「ヤマトファンではあるが、パートタイムでハーロックファンモドキをちょっとだけやる」
「モドキかよ」
「こっちもドキドキだよ」
「ダジャレかよ」
「というわけで、一応暫定的な結論が出たので、書こう」
「まず、前提から始めてくれ。分かってない人もいるだろうから」
「うん。交響組曲キャプテンハーロックが最初にLPで発売されたとき、妹が買った。CD化されたとき、自分で買った。そして、CDを聴いて驚いた。ノイズレベルが高いんだ。静かな部分では気になるぐらいのホワイトノイズがサーと入る」
「そうか」
「でも、最近あらためて松本零士音楽大全のハーロックのディスクに入っている同等の曲を聴いて驚いた。音がもっとクリアなんだよ」
「なるほど」
「1970年代のハーロックの音楽は実は意外と好きなんだよ。で、ちょっとこだわってみたくなった」
「以上が前提なんだね」
「そうだ」
比較の方法 §
「最初の段階では比較の条件がフェアでは無かった」
「どうして?」
「交響組曲キャプテンハーロックはMP3からAACを経由してiPod touchで聴いた。でも、松本零士音楽大全はWMAからAACを経由してiPod touchで聴いた」
「iPod touchで聴いた理由は?」
「手元にあるすぐ聴ける機器で、最も音質が良さそうだったからだ。あと近所迷惑にならない」
「まともなオーディオが手元に無いってことだね」
「それはiPod touchなんてまともなオーディオじゃ無いって言ってるみたいだよ」
「すまん」
「いや、嘘では無かろう。たまたま必要があって買ったので手元にあるだけで、2度と同じ会社の製品は買いたくないぐらい出来が悪かったから」
「ぎゃふん」
「しかしながら単純に比較がフェアであるという理由でCDからiTunesでAACに取り込んでiPod touchで比較するという方法を選択した。条件は同じだ。気は進まんけどな」
どういう差があったのか §
「では聞き比べた結論を教えてくれ」
「同一のボリュームレベルで聞き比べた結果、以下のことが分かった」
- ノイズレベルは実は大差ない (松本零士音楽大全の方がやや低いかも知れないが気のせいかも知れない)
- ダイナミックレンジは松本零士音楽大全の方が大きい
「これってどういうこと?」
「ノイズレベルは大差ないが、ダイナミックレンジが広いから相対的なノイズレベルが低くなって、クリアに聞こえる」
「それっていいこと?」
「うん、いいことだ」
WHY?の考察 §
「なぜノイズが乗っているのだろう?」
「おそらくマスターテープに既に乗っていたノイズであろう」
「普通に考えると、時間が経過すると音質が劣化するよね。なぜ後発の松本零士音楽大全の方がダイナミックレンジが広いの?」
「いい質問だ。おそらく理由は2つ想定できる」
「その2つとは?」
「以下の2つだ」
- マスター作成の技術的な向上 (機械的/人的)
- 素材マスターテープの利用
「前者は何となくわかるけど、後者は何?」
「その話がポイントだから詳しく説明しよう」
素材マスターテープの問題 §
「ハーロックの音楽は最初から劇伴と、交響組曲の両方を最初から作る前提があったことが特異性としてある」
「それが特殊なの?」
「そうだ。今でこそ、劇伴とCDで売られているサントラが同じであることは珍しくも無い。しかし、昔はレコード化する音源は別途録音し直すことが多かったのだ」
「それはどうして?」
「理由はいろいろあるだろうが、そういう慣習があった。だから、宇宙戦艦ヤマトでも、交響組曲は劇伴と明確に違う」
「なるほど」
「しかし、ハーロックはそれを一致させようとした先駆的作品なのだ」
「でも、それが音質差につながるの?」
「つながる。なぜなら作業手順的に交響組曲の方がダビング回数が多いと推定され、かつ、アナログテープはダビングするごとに音質が落ちていくからだ」
「なぜダビング回数が多いの?」
「おそらく、以下のような手順で作成されているからだ」
- 音楽の録音→素材マスターテープ
- 複数の素材マスターテープから交響組曲を構成し、交響組曲マスターテープを作成
- 素材マスターテープ→松本零士音楽大全
