「あまりみんな言っていないのだが、アップルの株価は紛れもなくバブルの一種だと思う」
「アップルのバブルが崩壊したと言いたいの?」
「かもしれない」
「そもそもバブルって何?」
「ここでは、実体の実力以上に期待感が資金を集めてしまうこと、としよう」
「ではバブル崩壊とは?」
「ここでは、期待感が満たされないと分かってみんなが急速に資金を引き揚げてしまうことだとしよう。適正水準を下回る水準まで落ち込む可能性もあるが、虚業はどこが適正水準か良く分からないこともあるからな。とりあえず、ともかく資金が引き揚げられてしまう状況をバブルの崩壊と呼ぼう」
「いったいなぜ資金が引き揚げられたの?」
「アップルは革新的な製品を一切作り出していない。もともとも、そのような製品を作り出す力も無いし、当然作り続ける力も無い」
「じゃあ、アップルの成功ってなに?」
「社会と信者の無知につけ込んだ『革新性の偽装』だろう。実際には、アップルが何かを発売する前に類似製品が存在するが、そういう過去を知らない人たちに素晴らしい革新性を宣伝して『アップルというブランドは革新的だ』と刷り込んでしまう」
「刷り込まれた人は脆弱すぎるということ?」
「それはまた別の問題だから横に置こう」
「じゃあ、ここの問題は何?」
「アップル人気がバブルであるなら、崩壊は当たり前。驚くようなことは何もない。しかし、普通の方法でアップル人気は救えない。なぜなら、本当のイノベーションをアップルは起こせないからだ。しかし社会は本物のイノベーションを興すことを期待している。過去に行われた『イノベーションの偽装』を本物と思っているからだ。しかし、そのためのノウハウはジョブズが墓に持って行ってしまった」
「じゃあ、ジョブズが生きていればアップルは救えたと思う?」
「さあ。それは分からない。そもそもバブルの崩壊は本人の実力と無関係に、期待感の消失で発生する。カリスマの問題ではない」
「難しいね」
「そもそも、難しい問題を隠蔽して社会を単純化することでバブルは発生するのだ」
「そんなに上手く行く方法論が都合良く存在するわけがないのに、それがあると信じられて金を集めてしまうわけだね」
「人は安易に流れがちだ。それに逆らうのは容易ではないよ」
オマケ §
「今日もまたiPhone版しか存在しないスマホのアプリを見かけたよ」
「どう思った?」
「『おまえなんか客じゃない。死んでしまえ』と言われた気分だ」
「自分のスマホで実行できず悔しいか?」
「いや、実際に中身を見てみると、ぜひ実行したいほど素晴らしくもなかった」
「えっ?」
「『おまえなんか客じゃない』と言われても、『それでいいよ。別に客になりたくもない』と思ってオシマイ」
「それってどういう意味?」
「ソフトの中身は弱体化している。プラットフォームが分断されて、しかも開発環境は劣悪。資金力が開発能力に直結するから、アイデアで勝負するような中小は勝負ができない。結果は出来の悪いつまらないアプリのオンパレード。そんな感じじゃないか?」
「それでも、アプリの数は増え続けているんだろ?」
「それもまた一種のバブルだろう」
「ひ~」