火星の地底世界の古代王国第9巻 火星の地底世界の究極兵器: キング・オブ・キングス
「火星の地底世界の古代王国シリーズ、完結である。いやー、長かった」
「1年半書き続けたね」
「しかも、1冊の長さが平均的な小説の2倍あったと言う」
「相当な力作だね」
「しかし、それ以上の感慨は、企画は90年代で20年以上たってそれで実現したという事実だよ」
「そんなに古いの?」
「本来は、この企画の前日譚が小説・火星の地底世界バルシダーになるはずだった。しかし、アイデアの分散は良くないと悟って、やりたいことは全て小説・火星の地底世界バルシダーでやり尽くしたので、ラマ主人公の企画はその時点で消えたんだ。でも、その後長く生きていて、書きたいことも出てきたので、ラマは復活できた」
「では、火星の地底世界の古代王国とは、どの国のこと?」
「最も古き王国アンシェのことだ。本シリーズは、名もない男としてイーネマスに来たラマが、最も古き王国アンシェの王となり、ラマ帝国と改称した上で中央大陸ケトス統一を行うまでの物語だ」
「最も古き王国アンシェであることが重要なの?」
「そうだ。中央大陸ケトスはもともと全てがアンシェの領土だった。それを、各地で蛮族が蜂起して切り取られていったのだ。だから、戦争を起こす場合、失地回復と言うだけで一切の大義名分は不要」
「作品の構成上の特徴は何?」
「小説・火星の地底世界バルシダーという作品の全否定だよ」
「えー」
「小説・火星の地底世界バルシダーで、アーサーは奴隷から大国の王にまで成り上がり、姫にも惚れさせることができた。そして最悪の敵にも勝利して、戦争でも勝った。まさにパーフェクト英雄だ。だからこそ、本作は小説・火星の地底世界バルシダーの相互補完的な裏面として、パーフェクト英雄のアーサーを否定する話しとして構築されている。だから、話の終盤で、アーサーが守ったノアグ王国はラマに占領されて消滅することになる」
「では見どころはどこなんだい?」
「アーサーの後継者であるフィンアル王子が首都警護軍団を率いて最後の決戦を挑むところさ。そこでアッと驚く展開がある」
「フィンアル王子とは、小説・火星の地底世界バルシダーのエピローグに登場したアーサーの子孫だね」
「そう。だから、ラマによる攻略戦を描くとすれば、フィンアル王子の死を描くことは避けられない。だから、フィンアル王子がどう死んだのか、なぜ死んだのか、誰が死なせたのか。それをはっきりさせねばならない」
「で、結論はどうなんだ?」
「それは読んでのお楽しみ。かなり意外な結末を付けることができたと思うよ」
「ところで、ラマは将棋マンだろう? 将棋は出ないのか?」
「領土を賭けた将棋勝負のシーンもあるよ!」