「イナズマイレブンやダンボール戦機、そしてガンダムAGEのレベル5の日野晃博のオタクからの評判はとても良くない。驚くほどだ」
「ヤマトと関係ない話題やん」
「いや。ヤマトを考える補助線として利用できることに気付いた」
「どういうこと?」
オタク肯定の忌避という現象 §
「レベル5のダーククロニクルというゲームを実は発売当時買っているんだが、主人公は発明キャラだ。つまりオタク系だ」
「えっ?」
「イナズマイレブンのメガネ、ダンボール戦機のオタクロスの弟子もオタク系」
「オタクロスの弟子?」
「ださいジャージを着て、変なかぶり物をかぶって変なポーズを付ける男だ。ビビンバードX!」
「オタクの悪いイメージの具現化ってことだね」
「とも言えない。作中では、きちんと筋の通った強い男として描かれている。決勝まで勝ち残った5人の1人なんだ。ほとんどの名のあるキャラは決勝まで来ていないのだ。単に個性ある名のあるキャラというだけでは5人に入れない。それにプラスαして特別な存在でないと入れない」
「えっ?」
「だからさ。全般的に言えることは、オタク肯定なんだよ」
「ええっ? でもオタクに嫌われているんだろ?」
「そうだ。でもオタク肯定なんだよ」
「構造がおかしいね」
「そうだ。おかしいのだ。ねじれている」
「どうしてなんだい?」
「それを考える前にヤマトにこの構造を当てはめてみよう」
「どうなるの?」
「ヤマトのオタク系キャラは真田さんになるが、ヤマトでの真田さんは破格のスーパーキャラだ。肯定的に描かれている。ファンにも人気がある」
「えっ? ヤマトもオタクを肯定的に描かれているのに、オタクから忌避されているの?」
「そういうことになる。構造が同じなのだ」
「なぜだ。おかしいじゃないか」
「ここで、問題をもう一度見つめ直してみよう」
「うん」
「『肯定的に描く』ことに反発するなら、実は『肯定否定』は関係ないことになる」
「えっ?」
「だからさ。『描く』ことに反発されているんだよ」
「ええっ?」
「つまりさ。オタクとは無色透明な存在になりたいから、具体的に描かれる行為そのものに反発すると考えられる」
「まさか」
「匿名掲示板の『名無しさん』が人気なのもうなずける。彼らは名前を失って無色透明になりたいんだ」
「えーっ!?」
アムロの場合 §
「というわけで、実は真田さんがオタクによる反発の大きな要素ではないかと想定できる」
「ちょっと待て。ガンダムだってアムロがオタク系だぞ」
「第1話でコンピューターを組んだらサンドイッチを食べると言ったり。ザクとの戦闘シミュレーションを作ったりしているが、実はかなり限定的な描写なのだ。しかも、ガンダムに乗り込むとガンダムそのもになってアムロは消えてしまう」
「ランバ・ラルとの戦いはコクピット斬られてアムロが見えるじゃないか」
「だからさ。哀戦士はまだしも面白かった、ということだ」
「ぎゃふん」
「ともかくアムロは消滅願望と相性がいい。そういう意味で肯定されるキャラなんだろう」
「古代君とは違うわけだね」
「そうだ。古代君は目立つ。デスラーからヤマトのぼうやとすぐ覚えられるほど目立つ」
「アムロなんて、内縁の妻にあんな子が欲しいと言われてやっと覚えてもらえるぐらいだからね」
オマケ §
「イナズマイレブンGO!でもメガネは正義側の強力な支援者として出てくる。フィギュア飾って暗い部屋でコンピュータで遊んでいるベタベタなオタクだが、非常に肯定的に描かれている。オタクであるがまま、正義側の支援者として登場する。けして、オタクを直して仲間入りするわけではない」
「とても肯定的なんだね」
「でも、意外とオタク系からはあまりリアクションを聞かない」
「確かに気になる構図だね」
「とすると、メガネ=真田=スポック系キャラが決定的に受けない理由も気になるというものだ」
「気になるか。ってかスポックもか」
「スタトレそのものが、オタクの趣味にあまり入っていないわけだからね」
「確かにあまり聞かないね」
「そもそも、本音でぐいぐい迫るマッコイ型のキャラは、無色透明になりたいオタクと相性最悪だしな」
「古代君もね」
オマケ2 §
「結局あれだな」
「なんだい?」
「真田さんの扱いが問題なのだ」
「ヤマトファンは肯定的だよね」
「作中での扱いも肯定的だし、ファンも肯定的だ。『こんなこともあろうかと』とスーパーメカを出してくれるのは頼れる」
「だったらオタクも真田になればじゃいいじゃん。みんなに頼られる存在に」
「でも、最近の傾向は正反対だ。困っている人を助けるよりも、『情弱』と呼んであざ笑う」
「情報弱者ってことだね。でも、こんなこともあろうかとネットで調べておいた情報で人助けはしないのか」
「しないみたいだ。というか、それは実践不能だけどな」
「どうして? 彼らは情報をたくさん持っている情報強者なんだろ?」
「ははは。まさか」
「どうして?」
「ネットの情報は嘘だらけだからさ」
「えっ? 本当に?」
「それにたまたま正しくても、誰も正しさを保証しない情報に信頼なんて置けない」
「オフィシャルサイトならいいわけ?」
「オフィシャルが嘘を垂れ流したことは歴史上何度もある。大本営発表ってのは、オフィシャルなんだぜ」
「えー、そんな古い話を持ち出されても」
「じゃあ、SPACE BATTLESHIP ヤマトの藤堂の発表は嘘八百だったんだぜ」
「放射状除去装置の話、あれは嘘か」
「でも、地球防衛軍のオフィシャルなんだぜ」