前々から気になっていた旧多摩聖蹟記念館に行ってきました。
どういう場所か? §
明治天皇が来たことのある場所を「聖跡」と呼びます。
明治天皇が何回か来たことからその場所に建設された記念館が多摩聖蹟記念館です。
しかし、それは注意を引いた理由の半分でしか有りません。
歴史的に見ると、京王電車で毎朝通勤するサラリーマン層が出現した後、彼らが家族ぐるみで休日に遊びに行く場所の1つとして、この聖跡は出てくるのです。野猿峠のハイキングコースや京王閣などと並んで、定番の日帰りの行き先に数えられているのです。
実際、聖蹟桜ヶ丘という京王線の駅名は、この聖蹟の最寄り駅ということで付けられた名前です。(もともと「関戸」という駅名だったものを、わざわざ変えている)
それにも関わらず、私が物心付いた後、この「聖跡」が話題になったのを見たことはほとんどありません。かつての定番であり、見慣れた駅名の由来が、まるで捕らえ所のないあやふやな存在になっていたのです。
やはり、その実態を自分の目で見てこなければダメだろう……ということでいつか行こうと思っていました。
最寄り駅の罠 §
聖蹟桜ヶ丘などという駅名があるので、うっかりそこが最寄り駅だと思い込んでいました。
一応、地図上で見た場合、京王(小田急)永山の方が近いようにも見えますが、地図上で見える入口まで回り込むことを考えると、やはり聖蹟桜ヶ丘が最寄り駅に思えました。
しかし、距離的に徒歩で行くにはやや遠いので、どうしてもバスに乗らねばなりません。バスは、あまり好きではない上、乗り方のローカルルールが多いので、できれば乗りたくありません。(ただし、PASMO対応が進めば話は別)
しかし、ある時、旧多摩聖蹟記念館が存在する桜ヶ丘公園のページを見つけ、そこにある園内マップを見てハッとしました。
永山側にも入口があって、そこから旧多摩聖蹟記念館にまっすぐ行けるではありませんか。
そこから逆算すると、京王永山から旧多摩聖蹟記念館は、充分に徒歩圏内であることが分かりました。
「やられたぜ!」という気持ちでいっぱいになりましたが、もちろんそれによって出かける踏ん切りが付いたわけです。
ちなみに、京王永山駅は、聖跡が定番の行き先ではなくなったずっと後に出来た駅です。
地図を買った・道を間違えた §
「でっか字まっぷ東京多摩」は、日常の道具として使う関係上、酷使されていました。しかし、利用頻度が少ないため、鞄に常駐している訳ではありません。そのため、一度見失うとどこに置いたのか分からなくなってしまう罠が。
しょうがないので、京王永山の啓文堂で新規に買い込みました。2007年1版16刷なので、前のものより中身は新しいはずなので、アップデートしたと思うことにしましょう。
そして、これを見ながら歩いて見事に道を間違えました。
もちろん、間違わないように2つの特徴をチェックしていたのですが、その2つとも間違えました。
1つは、T字路の突き当たりだと思ったのが実は道路の色が変わる十字路で見過ごしてしまったこと。
もう1つは、近くの施設の名前を交差点の名前と見間違ったことです。
見かけほど楽ではない経路 §
正直、起伏の多い多摩特有の地形で歩くのは大変でした。地図上の見た目よりは大変だと思って間違いないと思います。
しかし、道さえ間違えていなければさほどきつくはない経路でした。
公園内に入った後は、かなりの傾斜を登ることになるので、そこはきついかもしれません。プチ登山ハイキング気分?
旧多摩聖蹟記念館 §

いろいろ貴重なものが展示してあります。
しかし、巨大な騎馬の明治天皇像は圧巻です。
建物も歴史的に貴重な良いものでした。
喫茶コーナー §
喫茶コーナーでコーヒー等をオーダーして飲めます。
とはいえ人が常駐していないので、事務所に言わないとオーダーもできません。
飲むための椅子とテーブルは、常設展示の部屋の中にあるので、明治天皇像や建物そのものを楽しみながら飲めます。
少し迷ったのですが、事務所で声を掛けてアイスコーヒー300円也をもらいました。
この素晴らしい歴史的空間で飲んだアイスコーヒーは美味でした。
しかし、これが次の驚くべき展開につながるは、さすがの私も予測すらしていませんでした。
五賢堂 §
旧多摩聖蹟記念館の前に五賢堂という施設があります。
出るときにアイスコーヒーを入れてくれた事務所の人に挨拶したら、今から開けるので中を見ていかないかと言われました。
何という大ラッキー。
団体客らしい年配の人の集団に混じって私も見てきました。
明治100年祭の時に作った施設で、明治維新に貢献のあった5人の偉人の胸像が置かれています。その他、元々多摩聖蹟記念館側にあった明治天皇像もそこに置かれていました。
ちなみに、反逆者であるはずの西郷さんの像も5つのうちの1つでした。解説の男の人も、特に西郷さんをネタに説明してくれました。(奥さんが上野の西郷像を見て似ていないと言った等の話を交えながら)
感想 §
公園というより、小規模のハイキングコースに近い感じがあります。
戦争に備えて良い臣民は身体を鍛えましょう……という戦前の日本なら、このレベルの施設は好ましいものだったのかもしれません。しかし、平地にある一般の公園のつもりで来ると、非常にきつい感想を持つことになるかも。
とりあえず、人があまり来ない理由は良く分かりました。
しかし、空は青く白い雲が浮かび、緑は茂り、気持ちの良い場所でした。