「デスラーのように我が道を行く模型の塗り方を考えてみた」
「どうするんだよ」
「常識を否定して好き勝手に塗る」
「どんな風に?」
「たとえば、普通なら美少女フィギュアの顔は肌色に塗る」
「まあ当然だよね。赤鬼でもないから赤く塗ったら変だし」
「そこで青く塗るのがデスラー流に違いない」
「青い顔の美少女……って、ガミラスではそれが当たり前だぞ!」
「しまった。自分の顔が真っ青になりました」
オマケ §
「どうもワンフェスの手応えが良すぎたようで、パワーアップしてる」
「どこが?」
「モデラーズトークじゃなくてヤマトークやるとか。加藤直之さんのライブペインティングとか。すごい話が盛りだくさんだ」
「山田卓司さんがヤマトを語るのは一大イベントじゃなかったの?」
「自分の中では一大イベントだが、いかんせん、知名度では加藤直之さんとか出渕裕さんに負けちゃう。そういう名前が出てくるのは、やはりワンフェスでの手応えが良かったからだろう。まだヤマトに燃える闘志があるなら巨大なペインティングを見ろよ見ろよ見ろよ、と言われた気がするな」
「幕張だろ?」
「ワンフェスより少し入場料が安いのが救いだ」
「それだけ?」
「あのさ。『宇宙戦艦ヤマト2199●前売2枚綴り券+特製クリアファイル引換券付き』って、1人で1日だけ行く人には絶対買えないアイテムだよね」
「た、確かに……」
「まあ、予定外の1/1000ヤマトまで買ったのでもう緊縮財政モードで行くしか無いから買わないけど」
オマケ2 §
「ともかく、1/1000ヤマトはネットで買った」
「よく踏ん切りがついたね」
「ああ。それはね。3990円は高いな。2999円だったら即買うのに、と思ってAmazon見たら販売価格が\2,863だったから」
「えー」
「どうせならもっと勉強して目指せ2199円。というのはさすがに無理だろうから、こんなものか」
「確かに」
「3990円という数字だけ見ていて、実売価格まで見なかったのが敗因だね」
蛇足オマケ §
「しかし、最近気づいたのだけど、モデラーの価値観は意外とばらけている……かもしれない」
「というと?」
「たとえばさ。雑誌に載るの嬉しいとか、コンテストで入賞すると嬉しい、という価値観はある」
「うん」
「でも、人形改造コンテストでまさかという芸能人まで出てくる時代ならともかく、今はもうそれほど逸脱はできなくなってきている。こう作ると評価されるとか、こう作ると評価が高い……という流れは確かにある。たとえば、久々に見たワンフェスのカタログに載っていたワンダーショーケースの作品が泣けてくるほど陳腐で予測可能な中身。フォーマットが固まってしまって、あまり逸脱してこない。これじゃ没落していくわけだ」
「ひ~」
「それはともかく、たとえば戦艦大和や零戦やタイガー戦車課題としてあったりするとき、それらを本気で作る価値があるのだろうか。既に決まった価値のある世界で模型を作る意味があるのだろうか。たとえば艦船の世界なら凄い作例が続々作られているのに、それよりも遙かに劣る模型を作って見せることにどんな意味があるのだろうか」
「そんなことを考えたら、世間の中心からどんどんずれていくよ」
「でも、自分はもともと世間の中心から外れているから、外れることに問題意識は持たない。世界の中心で愛は叫ばない」
「もともとって、どう離れていたんだよ」
「みんなが見ていない低視聴率番組の宇宙戦艦ヤマトを1人で見ていた。家族はハイジを見ていた。1人でモノクロテレビで見ていた」
「ぎゃふん」
「だから、雑誌の編集者とかコンテストの審査員は意識しない。それより、目の前に居て自分の模型を見る人からどう見えるのかを考える」
「結局視線を意識するのは同じじゃないか」
「そうじゃない。あっちが意識するのは零戦二一型と三二型の違いが分かる人。こっちが意識するのは戦艦大和と宇宙戦艦ヤマトの違いもわからない人」
「えー」
「だから、しばしば陳腐な色使い、陳腐な表現をあえて使うけれど、それは分かり易さのためだ」
「能書きの説明は読んでくれないわけだね」
「そうだ。ほとんどパッと見た第1印象で決まると言って良いよ」
「能書きは役立たず?」
「通過するつもりだった人の足を止める気なら、能書きは無力と思うべき」
オマケーストリート §
「ピンキーストリートの良いところ」
「それはなに?」
「オプションパーツのキットを買ったとき、全体を一度に作らなくてもそれなりに楽しめる」
