2012年08月01日
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宇宙戦艦ヤマトと天賞堂

Written By: トーノZERO連絡先

天賞堂だよ! §

「BD-BOXのブックレット。たまたま開いたページでかなりショックだったこと」

「それはなに?」

「天賞堂という文字があったこと」

「それに意味があるの?」

「おおありだっ! でも、たぶんヤマトファンの大半はニュアンスが分からないと思うので、解説を試みる」

「頼むよ」

「天賞堂とは銀座にある店舗で、貴金属や鉄道模型の大ブランドだ」

「結局、模型か?」

「そうだが、みんなが考えるガンプラとは異質であることに注意が必要だ」

「そこを説明してくれよ」

「富野さん的にはガンダムの模型はタミヤかハセガワに作って欲しかったと言っているが、タミヤ、ハセガワはバンダイ以上の大ブランドということだ。これがプラモ界のヒエラルキーだ」

「そこで天賞堂はどこに位置するわけ?」

「鉄道模型界に行くと、プラ蔑視という風潮がかつて存在した」

「プラモがプラを蔑視してどうする」

「もともと素材はプラでは無かったからだ」

「えっ?」

「金属製が基本。鉄道模型界にはラッカーやサーフェーサーで強化した紙製のペーパー車体の世界はあったが、プラは無かった。やはり基本は金属。真鍮だな」

「なんだよそれは」

「だから金属製の16番(ないしHOゲージ)が基本でプラで成形されたNゲージは玩具という風潮があった。1980年頃のことだ」

「それはまさかと思うが……」

「その価値観を前提にすると、実はプラモ界全体が天賞堂が属する世界の格下に見えてしまう」

「まさか……」

「もう1つ言えば、その世界にはカツミやカワイというブランドもあるが、中でも天賞堂がトップと言ってもいい。その世界に限っても天賞堂はトップなんだ」

「えー」

「この構造には多分に偏見が含まれていて、字義通りに受け取って良いものではない。しかし『天賞堂』の名前にどのようなニュアンスがあるのかは踏まえた方がいい」

「つまり、天賞堂にヤマトの模型を発注しようと計画していたヤマトは、もの凄くヒエラルキーの高い場所と付き合おうとしたわけ?」

「だろうな。WikiPediaによると交通博物館の展示模型なども作っているようで、かなりの立場だ」

「うーん。バンダイでガンプラを商品化するガンダムとはまるで違うわけだね」

「逆にいえば、バンダイはガンプラをテコにヒエラルキーを上がったブランドだ」

「今ではタミヤの模型をおいていない店にもガンプラが並んでいるわけだね」

「そうだ。だからあくまで1970年代の時代背景をふまえる必要がある。今の状況を語っているわけでは無い」

「それで?」

「ついでに言おう。天賞堂の鉄道模型はアメリカの輸出で伸びたものだ。当然、アメリカ型の鉄道車両も多く商品化している。たとえばね、ビッグボーイとか」

「大きな少年?」

「いやどこかで聞いたことがないか?」

「はて」

「ここに写真があった」

天賞堂のブラス製、4-8-8-4・ビッグボーイ

「どこかで見たような……」

「列車番号001。松本零士原作の銀河鉄道物語のビッグワンのモデルだよ」

「えー」

「松本零士が熱心に参加していた初期のヤマトが天賞堂とつながっていたとすれば、松本零士には『自分が上京するときに乗ったC62』だけでなくアメリカンスタイルのモンスターにも触れる機会があり、そこでそういう世界にまで知見が広がった可能性もある」

「じゃあ、この問題って、ヤマトのみならず銀河鉄道物語にまで広がる可能性があるわけ?」

「それだけじゃあない」

「まさか」

「ガンダムのバック文化の1つはタミヤのMMだ。だが、なぜタミヤのMMなのだ。それは、天賞堂的な価値観に取って代わる新しい時代の新しいブランドに成熟する可能性を感じ取ったからでは無いか。つまり、ヤマト=天賞堂という高レベル文化ラインに対抗して、ガンダム=タミヤという文化ラインで下克上を狙ったのではないか」

「実際はどうだった?」

「ヤマト=天賞堂も実現していないが、ガンダム=タミヤという文化ラインも成立しなかった。ガンダムの模型はバンダイから出てしまった。そして、ヤマトはガンダムで追い詰められたが、金属模型の天賞堂を追い詰めたのは実際にはプラ製模型のNゲージでのし上がった関水金属だったわけだ」

オマケ §

「やたら語りが詳しいな」

「家に天賞堂の模型がいくつもあったガキをなめるなよ」

「えー」

「うちの死んだオヤジはもともと旧世代の鉄道模型モデラーだ。もともとOゲージをやっていた。そのあとで16番に移行した。もちろん、金属製が基本だ。カツミの165系とかもあったが当然真鍮製のモデルだ。紙製の模型はあっても、プラ製の模型は無かった。で、子供(つまり自分だ)ができて高価な鉄道模型を壊されては溜まらないので、当時出始めのプラモに手を出したわけだ。そこで、1/72の日本軍機を中心に作っていたわけだ。WLシリーズが出た後はそれも作っていたけどな」

