「島の通信を見るために、改めてヤマト1974第10話を少し見て良く分かった」
「何が分かったの?」
「演出上の突出した長所」
「どこだい?」
「通信室の古代を森雪が覗いているのだが、通信しない理由について考えている。次の瞬間、理由が分かって配慮が足りない自分に気付いてショックを受ける。その瞬間、BGMが中途半端なところでいきなり切れる。ここが演出上の最大のショックポイント。いきなり流れていたBGMが途切れるなど、そうそうあるものではない。心理的な衝撃の大きさの演出」
「ひぇ~」
「実はね。このエピソードで古代の心に到達したのは沖田艦長と森雪だけ。他の連中は古代を分かってやれない。ここから決定的に古代と沖田、古代と森雪は特別な関係になって行くのだ。タイタンが助走。あの時も、古代と沖田、古代と森雪だけが特別な関係になれるのだ」
「なるほど。そうするとヤマト2199は【全くの別物】ってことかい?」
「そうだな。山本が助けに来てしまう展開から、タイタン総統のエピソードのニュアンスが違ってしまい、最終的に通信エピソードで古代は森雪とも沖田ともろくに関係を持たない。あれは別の何かと思うべきだろう」
その他 §
「あとはね。通路ではしゃいでいる2人の部下に持ち場に戻れと古代が叱る場面。あれはヤマト2199のあとで見ると凄く鮮烈。パーティー中にああいう厳しいことを2199古代は言わない。それどころか、仕事をしている相手との交代すら申し出る。最終的に山本と修理デート。凄くあまっちょろい」
「そこが気になった?」
「そう。スクランブル要員が誰もいないなら、それは重大な問題だ。敵が来たら困る。当然、そこは【戻れ】と叱るべき状況だろう。もっとも言われた方はあまり分かってない感じで、どの部署もみんなパーティーに夢中という感じだろう」
「でも古代はそれを言う必要があったのだね?」
「そうだ。だから2199古代も、山本が【私も手伝います】と現れたとき、スクランブル要員はどうなっているか質問すべきだったのだよ。誰もいないなら、そこで戻れと叱るべきだったのだよ」
「そこが2199的な甘さだね」
「修学旅行と言われてしまう理由の1つだ」
オマケ §
「やはり第10話は泣ける。ヤマト2199の通信エピソードは泣くところまで行かない」
「なんでそうなるの?」
「ヤマト2199の方は泣けないシーンがそもそも多いからな。修理とか修理デートとか意味ありげな新見とか。あのへんは泣くこととは直接関係が無い」
「他には?」
「闇はいかんとか、あれも泣けないポイント」
「なんで?」
「闇市というのは、利用することがノーマルなのだよ。使うなっていうのは餓死しろの同義語。むしろ、闇市を使っているという描写は、まだ生きていけるというサインそのもの。とすれば、あまり緊張感のある描写ではない」