「ソードアイズのOPを見ていて気づいたのだが、このOPは目の強調がテーマだ。そして目力とでも言うべき力がある」
「目力と言っても、アップにしたり透過光で光らせたり、どちらかといえばベタベタで姑息な表現が多いよ」
「アニメというのは、ベタベタで姑息な表現でやるものだ。それほど込み入った洒落た演技はできないので、ベタベタで姑息な表現に頼る比率が多い。そういう意味で、ソードアイズの欠陥とまでは言えない」
「しかし、ヤマトに関係ないよ」
「そうではない。ここからが本題」
「なに?」
「ヤマト1974の演出上の特色は、目力ではないか」
「えっ?」
「たとえば沖田艦長は、1回目を閉じてから目を見開いて命令を出してヤマトが浮上する。凄い目の力だ」
「沖田艦長は帽子と髭で目以外はあまりよく見えないね」
「だから目で語るキャラとも言える」
「なるほど」
「結局、目に力があるキャラは多い」
「どこに?」
「愕然とするような現実に直面して目を見開く古代や、動かないエンジンに目を見開いたまま硬直する島とか、デスラーとかドメルもやはり目に力がある。そういう意味ではゲールにも目の力がある。ドメルこのやろう、という感じの負の力だけどね」
「そうか、現実に直面して目を見開いて硬直するような描写が多いのがヤマト1974というわけだね」
「ついでに言えば、見ることが重要なファクターであるのも完結編までの旧ヤマトの特徴だろう。ディンギルの少年は味方の犠牲を見るわけだし、デスラーはガミラス星に入り込んだ謎の宇宙人を見るわけだ。ミルに至っては名前が『見る』だ」
「なるほど」
「沖田艦のクルーは、弾かれるビームを見ることを強要される。2199の沖田艦がただの陽動で、弾かれることが織り込み済みであるのとは話が違う。2199の沖田艦は耐えることが任務であり、見る必要は無いのだ」
「では2199についてはどうなんだい?」
「実は『見る』という側面が大幅に後退している。モニター越しに見る対象が増えて、そうでなくても双眼鏡で見るわけだ」
「直接目で見た1974とはそこが違うわけだね」
「しかし、実は復活篇やSBヤマトはやはり見ることが重要な位置にあるのだ」
「どうして?」
「復活篇ならアマールへの攻撃を見ているのに手を出せない屈折が描かれる。潜宙艦戦『見える』と『見えない』を往復して見ることへの注意を喚起する」
「SBヤマトは?」
「沖田艦のブリッジから撃破される古代守艦を見て、最後は第1艦橋からデスラー艦を見て、様々なものを見せつけられて終わるのだ」
「そうか」
「そして、ラストは古代と雪の子供を雪が見て終わるのだ」
「ひ~。ならば2199は目力ではなくどこに力点があるわけ?」
「メカだな。目力よりもメカ」
「目力よりメカって、それってダジャレ? オチなの?」
凄い目 §
「ヤマト1974の凄い目と言えば」
「目と言えば?」
「血走った目でデスラーに詰め寄って和平を求めたヒスの目。あれは凄かった」
「ひ~」
黄色い目 §
「そういえば、相原もリレー衛星を見て正気に戻るわけだね」
「そうか」
赤い目 §
「逆にいえば、古代は海峡の出口を見てこなかった。そこでは見ないことが問題視される」
「ひ~」
オマケ §
「ついでに言うと、ソードアイズのOPは笑い顔は狂気につながっている描写が多い」
「ひ~」
「でも、それってヤマト1974も同じことだ」
「どうして?」
「笑っているデスラーに向かってヒスは『おかしくなられている』と言ったのだ」
「ひ~」
オマケ2 §
「逆にガンダムは『見る』ことにはこだわっていない感じだ」
「なら何にこだわっているの?」
「語りだな」
「なぜ?」
「ブライトは目に力が無いが、言葉に力がある。またモビルスーツは中に人が入るのだが、外は見えない。常にモニタ越しだ。直接相手を見て戦うケースは極めて少ない」
「でも語りは通じるわけだね?」
「そうだ。それは通じてしまうのだ。お肌の触れあい通信などでね」
「でもさ。時が見えるわ、とか言っているじゃない」
「時が見える、時の涙を見る、それらは実は見ることを示していない。時は見えないし、時の涙は見えない」
「なるほど」
「そこから考えるとヤマト2199はどちらかといえばガンダムに近い感触もある」
「態度で圧倒するよりも、能書きバトルで勝つということだね」
オマケIII §
「じゃあ、ニュータイプの修羅場は見えるの?」
「それだけは、実は見える」
「えー」
「実はZZは、能書きよりも見ることが勝るのだ」
「どういうこと?」
「能書きよりも見える範囲のリアリティで主人公グループは行動するのだ」
