映画「さらば宇宙戦艦ヤマト」を再び分析の対象にしてみようという時代錯誤な企画の派生として、(初代)TVシリーズ「宇宙戦艦ヤマト」の分析にもちらっと手を出してみようと思いました。間違い、勘違い、異論、反論などは上記メールアドレスかtestml4までお寄せ下さい。
歴史的ムックを今あらためて見ると §
現在のアニメ関連書籍の原点ともいうべき歴史的なムックがあります。
テレビランド増刊 宇宙戦艦ヤマト ロマンアルバム 昭和52年9月20日発行
いろいろ書いたり考えたりするために、これを本棚から出してきて見ていたのですが……。そこであることに気付きました。
このムックには、「宇宙戦艦ヤマト航海日誌」というコーナーがあります。これは(初代)TVシリーズ26話のストーリーダイジェストです。
ところが、この部分には鉛筆による多くの書き込み(子供の頃の私による)が行われています。
なぜかといえば、間違いがあまりに多かったためです。
今から思えば本の価値を損なう行為だったと思いますが、当時は書き込みによって価値が上がったと思っていたわけですね。
どのような間違いか? §
以下に一部紹介します。
第1話より
古代進、島大介、無断出撃。しかし、ガミラス指令空母へ反物質手榴弾攻撃して、これを爆破す。
(実際にはエンジンがオーバーヒートして不時着。二人がガミラス指令空母を見ることすら無い。というか、そのような空母は画面に映ることすらない)
第2話より
地球防衛軍迎撃機、作戦なかばにして全滅
(地球防衛軍迎撃機などというものは一切出てきません。出てこないものに作戦もなければ全滅も無し)
科学技術員によって、主砲・波動砲試射。成功。
(主砲は宇宙空母に撃っただけで、これは試射とは言いにくいもの。まして波動砲は補助エンジンしか動いていない状況では「艦首波動砲のみ動力不足」で撃てません。しかも、撃てば地球もただでは済みません)
これは本当に単なる間違いなのか? §
子供の頃は、単なる間違いであり、書いた人はあまりに無知だと思っていました。
しかし、そうでしょうか?
ヤマトについてよく知らない人が書いたからといって、唐突にフィルム上に存在しない「ガミラス指令空母」であるとか「地球防衛軍迎撃機」といった言葉を書けるものでしょうか?
実は、この「宇宙戦艦ヤマト航海日誌」を書くために使用した資料に、それらの言葉が書かれていたのではないでしょうか?
まだ家庭用ビデオデッキが一般化していないこの時代にあって、映像を見ながら原稿を書くことは極めて難しかったと思われます。
つまり、紙資料をベースに、「宇宙戦艦ヤマト航海日誌」は書かれたのではないかと。
では、その紙資料とは何でしょうか?
もしや、最終的に確定した内容を記したアフレコ台本ではなく、制作途上のシナリオ(準備稿? あるいは決定稿でも?)という可能性はないでしょうか?
仮にそうだとすると、実はこの「宇宙戦艦ヤマト航海日誌」とは、準備段階で検討されたエピソードを知ることができる貴重な資料とは言えないでしょうか?
疑問文で終わります §
というわけで、最後に疑問文を書いて終わりです。
結論はありません。
しかし、年を取ると同じものを見ても全く別のことを感じるわけで、興味深いですね。