ヤマト2199のストーリーはいろいろな意味で宇宙戦艦ヤマトを裏切る内容になっていたが、宇宙戦艦ヤマト4Kリマスター(ヤマト1977)をヤマト2199後の2023年に見ることで、「実はヤマト2199のストーリーの大枠はヤマト1974ではなくヤマト1977準拠である」という仮説が浮上した。
大ざっぱに言えばこういうことである。
- ヤマト1977に含まれている要素はほぼヤマト1977準拠で話が進むが、それ以外はヤマトからかけ離れた話が進行する。ただしガミラス到着以後は辻間合わせのために、ヤマト1977準拠で話は進んでいない (進ませようがない)
ヤマト1977に含まれている要素はほぼヤマト1977準拠で話が進むとは以下のようなことを意味する。
- 共に、古代と沖田の心の交流がほぼない
- 共に、若者の冒険譚という要素は控えられ、プロが戦う話に徹している
- 共に、もともとの第1話の要素はおおむねその通りに進む
- ヤマト1977のワープテストと波動砲試射はダイジェストになっているが、ヤマト2199でもダイジェストで終わる
- 共に、アルファ星のくだりは、ほぼオリジナル通りに展開する
- 共に、ドメル艦隊との決戦は、ほぼオリジナル通りに展開する
逆に、ヤマト1977に含まれていない要素は独自展開が多い。
- 冥王星決戦は時間の都合でダイジェストになっているが、ヤマト2199ではそれを描く時間があるので、オリジナル展開で埋めた (オリジナル準拠で描きようがない。描けるほどの中味がヤマト1977にはない)
- ヤマト1977に登場しないビーメラ星、バラン星などはほぼ新規の独自展開である
以上から以下の仮説が得られる。
- ヤマト2199のストーリーの大枠を考えた人はヤマトファンではなく、ヤマト1977を参考のために見た程度である。ヤマト1974は見ていない
- 本来はヤマト1977に肉付けした程度でヤマト1977準拠で話を進めたかったと思われるが、独自展開が多すぎて辻褄が合わなくなり、ガミラス到着のあたりから完全なオリジナル展開になった
- SPACE BATTLESHIP ヤマトの脚本家がコメントで「雪のまずいコーヒー」に触れていて細部まで知っているヤマトファンであることを匂わせているのとは対称的である
- 実はヤマト2199のコアスタッフは、ヤマトをリメイクしたかったのではなく、本当は別のオリジナル企画をやりたかったが、それが上手く行かなかったので、ヤマト2199の企画に便乗して、それを実現しようとしたのではないかという可能性も浮上する
- 劇場版の「星巡る方舟」は、準拠すべき旧作が存在しないので、より「本来やりたかった企画」に近いものを作ることができた、とも考えられる。つまり、本来やりたかったのはアニメ版スタートレックないしそれに類似したものである
仮に、本来はアニメ版スタートレックをやりたかったができなかったので、ヤマト2199を作ったという仮説が正しければ、一つ分かることがある。スタートレックのエンタープライズは完全に軍艦である。たとえばカーク船長には階級がある。あれは軍人が動かす軍艦が冒険に出るのだ。しかし、本来の宇宙戦艦ヤマトは軍艦かどうかはっきりしない。古代や島に階級はないのだ。ところが、ヤマト2199になると階級があって、乗組員は軍人であり、ヤマトは最初から軍艦なのだ。これは、ヤマト2199はヤマトよりもスタートレックに近いと考えることもできる特徴だ。