- 交響組曲マスターテープ→交響組曲キャプテンハーロック
「それって、バラバラに録音された素材を編集でまとめて交響組曲キャプテンハーロックが成立しているってこと?」
「おそらくそうだ」
「なぜそう思うの?」
「交響組曲キャプテンハーロックの場合、旋律間で音がかぶっている部分が松本零士音楽大全では明瞭に分離しているからだ。まあイメージだけで語っているけどな」
「なるほど」
謎は解明されたか? §
「これで謎は解明?」
「ただの仮説だよ」
「正しいかどうかは分からないってことだね」
「そうだ。なんとなくイメージで語ってるだけだから」
「当時の関係者にあたれば正解が分かるのじゃないの?」
「それも怪しいな。松本零士音楽大全ですら10年以上前だし、ハーロックに至っては30年以上古い。関係者の記憶も意外とあてにならない。更に、関係者の意向の解釈に齟齬があって封印されている部分があるような気がする。そこは叩いても出てこないかもしれない」
「だから現物の解釈で行きたいってことだね」
「ただし、ヤマト系のCDはほとんど持ってるはずだが、ハーロック系は持って無いCDも多いからそれも含めてこの解釈で良いかは分からない」
「悩ましいね」
「悩ましいのだ」
この先は? §
「それでこの先はどうするの?」
「パートタイムのハーロックファンモドキは終了する」
「それだけ?」
「松本零士音楽大全は10枚まとめて取り込んだから、音を聴いて疑問があればパートタイムの999ファンモドキとか1000年女王ファンモドキになる可能性はある」
「こだわっている部分に触れる何かがあればってことだね」
「そうだ、とうてい全体は語れない」
「本当に?」
「本当ですよ、信じないかも知れないけれど」
オマケ §
「松本零士音楽大全の17曲目マゾーン大艦隊の後半部分なんて、ドラム(かどうかはワカランが)だけだよ」
「大編成のオーケストラじゃないってこと?」
「ハーロック音楽の目玉は大編成のオーケストラの壮大なサウンドだが、BGM全体では単体楽器の素朴な音も凄く効果的に使われている。オカリナとかもね。見事だ」
補足・松本零士音楽大全について §
「松本零士音楽大全(The Music Encyclopedia of LEIJI MATSUMOTO 1999)は、コレクターズアイテムとしてシリアルナンバー入りで発売されたもので、特製の腕時計などとセットのCD10枚組だ。ヤマトとか999はもとより、スタージンガーとかダンガードAまで入ってる。マリンスノーの伝説とかエメラルダスも入ってる。発売されたのはおそらく2000年だと思う。部屋の奥で長年眠っていたのが掘り出された。当時は精神的にゆとりが無くて活用できないまま埋もれてしまったものだろう」
「立派そうだね」
「おそらく現在では入手困難だろう。中古で入手できればラッキーというレベルだろう」
「熱心に探せってことだね」
「でも、LOVE LIGHTはしっかり入ってるのにSAYONARAは日本語版が入っている等、普通にCD買ったら入ってる路線を微妙に外しているマニアックさはあるぞ。ゴダイゴの銀河鉄道999も英語バージョンだし。そこは注意が必要だ」
「メジャーなCDから漏れた曲が意外と入ってるCDセットと解釈した方がいいわけだね」
「既にCD持ってる人がこのボックス買うんでしょ?というノリなのだ。だから主題歌類もCDに入ったフルサイズよりもTVサイズが多い。その辺にこだわりがない人は買ってもしょうがないと思う」
「君はどうなんだい?」
「交響組曲キャプテンハーロックも、挿入歌集も、マリンスノーの伝説のCDも持ってたりするから、まあ該当の範囲内なんだろうな。SAYONARAもLOVE LIGHTも収録してるCD持ってるし。でも、持ってるCDでSAYONARA日本語版は松本零士音楽大全にだけ入っていた」
オマケ2 §
「ついでに、パートタイムでスタージンガーのファンモドキでもやるか」
「何をするの?」
「歌うんだよ。姫のためなら御飯を抜いても我慢する♪」
「どうして?」
「医者からカロリー制限言い渡されてるんだよ」
「ぎゃふん」
「パートタイムのスタージンガーのファンモドキ終わり。さーいくか」
「さーさー行こうね」