「昨年末の熱海のヤマト宴会は生涯で最も楽しいイベントだったかも知れない」
「なんで? コミケだってワンフェスだってSF大会だってヤマパだって参加経験があるんだろう?」
「そうだな」
「それにも関わらず、熱海のヤマト宴会を最高とする理由はなんだい?」
「話が通じるからだ」
「は?」
「話が通じるからだ」
「日本語ならどこのイベントでも通じるだろ。日本なら」
「そうでもないよ」
「まさかぁ」
「実は見ているものが違いすぎて話が通じないってのは日常茶飯事なんだよ」
「うそー」
「コミケの存在意義はあるのか無いのかといえば、ある。なぜなら、コミケに行けば凄い人は確実にいるからだ。でも凄く少数派だ。大半はどうでもいい。いわばノイズだ」
「ノイズかよ」
「みんなと同じ人気アニメを見て同じような同人誌を作って同じような同人誌を買っているだけの人達は、多数派だがあまりピンとは来ない」
「ひ~」
「うんたらガンダムのなんたら量産型みたいな言葉を言われてもさっぱり分からないしな」
「でもコスモゼロ52型なら分かるんだね?」
「うむ」
「しかし、ヤマパよりも熱海宴会を上に置く理由がイマイチ明確ではないぞ」
「結局ヤマパでも話が通じにくい人がいるってことだ」
「コスモゼロ52型は分かっても?」
「そうだ。用語が分かることと概念が通じることは違う」
「同じヤマトを見ていても、同じものを見ているとは限らないってことだね」
「そうだな」
「では、なぜ熱海宴会では話が通じるのだい?」
「模型だからだろう」
「模型だとどうなの?」
「イラストだと嘘の線をいくらでも引ける。ところが立体物で嘘を付くとすぐに形状が破綻してしまう。それにも関わらず嘘を付かねばならない。ハードルが凄く高いんだ」
「そうするとさ。なぜワンフェスではダメなんだい?」
「見たことも聞いたこともない萌えキャラのフィギュアを見せられても会話は成立しないよ」
「ひ~」
「その点、ヤマトモデラーの人達はいいぞ。まもるさんとかドテチンさんとかぴさんとか、他の皆さんもいい人だし話ができるからいいよ」
「名前覚えられない人が名前を覚えてるぞ」
「UMAI機関長はもちろんのこと」
「そもそも、なんで急に話がそうなったんだよ」
「いやね。別に友達作りたいとかそう思っていたわけではないが、意味が分からないながらもUMAI機関長を紹介されて付き合っているうちに、仲良くなってしまった。まあ意味はあったわけだね」
「分からないけど付き合ってみるのかよ」
「小林誠さんの言うことは意味が分からなくてもとりあえずやってみる。意味の無いことは言わないはずだからな」
「全幅の信頼だな」
「そうでもないよ。ただ、仮に信じて進まないと解決しないこともある」
「スターシャの言い分は完全に信じられないけどそれでもイスカンダルに行くってことだね」
オマケ §
「で、IMAI機関長とはどのあたりで話が合ったんだ? ヤマトか?」
「ダジャレかな」
「ひ~」
オマケ2 §
「まもるさんのブルーノアだったよね? あれは輸送ケースも含めて凄く良く来ていた」
「宝物?」
「でもあっさり他人に譲ってしまった」
「君と同じタイプか」
「完成品を持ち続けることにこだわらない人が他にいるのはいいことだ。ちょっと気持ちが楽になる」
「ってことは君にとっての完成品フィギュアって……」
「そうだ。買う意味が最初から無い!」
オマケIII §
「ayahttさんの電飾講座の知識がまだ活用出来ていないのは悔しいなあ」
「電子工作もやれよ」
「図書館でトラ技見たりして研究はしてるんだよ」
「トラ技って、トラの技術? タイガー? ブラックタイガーの飛行技術?」
「ちがーう!」