「小林誠さんのお顔をテレビで見たぞ」
「ヤマトの特番なんてあったっけ?」
「いや。LAST EXILE 銀翼のファムの特番」
「ぎゃふん」
「まあ、そら飛ぶ戦艦もの、という意味ではヤマトと地続きの世界にあるんだろう」
「それだけ近いってこと?」
「より正確に言えば、これは画期的なことなんだ」
「どうして?」
「かつて、宇宙戦艦ヤマトにはライバルもフォロワーも不在であった」
「ガンダムも違うってこと?」
「そうだ。ロボが出た時点で別の世界に行ってしまう」
「確かに違うね」
「結局、ブルーノアやハーロックという近い作品はあっても、コアなスタッフに重複が見られる」
「ブルーノアは西崎さんだしハーロックは松本先生だね」
「うんそうだ」
「でもさ。銀翼のファムだって小林先生という重複があるじゃん」
「うむ。そうだ。結局、ロボに頼らないで人間が素顔で勝負する作品と言った瞬間、ハードルが凄く上がってできる人が限られてくる」
「素顔か」
「そういう意味では、松本先生もやはりロボ嫌いの素顔派でスタージンガーはロボ抜きで素顔を出す宇宙冒険になったわけだ。西崎さんもやはり素顔で勝負するタイプだな」
「銀翼のファムの場合はどうなるのかな?」
「大型バイクぐらいの飛行メカに2人で乗るのが基本みたいだ。だから、当然メカに乗っても顔が見える」
「そうか」
「ちなみに1つ気づいた」
「なんだい?」
「主人公はファムという元気な少女で、相棒もやはり少女なのだ」」
「それで?」
「でもあまり可愛くない」
「どういうこと?」
「可愛くないけど人間味があって感情移入しやすくて、そういう意味で愛らしいキャラじゃないかな」
「そうか。そこが重要なのだね?」
「だからさ。たとえば、SPACE BATTLESHIP ヤマトの古代は、けして人気イケメン俳優の格好良さを最初に押し出してこない。それどころか、不気味なマスクを付けて他人を殴る暴力的な男として出てくるが、そのあとで美女に殴られて沖田に絡んでろくでもない男として描かれる。でも、それは感情移入しやすいってことであって、それでいいわけだ」
「難しいね」