「それが、正義ではなく妹のために戦うという意味だね」
「プルも能書きを語るよりZZのコクピットに入り込んでジュドーを見続けることを選んでしまう」
オマケロス §
「じゃあマクロスは?」
「陳腐だが歌の力だろう」
「じゃあエヴァンゲリオンは?」
「フェイクだろう。隠された何かがあるかのように見せかけて引っ張る」
「フェイクで引っ張るアニメは他にある?」
「ルパン三世もフェイクで引っ張るタイプだろう。ただし、ルパンのフェイクは本音を隠すフェイクでやや位置づけが異なる」
「見たものが事実ではないわけだね」
「そうだ。でも、見たもので騙す以上、視覚は重要」
「裏切るための視覚の重要性ってことだね」
「そうだ。そこでヤマトとは違う」
「ではセーラームーンは?」
「主客が逆転して、見られる事がポイントなのだろう」
「どういう意味?」
「セーラームーンはタキシード仮面に見守られて戦う。ここで見ているのはタキシード仮面であって、セーラームーンは彼との関係において見られる側であり、セーラームーン自身は自らの振る舞いによって見られたことに応えようとする」
「泣いていても問題は解決しないと言われるので、セーラームーンは戦って問題を解決してみせる必要があるわけだね」
「そうだ。だから行為者である視聴者とセーラームーンはイコールなのだ。しかし、沖田艦長と視聴者はイコールではない。沖田の強烈な視線を受け止めるのが視聴者なのだ」
オマケイレブン §
「視線の強烈さという意味では、最近だとイナズマイレブン第10話『帝国のスパイ!』が凄い。このエピソードは主人公チームに敵チームからスパイが送り込まれている話なのだが、当然スパイとは盗み見る者だ。ところが、スパイはバスに細工して不戦勝を狙う敵チームの総帥に納得しない。敵チームのキャプテンを呼び出して問い詰めるが彼も知らなかった。ここで、敵と味方、スパイする者とされる者という構造にクサビが入るのだが、実はその先がある。そこで主人公チームのマネージャーの1人がその場に現れて『お兄ちゃん』と言ってしまうのだ。つまり、敵チームのキャプテンと主人公チームのキャプテンは兄妹だということが発覚し、見る側であった敵チームのキャプテンは突然妹から見られる者に変化し、スパイは別の秘密をのぞき見る者に突然立場を変える」
「誰の脚本?」
「それが驚いたことに、大野木寛さんだった。最近Twitterでダジャレのセンスのセンスに舌を巻いているその当事者だった」
「妙な因縁だね」
妙な因縁2 §
「まだ話があるのかよ」
「うん。上の話のあとさ。ヤマト2199の公式サイト見たら各話のページが更新されていた」
「それで?」
「まずは第7話を見たんだ」
「太陽圏に別れを告げて、だね」
「そうしたら主要スタッフのリストが入っていた」
「それは良かったね」
「脚本が大野木寛さんだった……」
「そりゃまた奇妙な因縁だね」
オマケ §
Subject: 感想・ヤマト2199第三章冒頭10分間
Keyword: 【▲→トーノZERO→アニメ感想→宇宙戦艦ヤマト】
URL: http://mag.autumn.org/Content.modf?id=20121003080542
名前: やや矢野屋
本文:
京塚ミヤコさん似の看護師・笠原さん、私は最初のガンダムに出てくる「マサキ軍曹」に似てるな~と思いました。
http://ja.gundam.wikia.com/wiki/%E3%83%9E%E3%82%B5%E3%82%AD
当時、ミヤコさんの元ネタは同じくガンダムキャラの「ミライ・ヤシマ」かと思っていたのですが、もしや制作側としては「マサキ軍曹の再来」を目指していたのかなあ、と、32年を経て新たな発見をした気分です。
「確かに。ミヤコさんより、こっちの方が似ている」
「どのへんが?」
「笠原は髪が短くて耳が見えるのだが、京塚ミヤコは耳が見えないし、髪も少し長い。マサキの方は髪が短くて耳が見える」
「でも、僕はマサキなんて知らなかったよ」
「自分もだ」
「ヤマトは林1人で大騒ぎのくせに」
「根本と杉山もな」
オマケ2 §
Subject: 1/1000ヤマト建艦記録その49・【最終回】地球よヤマトは帰ってきた
Keyword: 【▲→トーノZERO→アニメ感想→宇宙戦艦ヤマト】
URL: http://mag.autumn.org/Content.modf?id=20120930212956
名前: トモネコ
本文:
『祝』グリーン・ヤマト完成
(拍手×100)お疲れ様でした!
