時間の隙間を縫って、奇跡的に劇場で見てきました。
押井守監督作品、立喰師列伝です。
ガラガラ §
平日の昼間という状況を差し引いても、客は少なかったと思います。
何せ、東京ではここ(渋谷シネクイント)でしかやってないわけですから。
原作に忠実 §
原作となる「小説」立喰師列伝にほぼ忠実な内容でした。
ただ、映画ならではの映像や音による演出が追加されていて、印象はかなり違います。
演技の素人によって映画を成立させる画期的技法 §
出演者は、みな演技の素人です。
声優ですらないです。
プロデューサやメカニックデザイナーらです。
しかし、第一線のプロである彼らは、顔に存在感があります。
彼らをデジカメで撮影し、その静止画を使ってアニメのような技法で映画を組み立てることで、彼らの顔の存在感を押し出しつつ、映画が成立します。
これは画期的な技法だと思います。これまで映画に出られなかった人も、映画に出られることになるわけですから。
実は笑える §
真面目に難しい言葉で戦後史を語っているような体裁を取っていますが、実際には全て虚構です。ゆえに、よく見れば笑えるネタのオンパレードです。
世相を語る際のハンバーガー猫肉疑惑のシーンでは、ハンバーガーに猫が挟んである合成写真が一瞬見えるし。ウルトラマンの映像が短く挿入されるシーンは、DAICON FILE版の庵野監督その人の映像です。
時々挿入される新聞記事も、笑えるように作られたネタだったりします。
私は、時々声を押し殺して笑いましたが、他に笑っている客はいなかったかも。
客の反応は? §
終わった後の客の反応をちらっと見ましたが、「呆然と取り残されてしまった……」という雰囲気を感じました。
私はもう、面白くてたまらなかったのですけどね。