「パーツ交換できるシステムだからだね」
「そうだ」
「つまり、Gファイターは全部作らなくても下半身だけであっても、ガンダムを入れればMA形態のガンダムになって上半身を作る前から楽しめるというわけだね」
「それは違うから」
「えー。じゃあ、小林さん敬意を表してコアベースだけであっても……」
「いや、それも意味違うから」
「コアベース、コアコレクター、コアエミッターが合体するんだろ?」
「それは、どんどん間違ってるから」
「えー」
「ちなみに、子供の頃にコアファイターに対抗してコラファイターというのを考えた。今になって、凄くいい設定を思いついたので教えてあげよう」
「そのいい設定というのを説明してくれよ」
「説明しよう。コラファイターとは古今東西の優秀戦闘機の特徴を集大成してコラージュした戦闘機なのである」
「だからコラ戦闘機なのか」
「けして、コラっと怒られる戦闘機では無い」
「それで?」
「古今東西ということはやたら古い世代の戦闘機も多数含まれていて、その当時の優れた特徴が今も優れているわけではない。結局、やたら古めかしい部品が混ざった戦闘機で性能はイマイチ」
「コラっ!」
「せめて、木と布だけならレーダーに見つかりにくくなるけど、中途半端に金属部品がまざるのでレーダーで丸見え」
「コラコラっ!」
オマケファイター §
「コラファイターの他に子供時代に考えたものってあるの?」
「そうだな」
- 宇宙野菜トマト (は実は自分のオリジナルではない)
- 宇宙空母カラクティカ (ギャラクティカとプレアデスとジャスダムの折衷型みたいな空母)
- 伝説巨人イダオン (イデの力は持っていないマヌケなデザインの巨人)
- マッハボロンとボレースボロン (もとはマッハバロンとレッドバロンだったらしいがすっかりマヌケなキャラに生まれ変わった)
「宇宙空母カラクティカってなんだよ」
「ギャラクティカの艦載機デッキのイラストとプレアデスの正面ビューが似ていたのだが、ギャラクティカは左右に2つ艦載機デッキがあるのに対してプレアデスは1つ。で、1つに直しているうちに何となくジャスダムっぽくなったので、成立したインチキメカ」
「ひ~。でもなぜカラクティカなんだよ」
「ギャラクティカのGをCに置き換えたから。デザインを簡素化したので文字からも修飾を取ってみた」
「それだけかよ」
「イダオンはよく覚えてないが、イダオンを運ぶ宇宙船はデュエットシップだったような気がする」
「ソロじゃないのか」
「そうだ。デュエットだ」
「なんかどんどん間抜けになっていく気が」
「そうだ。カッコイイものをマヌケにするのが子供時代のコンセプト」
オマケノート §
0806より
Raison du Vol
8月13日発売のスケールアヴィエーション9月号は「宮崎駿の雑想ノート」特集。新作情報出るのか?って感じ?
スケールアヴィエーションの本拠的な雑誌、モデルグラフィックスの企画で宮崎駿さんと会ったことがある。飛行機好きな創刊当時の市村編集長から電話。「飛行機模型の盛り上げ企画なんですけど、架空飛行機を作ろう、って、そういう模型コンテストをしたいの。」
「いいじゃないですか」と僕。
「で、敷居が高いじゃないですか、飛行機。なので、まず小林さんにささっと手軽になんか作って貰って、ラピュタって映画を制作中の、飛行機マニアでもある宮崎駿さんと、その模型を囲んで対談して貰おうと。」
「ささっと、って、いつですか対談って。」
「2日後なんですよ。」
「無理っす。」
「いやもう、手軽にざっと。小林さんがささっと作って、それについて宮崎駿さんが蘊蓄をたっぷり話しまして、つまり読者はやる気になるという。」
「生け贄ですな(笑)面白い。」
果たして、なんかの燃料タンクをヤスリで面取りし、マッチボックス社製、ハンドレページ・ヘイフォードの尾翼を主翼として使ったロケット戦闘機は宮崎駿さんにこてんぱんにされ、読者参加企画は盛り上がったというお話。ちなみに、そのロケット戦闘機のシルエットに似た飛行機はラピュタに出てきています。
「どうでもいいけど、巡り巡ってまだ雑想ノートか!」
「なぜだよ」
「いい質問だ。個人的には巡り巡って模型に戻って来た契機がなにであったのかは明瞭では無い」
「あまり覚えていないってことだね」
「最初に作ったキットがWLの神通だってことは思えているけどね」
「それと雑想ノートにどんな関係が?」
