映画「さらば宇宙戦艦ヤマト」を再び分析の対象にしてみようという時代錯誤な企画の派生として、(初代)TVシリーズ「宇宙戦艦ヤマト」の分析にもちらっと手を出してみようと思いました。間違い、勘違い、異論、反論などは上記メールアドレスかtestml4までお寄せ下さい。
ヤマト搭載機の謎 §
ヤマトに搭載される戦闘機には以下のような謎があります。
これらの謎を宇宙戦艦ヤマト再分析序論・冥王星海戦において敵味方共に空母が存在しないミステリーに驚きの理由が!?で導き出した「地球防衛軍は空母中心の艦隊を持っていた」という仮説を元に検討してみます。
第1話開始前に壊滅した地球防衛軍空母部隊を推測する §
この空母部隊は、仮説が正しければ、第1話開始前に壊滅しています。
ゆえに、一切画面に出ることはありません。
そこで、それがどのような戦力であったのか、推測してみたいと思います。
まず、ガミラスと違って利用できる資源が乏しい地球ですから、戦力として申し分ない設備を持つ正規空母を十分に揃えることは難しかったと考えられます。そこで、艦載機を運用できる最低限の設備を持った補助空母も存在したと仮定しましょう。補助空母は、他の艦種(たとえば戦艦)の一部に艦載機取り扱い設備を増設したものであったかもしれません。その意味で、宇宙戦艦ヤマトはここでいう補助空母に分類されます。
さて、艦載機は技術革新で大型化していくのが歴史的な流れです。正規空母は大型化した艦載機を搭載できるでしょうが、補助空母はもともと設備に余裕がないので、大型化した艦載機を運用できないかもしれません。
とすれば、そこで必然的に艦載機は2つの系統に別れねばなりません。
強さを追求した重量級大型機と、補助空母でも運用できる軽量級小型機です。
地球防衛軍空母部隊は、重量級大型機を搭載した正規空母と、軽量級小型機を搭載した補助空母から構成されていたと推理できます。
艦載機進化の歴史 §
我々が知ることのできるこの時代の艦載機は以下の4種類です。
- コスモタイガー (コスモタイガーIIが存在することから推定される機種)
- コスモゼロ
- ブラックタイガー
- コスモタイガーII (派生型含む)
進化系統樹には他機種が含まれる可能性を留保しつつ、この4機種の進化系統樹を推測してみましょう。
まず、基本形はコスモタイガーです。コスモタイガーの時代はまだ1機種で済んでいたと考えられます。
次に、重量級大型機と軽量級小型機に分裂進化する時代が到来することになります。ここで、重量級大型機がコスモゼロ、軽量級小型機がブラックタイガーと分類してみたいと思います。
最後に、ブラックタイガーの発展形となるコスモタイガーIIが出現しますが、これは軽量級小型機であると推測されます。(ただし、派生型の雷撃機タイプなどは重そうなので、軽量級小型機ではないかもしれない……)
ヤマト艦載機に要求される条件 §
ヤマトはあくまで戦艦であり、艦載機は強引に艦内に格納庫を作って乗せているに過ぎない……と考えられます。つまり、上でいう補助空母扱いです。
ということは、必然的にブラックタイガー→コスモタイガーIIのラインが搭載機として適しています。
しかし、人類の地球脱出、あるいは放射能除去装置を取りにイスカンダルまで往復する……といった任務を考えた場合、孤立無援の状態で敵の攻撃を退ける必要が生じます。とすれば、できるだけ強力な戦闘機を搭載すべきである……という考え方も出てくるでしょう。このような要求に対応するために、ヤマトは重量級大型機を運用する能力も与えられていると考えられます。
重量級大型機のハンデ §
重量級大型機は、当然場所を食うので、搭載可能な機数が減ります。
また、発艦にカタパルトを使わねばならないようなので、多数の機体を出撃させる際に時間が掛かるという問題もあります。
つまり、搭載機を重量級大型機だけに絞っても上手く行きません。
問題は比率? §
相反する要求に応えるためには、おそらく2つのタイプの戦闘機のどちらか一方に絞ることはできず、両者の混在という結論に落ち着くことになるでしょう。
では、何機対何機とすれば良いのでしょうか。
ヤマトには2基のカタパルトがあるので、時間を無駄にせず発艦可能な重量級大型機は2機ということになります。
この2機という数字は1つの目安になりそうです。
机上プランとしての2機対多 §
戦闘隊長古代と戦闘機隊の隊長加藤に重量級大型機つまりコスモゼロを与え、残りのパイロットにはブラックタイガーを与える……、という机上のプランがあっても良さそうです。
しかし、机上のプランはしょせん机上のプランに過ぎません。
この選択には以下のような問題が考えられます。
- 性能の違う機体では編隊を維持しにくい
- 重量級大型機を1機でも多く積むと、搭載可能な総機数が減ってしまう可能性がある
- ブラックタイガーはガミラス艦も撃沈できる優秀機なので、別機種に置き換えてもメリットが薄い
このような理由から、加藤はコスモゼロよりもブラックタイガーを選んだ可能性もあり得るでしょう。
一方で古代の方は、戦闘機だけでなく戦闘隊長になるべく、あらゆる戦いのやり方を学んでいたはずです。その中で、コスモゼロの操縦方法を学んだことは間違いないでしょうが、コスモゼロとブラックタイガーを比較してどちらかを選び取るような判断を行う余裕は無かったかもしれません。
結論 §
ヤマトないしヤマト計画そのものに、あえて2種類の戦闘機を搭載しなければならない必然性はないと考えられます。
2種類の戦闘機を搭載する形になったのは、ヤマトに先立って2種類の戦闘機が地球防衛軍に存在したためだと考えるとすっきりするような気がします。
とすれば、コスモタイガーIIの1機種に絞り込んだ「さらば宇宙戦艦ヤマト」のヤマトこそ、理想的な艦載機運用を実現した唯一の事例と見ることができるかもしれません。
しかし、古代専用の1機程度であれば、コスモゼロを搭載しても大差ない……と考えることもできます。別機種の慣熟飛行を行う時間がない多忙の古代のために、コスモゼロ1機を搭載し続けた……という考え方はありかもしれません。
2008/11/12追記 §
反論が寄せられました。「『加藤三郎の乗機はブラックタイガーではなくコスモゼロである疑惑』を否定するご意見」もご覧ください。
