「一昨日ザボーガーを見たばかりでは無いか」
「いいんだ。キャプテン・アメリカは見たかったから」
「でも、そんな余裕があるの?」
「無いっ」
「猿の惑星は別に見たくなかったの?」
「そうだな」
「なぜキャプテン・アメリカは違うの?」
「よく知らなかったからだ。それに、第2次大戦の時代ものの映画らしいことも後押しになった」
「よく知らないの?」
「スーパーマンもスパイダーマンもバットマンもXメンもミス・アメリカも分かるのだが、キャプテン・アメリカはよく知らなかった」
「ミス・アメリカって、それだけ何か違うぞ」
「なので、どんなアメリカ万歳野郎かと思って見にいった」
「それでどうだった?」
「ぜんぜん、アメリカの正義じゃなかった。仲間に日本人っぽいアメリカ人までいてね」
「なんだよそれは」
「主人公はアメリカで国債を買おうという虚構のヒーローになっただけだ」
「アメリカの正義が否定的に描かれているわけだね」
「うん。だからこの映画の半分は大嘘なんだけど、残り半分はかなり誠実な歴史ものだよ」
「歴史物?」
「きれい事で正義や義務感を煽って若者に志願させて戦争をするアメリカの当時のありようが生々しく描かれている」
「そうか」
「エンディングに至っては、第2次大戦頃のアメリカの戦意高揚ポスターが立体化して3Dで見えるんだぜ。これはスゴイや」
「日本の戦時中のポスターの展示会は見にいったんだっけ?」
「そうそう。そういうノリ。歴史マニアの視点」
「なんてこった」
「あとは、生意気な新兵を殴るヒロインも良かったな」
「わはははは」
「面白かったの?」
「面白かったぞ。大満足した」
「アメコミヒーローなのに?」
「ヒーローといっても、仲間の普通の兵士の先頭で戦うだけで、1人で戦ったわけでは無い。チーム戦なんだ」
「1人だけぬきんでて強いわけでは無いのだね」
「そうだ。ぎりぎり、ヒーローものじゃなくて虚構を入れた歴史ものの範囲に収まっている」
「そうか」
「あと、盾を持っていても武器は一時的に持つだけで定番の武器が無いのもいいね」
「盾は防御用?」
「投げて攻撃にも使うけどな。でも基本は防御だ。そこがいい」
裏の感想 §
「なんだよ裏の感想って」
「この映画はギガントが出てくる」
「は?」
「横に長い無尾翼機。まさにギガント」
「そうか」
「悪の首領とその手下がそれに乗って離陸するのだ。それを追跡するにはファルコじゃなくてヒロインも乗った自動車。そこから1人で主人公が乗ってラスボスと対決して墜落させるのだ」
「考えすぎ」
「そう思ったら、いきなり砲台が出てきて撃ちまくった」
「砲台が出てくるって、まさにギガント。でも、偶然にしてはできすぎ?」
「偶然では無い。イメージソースはナチスの計画機にあるみたいで共通だからな」
「そうか。この映画の敵もナチス系のいかれた男か」
「そうだ」
「他には?」
「昔の世界から外に出るといきなり現代の普通の街になるところは、むしろAvalon的な演出だな。色使いといい」
「まさに裏の感想だ」