「紅の豚を契機に長らくご無沙汰だった模型雑誌を見るようになったのだ」
「あの映画?」
「原作の方だ」
「フィオは出てくるけどジーナは出てこないアレだね」
「そこを起点に、過去の雑想ノート掲載作品も全部見たよ。単行本になる前に」
「それで?」
「実は紅の豚は映画になったけど、雑想ノートはラジオドラマになっている。それも実は全部持ってる。サントラCDも持ってる」
「どこがいいの?」
「農夫の眼のというスペイン戦争のエピソードで、スペインマニアの天本英世がやってる。本人もスペイン好きだし、かなり凄みがある」
「天本英世って?」
「死神博士だよ」
「なぜか凄く分かりやすい説明だ」
「しかし、それはそれとして模型雑誌を見るのもいいものだな、という気分が戻って来たのも事実だ。ガンプラ雑誌は別に見たくなかったけどな」
「ぎゃふん」
「でも、模型雑誌で素人には絶対に作れない凄い作成を見ているよりも、手を動かした方がなんぼか良いと思い直して模型雑誌は見ないで模型を作る方向にシフトしたよ」
「プロモデラーの作例と、素人工作の方法論は違うからあまりヒントにならないってことだね」
「自分ならこう作る……という方向にも行きにくいし、あまり刺激にもならない」
「なるほど」
「ちなみに、宮崎駿さんにこてんぱんにされたというくだりは、何となく目に見えるようだ」
「実際はどうなの?」
「構想すら無い状態で2日後と言われて大したものができるわけが無い。具体的に明確なコンセプトも固まる前だろう。そういう曖昧なメッセージ性に突っ込まれる可能性はあるし、それはそれでどうしようも無いだろう」
「突発的にできてしまうモデルってないの?」
「ある。目の前にあるパーツを組み合わせると面白いと気づいてでっちあげちゃうケースはあるぞ。でも、それとこれとは別問題だろう」
「なるほど」
「でもさ、『なんかの燃料タンクをヤスリで面取りし、マッチボックス社製、ハンドレページ・ヘイフォードの尾翼を主翼として使った』というのは既に一種のミキシングビルドだね」
「なるほど」
「そこではたと気づいたのだが」
「なんだい?」
「自分がやってることも、ミキシングビルド的なのだ」
「1つのキットを無改造で組んでるだけだろ?」
「そう思うとミキシングビルドにはあたらない」
「というと?」
「他のモデルからデカールは強奪してきて使うんだよ。色も好き勝手に塗るから、実は元キットのイメージから離れて行ってしまう」
「ひ~」
「だからさ。キットは1つ、改造もしてないものの、かなりミキシングビルドに肉薄する領域に住んでいたと気づいたわけさ」
「それが君のポリシー?」
「そうだな。可憐な乙女のポリシーでは無さそうだ」
「それがオチだね」
「ちちち」
「なんだよ」
「実は、目の前に以下の2つの条件を満たすモデルが出来上がったばかりということに気づいた」
- 改造した (スカートをミニ化)
- 他の関係ないキットを足した (スケールも違うまるで関係ないキットを足した)
「えー」
「更に関係ない第3のキットのステッカー(これはガンプラのだ)を貼り付けてあるのはノーカウントとしてもだ」
「かなりミキシングビルドに近いね」
「特に、元キットの想定を無視した使い方をするとね」
「わははは」
「これがミキシングビルドだとは言わないけどな」
「それとはちょっと違うね」
「まだ写真は撮っていないので見せることはできないが、かなり変なものになったぞ」
ここで話題が飛ぶ §
「ミキシングといえば」
「ミキシングといえば?」
「昔さ。ラジカセでテレビの音を録音するときはAGCという回路が入って、小さい音も大きい音も一様に拾うようになっていた」
「音が小さいと大きくして録音するだけだね」
「でもそれは原音に忠実では無い、として手動でレベル調整するとき、うちのラジカセではなぜかミキシングつまみを使って調整した」
「なんでだよ」
「マイクと他の音を合成する際にはバランスを調整するから、調整機能はミキシングつまみにあったんだよ」
「つまりミキシングつながりかよ」
「ヤマト1974時代の思い出だ」
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「ミキシングの話題は分かった。じゃあビルドに思い出は無いのかよ」
「ビルドか。それなら……
「それなら?」
「ビルドアップ! バンバンババン♪」
「……」
「ビルドロン部隊トランスフォーム!」
「……」