「いや、ちょっと思い出したのだがね」
「うん」
「子供の頃、宇宙戦艦ヤマトのどこがいいの?と言われて答えていたのはこう」
「それで?」
「つまりさ。ヤマトとは壊れるものであり、そこから逆転して、その後で修理するところが良かったわけだ」
「なるほど。しかし、それはグレートマジンガーがぎりぎりまで壊れるのとどこが違うんだい?」
「壊れ方とか、逆転の方法論が全く違ったと思うよ。もはやグレートマジンガーの中身はほとんど忘れてしまったが」
「えー」
「しかし、そういう価値観を前提とすると、壊れないヤマトはヤマトじゃないということになってしまう」
「ああ、分かったぞ。色気のある第3艦橋の壊し方を実践した復活篇はヤマトに見える。第3艦橋を犠牲にして生き延びたSBヤマトもヤマトに見える。でも、第3艦橋が壊れないヤマト2199はヤマトに見えないわけだ」
「まあ、宇宙戦艦ヤマトという言葉の意味は多角的だからヤマト2199をヤマトだと思う視点もあれば思わない視点もあるだろう。でも、子供の頃の自分の感覚だと、まさにあれは【ヤマトではない】になってしまうな」
オマケ §
「でもさ。その価値観ってヤマトスゴイとは絶対に相容れないんじゃないの?」
「相容れないねえ。ヤマトの凄さを手放しで賞賛するなら、子供の頃に期待したぎりぎりまでヤマトが壊れるような物語はあり得ない」
「目眩がしてくる話だ」