Youtubeで逆襲のシャアを見た際に、オマケに【閃光のハサウェイ】Aパートが付いていたので、ついでに見たがこれが予想をはるかに超える良作だったので驚いた。
まあ、ガンダムあるいは日本のアニメの9割は自称プロが作った同人作品だと思って良いと思うが、中には若干ながらまともな作品もある。それに突き当たったということだろう。
さて、何を言っているのか分からない人も多いと思うが、それはしょうがない。もともと分からないから、ガンダムガンダムと浮かれることができるのだ。
では、ここでは異論は横に置いて言いたいことだけ書いていくことにする。
さて、逆襲のシャアについては、映画の基本的な作り方は間違っていないが、以下の点を特に弱点と考える。
• 登場人物が不必要に多い
• 設定が難解で説明不足
• 冗長で長すぎる部分があるが、分からせるには短すぎる
これらは、【閃光のハサウェイ】Aパートではほぼ解消されている。
登場人物は、事実上、主人公、口数の多い青年、謎の美少女、キャビンアテンダントの4人だけで進行する。残りのキャラクターは事実上覚える必要のない背景だ。敵は、みんな覆面で上手く匿名化できている。
設定の難解さはどうだろうか。このAパートでは、ハイジャックという事件が描かれていて、無重力やシャアの反乱のことを除けばほとんどガンダム世界のお約束を要求しない。逆襲のシャアで説明もなくカムランが出てきて重要な役割を果たすのとはかなり違う。フィフスルナ/アクシズ落としと、身代金目的のハイジャックでは分かり易さが全く違う。
冗長さはどうだろうか。実は、テロリストへの怒りが最大になったところでアクションに突入し、それも短時間で終了する。逆襲のシャアだと、逆襲のシャアでなくても見られるモビルスーツ戦を延々と見せられたりするが、そういうことはない。そして、実はここで驚くほど死人が出ていない。テロリストが殺した人数はとても少ない。実は乗客に限ると、偉そうなことを言ったおっさんとその妻しか殺していない。銃撃戦は起きているが、着陸後の映像を見ると撃たれたテロリストも死んではいない者が多かったようだ。つまり、アクション展開に入るために必要な人数しか殺していない。冗長さがない。
それでいて、飽きさせないのは謎を多く残しているからだ。あの美少女は何者か。マフティーの正体は誰なのか。そして、そもそも主人公のハサウェイ・ノアとは何者なのか。ハイジャック犯は偽物だと指摘した美少女はいったい何者なのか分からないし、なぜ指摘できたのかも分からない。そして、そもそもどうしてハサウェイは金持ちと政治家しか乗れない高級シャトルに乗れたのか。
実は、このAパートだけでも慎重に見ると、ハサウェイとマフティーの正体は分かるようになっているが、それは折りたたまれていて初見の者には分からないようになっている。なかなか良くできている。あとから振り返って「ああそうか」と思えるようになっている。
全般的に言えば、派手なアクションや人の死を描きながら、ガンダム世界特有のお約束を強く要求せず、かつ、物語に観客を引き付けるように作られている。
それは【撃たれました】【死にました】という単純な物語に回収せず、死体をわざわざ毛布で包んで固定する描写をきちんを描き、死の重さを強調することを通じて、「いつもより重いものを見せられているのだ」という特別感を出せているからだろう。
シナリオも優れているし、演出も優れている。
近年のアニメはほんの少ししか見ていないが、その中でも感銘を受けた。
もっとも §
もっとも、その先を見ても同じ感想かどうかは分からない。
掴みだけ良くできている映画というパターンもある。