ドラマを生んだヤマト模型でしたね!
「アマモデラー選手権」
模型を作っていて楽しいか?
ですが私はハンマーで頭を殴られた様なショックが!
本来、楽しいから模型を作る筈ですがどうしても完成度を高める事に縛られ途中で投げ出し、出来ないと思えばキットに手は付けませんでした・・
思い起こせば一番楽しかった模型作りはスターウォーズのXウィングでしょうか・・
リバイバルで初めてSWを劇場で観て(日本人はヤマトだと初公開時は観ませんでした)
感動したその足で模型店でキットを購入!
一気に完成させました!(資料はパンプの写真、一枚のみ)
その後は悪知恵が付き改造せなアカン!で一気に完成が減りました(汗)
コンテストは締切に間に合うかで胃がキリキリしました!
こうなると楽しみのための模型作りとは程遠い状態でした・・
今、建造中のオモチャ改造ヤマトも理想負けしている所もあり、どこまで作るか悩んでいました・・
出来ない所は諦め、なんとか完成したいと思います!
・追記・
オモチャの分解が思ったより大変で隠しビスとガッチリ超強力接着に手こずっています。
分解してポピニカ魂がなぜ高価か分かりました!
内部スゴイです、電装と可動のための構造がギッシリです(驚)分解する物ではありません(汗)
安定翼のピアノ線が親指にグサリ(血)でした・・
ヤマトに反撃されました←(バカ)
それではまた
「頑張れ」
「なぜ応援する」
「模型を作っていて怪我は意外と多いからだ」
「えー。経験あるのかよ」
「何度も」
「ところで、SWのキットって君にも対応できない話題?」
「それはそうだが、実は自分も初公開時にSWを見てない。もちろんEP4ね」
「いつ見たの?」
「日本語吹き替え版を上映したとき」
「どうだった?」
「口汚くののしるレイア姫を見て、お姫様のイメージが壊れた」
「わははは」
「でも、あとでテレビ放映見たらレイア姫が上品すぎて逆にひっくり返った」
「ひ~」
「というわけで、ファインモールドのXウィングは作成中に挫折したのだが(どうしても上手く合わずに隙間が出来た)、そんなの関係ねえと歌いながら作ってしまうかな。問題は、処分していないはずだがどこに仕舞ったか分からないこと」
「ぎゃふん」
オマケ・赤い衝撃・必ず売れるから真っ赤なスカーフ、きっとその日を迎えておくれ §
「ご報告 (13)に顛末が書かれているのだが、ヤマト2199の主題歌CDが売れていないとしても、あまり不思議ではない気がするな」
「どうして? あの主題歌は人気が無いの?」
「そういうわけではないが、個人的には商品の構成や売り方にいろいろ問題があると思う」
「どのへんに?」
「くじら軍曹さんも言っているが、けっこう難がある」
- ふらっとCD屋に入って品物が無いケースもある
- 顧客層にはネット通販で簡単にポチッとしない層も含まれる (おそらく今時の典型的なアニメとは異質な層が含まれる)
- マニアがよく聞き込まないと分からないぐらいアレンジが似ている。旧版の主題歌CDは既に山のように流通しており今さら買うモチベーションに乏しい
- プラス・アルファのバリューが無い
「君は買ったのかい?」
「買ったぞ。ささきいさおファンだからな。えっへん」
「自慢するようなことか」
「でもさ。ささきいさおファンではなかったら買うかと言われると微妙だな」
「微妙か」
「ちょっと買う気になっても、2軒ぐらいまわって品物が無いと、それっきりということも有り得る」
「品物が無いケースってなに? そもそも仕入れないならしょうが無いよ」
「いや、自分が買ったときには、仕入れたけど品物が売り切れというケースに何軒も突き当たった。店に売る気はあるのだが、入荷した品物が少なかったのだろう」
「えー」
「結局さ。今時のアニメの売り方に無理矢理当てはめて処理しようとする人たちと、そこからはみ出してしまう客層があって、その軋轢でビジネスが上手く回っていないような気がするね」
「プラス・アルファのバリューが無いってなに?」
