それはなんだい?」

「それでも心が負けなかった乱太郎の父親は偉大だったのだ」

「そうか」

「だからさ。これは『賢いつもりの僕』という命題の変形亜種なんだ。自分に自信がある子供は珍しくないが、たいていは負ける。負けたくないなら引きこもるしかない。引きこもって、僕はやれば強いんだ、と実際にはやらずに言い続けるしか無い」

「そうか」

「でもさ。この映画は、みんなが見ている前で勝負をして勝てないのだ。逃げ道が無い」

「勝てない自分を承認するしかないってことだね」

「そうだ。エリートに仕事を奪われるような平忍者の息子でしかない自分を承認した上で、そこから何ができるかを考えねばならない」

「そこが重要ということだね」

「そうだ。だから、この結末があることでこの映画は映画になったと思う」

「でもさ。負ける映画でいいの?」

「いい。実は負けるのパターンの映画もある。負けたから間違っているとも言えない」

「そうか」

「だから、学園長が犬の糞を踏んだとか、お尻に何かささったとか、山本しな先生が若いかどうかとか、おのこしはゆるしまへんでとか、きり丸の倹約が凄いとか、そんな下らないネタで盛り上がった部分だけだとあまり意味は無い。その上で、乱太郎が負けてこれは映画として終われるのだ」

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