「じゃあ、ほんまもんの天賞堂の模型が家にあったわけ?」

「アメリカ型は無いけどな。天賞堂の模型はEF57も良かったけど、EF53が好きだった。SL系はメーカーを良く覚えていないので天賞堂の模型があったかはっきりしないが、たぶん天賞堂のロコもいた」

「ホントに?」

「証拠写真を付けよう。左がEF53で右がEF57だ。どちらも天賞堂製。真ん中のEF55はどこ製か確認していないが金属製だ」

父の遺品1

「というわけで、実は天賞堂というワンクッションでヤマトとつながる可能性があったというのはまさに驚きだ」

「えー」

オマケ2 §

「ついでにオヤジの遺品の航空機プラキット。1/72九六陸攻と、これは中翼だから1/48紫電かな。ナナニイ中心のオヤジにしては珍しくヨンパチっぽいな」

父の遺品2

父の遺品3

「しかし、高級品の天賞堂の模型まで持っていたとは君の父親は金持ちかい?」

「出世にはほど遠いが、実直なサラリーマンだったので、ある程度の購買力はあった。貧乏の自分とは違うよ。金持ちとも言えないけどな」

オマケIII §

「素晴らしいオヤジさんだったようだね」

「そうさ。アニメンタリー決断を見ると言い張って、子供の自分はイヤだと言ったのに強引に見せられた。でも見た瞬間これでいいと思った。たかが小学一年生のガキがアニメンタリー決断をリアルタイムで見られたのはオヤジのおかげだ」

「良い話だ」

「おかげで、仮面ライダーを見ていたクラスメートの主流派とはまっっっっっっっったく話が噛み合わずにコミュニケーションに難儀した」

「これって、本当に良い……話なのか?」

「ここで最大の問題は何だと思う?」

「なんだい?」

「自分も決断を見たいと思って、ますます自分で墓穴を掘ったことさ」

「ぎゃふん」

「ちなみに、ストロンガーまでライダーを見続けたのはこのときのトラウマがあるからかな。もちろん再放送で見なかった分のライダー(1号ライダー)も全部見たよ」

「でも決断が見たかったのだね?」

「もちコース」

オマケ7 §

「サンダーバードとかウルトラセブンもオヤジさん経由なのかい?」

「いいや、そっちは結婚前に同居していたおじさん経由」

「どんな感じで?」

「記憶に無い幼少の頃、当時高校生(推定)のおじさんの膝の上で一緒に見ていたらしい……」

「英才教育だな」

「おかげで、こんなろくでもない大人ができたぞ」

「ぎゃふん」

オマケ玉ホリデー §

Subject: 2012/07/28シビックホール「コンチェルタンテII」感想・そこにヤマトはあったか?

Keyword: 【▲→トーノZERO→アニメ感想→宇宙戦艦ヤマト】

URL: http://mag.autumn.org/Content.modf?id=20120728174741

名前: トモネコ

本文:

「シャボン玉ホリデーと古本屋と長岡市のつながり」

お疲れ様です。三連戦中申し訳ありません(汗)

先日、新潟ローカルTV(長岡街歩き的な番組)で私がお世話になっている「雑本堂」が紹介され番組内でシャボン玉ホリデーの台本が五千円という高いか安いか分からない値段で取り上げられていたのですが、なぜこんな物が店にあるのかというと、長岡市出身の小川さんという方が虫プロ関係でシャボン玉の制作にもかかわりその関係で店に置いてあるとの事でした。

私自身はシャボン玉の記憶はありませんが、トーノ様がたびたび番組の事を話題にお出しになるもので、ご報告したくなりました。

・追記・

第二章、届きました!良かったです(嬉)

トーノ様がご指摘されていた探照灯(サーチライト)ですが、コスモナイトの採掘現場で点灯していましたね!探照灯はデザイナーの宮武氏自身が「前時代的な装備」と語っていましたが、ヤマト歴史上、初点灯では?

後期作品やプラモでは単なるモールド扱いでした。

2199はヤマトの装備をなるべく使用すると聞いていたので、もしやと思っていましたが、早い話数で使用してくれました。

・追記2・

銀座の「天勝堂」はロコのウイルスジープとドラゴンワゴンを買いにいった事が

あります(25年位前の話ですが)

お疲れの中失礼しました。

「問題はロコだ」

「は?」

「自分が『たぶん天賞堂のロコもいた』と言った天賞堂のロコとは、Locomotiveつまり機関車のLoco。ここでトモネコさんがいうロコは、おそらくRocoで、オーストリアの模型のブランド。実はぜんぜん違う」

「えー」

「Rocoには、鉄道模型とミリタリー車両の製品があったので、後者で接点があったのだろうね」

「なるほど。でも本質と関係ないどうでもいい話だ」

「まあな」

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