「たとえば、3番4番が初めて入るとか。バージョン違いを聞き比べられるとか。特別なイメージソングがボーナスに1曲入っているとか。何か工夫があってしかるべきだと思う。というか、新録する以上もしかして3番4番という期待はあった」
「期待は裏切られたわけだね」
「だから、この歌が永遠に永遠に歌い継がれていくことは確実だと思いつつも、このCDに関しては売れるかどうか微妙な感想が残ってしまう」
「Amazonでポチることが常識化した若いファンは買ってくれないわけ?」
「それこそ、もっとCDを買わない層だろう」
「ひ~」
「あるいはひいきのアイドル声優のグッズなら買う層だろう」
「ひ~」
「じゃあ君の結論はなんだい?」
「主題歌を変えたからと言って、それでCDが売れるようになるとは思えない」
「誰がどの歌を歌ったのかではなく、売り方の問題ってことだね」
「特に、やたら文句を付けてテイクを重ねさせる西崎さんのようなカリスマはもういない」
「同じレベルの歌はもう来ないと思った方が良いということ?」
「それは分からないが、歌の質を押し上げる圧力は減った可能性はある」
「ひ~」
「ヤマト2199という作品には良いところも悪いところも目に付くが、営業面では悪いところばかりが目に付くような気がする」
「たとえば?」
「7回も見に行かないと結末まで行かないのはちょっと上映回数が多すぎる。さすがに、飽きが来るのは避けられないだろう」
「君はどう思っているのだい?」
「あと2回ぐらいでおしまいが長さとして妥当。全部で3~4回で終わるのがぎりぎりだろう」
「上映時間を延ばせということ?」
「いや、上映時間は2時間ぐらいが上限だろう」
「それじゃ26話全部見られないよ」
「映画館で26話全部見るという発想に無理がある」
「えー。2199の売り方を根底からひっくり返す意見だよ」
「映画館で話題を盛り上げてテレビ放送につなげたいようだが、今の成り行きだと逆に映画館で話題がしぼみかねない。何よりともかく長すぎるんだ」
「君はどうすればいいと思う?」
「それを考えるのは当事者の仕事だ」
オマケの続き §
「無責任のファントークを続けようか」
「無責任かよ」
「このままだとヤマト2199の短縮も有り得ると思うべきだ」
「まさか」
「そもそも、歴史的にヤマトは短縮が似合う」
「えー」
「ヤマト1974だって、52話案とか39話案があって、最初から26話だったわけではないし、ヤマトIIIあたりもやはり予定より短縮されている」
「2199が短くなっても不自然ではないわけだね」
「ただ短縮が悪とばかりは言えない」
「なぜ?」
「ダラダラと続かなくなり、何を見せたいのかもっと本質に絞り込んだ映像になるからだ」
「君は短縮を望んでいるように思えるよ」
「半分は当たりだ」
「なぜ?」
「既に何を言いたいのか良く分からないどうでもいいシーンがけっこう増えている。それが将来への伏線だというなら、その未来のエピソードを見るまで興味を持続させるような演出を行わねばならないが、そうだとしても劇場で見るには全体として長すぎる」
「劇場で許容できる時間とはどれぐらいまで?」
「映画館で見る映画なら2時間前後は上限。最大許容で3時間。それ以上は映画作りの敗北と思うべきだ」
「根拠は?」
「それ以上客を暗い部屋に拘束するのは現実的ではないからだ」
「また来ればいいのじゃないの?」
「そうすると余程忠誠心の高いファンしか毎回来ないよ」
オマケの続きの続き §
「悪い例としてやたら長すぎる柳川堀割物語の名前を出そうかと思った」
「それで?」
「でも調べたら上映時間165分で、3時間(180分)には達していなかった。やはり高畑勲も元は映画側の人間だ。上限を分かっているな」
「他に長い映画の経験は?」
「『ムトゥ 踊るマハラジャ』で166分。『アバター』で162分」
「みんな160分台だね」
「調べて長さが近いのに驚いた。やはり映画の上限はある程度決まってしまうようだ」
「ヤマトだとどうなる?」
「長めのはこのあたりかな」
「けっこう長いね」
「でも、かなり限界に近いと思うべきだろう」