「この記事で引っかかったことが1つあるので、嘘を暴いてみよう」
「分かった。スマホは良いもので、スマホ病なんて分かってない大人が言いだした大嘘だってことだね」
「ちちち。君は馬鹿かね」
「は?」
「そんなことを言いたいわけではない」
「じゃあ何だよ」
「この岸先生はね。はっきりと【ネットは、人を本当にバカにしちゃっているから】と言い切っている。主語はスマホではなくネットなのだよ」
「でもさ。授業中にスマホいじってると言ってるじゃないか」
「スマホはネットを使うためのツールに過ぎない。本質的に人をダメにしているのはスマホではなくネットなのだ」
「ってことは、PCを使ってネットをしているからOKではないのだね?」
「そうそう。PCだってネットに依存するとNGだよ。人間がダメになる」
「それはどういうことだい?」
「だからさ。これはネット媒体なので、ネットを否定されると困るから、スマホの問題に矮小化しようとしているが本当はそうじゃない。ネットそのものがダメなんだよ」
「じゃあ、君はこの岸先生の意見に賛成なのか?」
「少なくとも、このインタビューで言っていることは、普段から自分が思っていることと大差ない」
「じゃあ、海外よりも日本の方が特にやばいと君も思っているの?」
「前からそう言っている通りだ」
「日本人は努力しないと没落する一方?」
「前からそう言っている」
「じゃあここでのポイントは何?」
「うん。本質的になぜ緊張感を持つ必要があるか分からない人が大多数だ。では、どこで彼らは多数派になったのか。主要な社会インフラの建設を見た世代と見なかった世代とではやはり違うのだと思う。そういう意味で自分の世代が分水嶺だ。はっきりと、1年下の世代は既に違うと感じた。もっともこれは個人差、地域差もあるので、一概にこの年が境界とも言えないのだがね。昭和30年代までと40年代以降では差が出る傾向にあると思うよ」
「それで?」
「この警鐘を鳴らしている人は1962年産まれ。つまり昭和30年代。しかし、問題を【スマホ病】に矮小化しようとしたインタビュアーはおそらく昭和40年代以降の産まれたもっと若い世代。ただの推定に過ぎないけどな。つまり、本人に緊張感が無いから警鐘を伝えられてもそれを正しく警鐘として伝達できていない」
「なんで正しく伝達できないの?」
「それがネットの特質だからさ」
「じゃあさ。世代差っていつから意識したの?」
「そうだな。1980年前後には既に意識していたと思うよ。はっきりと上級生と下級生では行動や価値観に差が出ていた」
「それは年齢差じゃないの?」
「いや、先輩の過去の行動と比較して、新入生の行動は小さくなっている傾向はあったよ」
「でも人によりけりなんだね?」
「そうそう。1950年代産まれでも緊張感無い奴は無いよ」