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2008年01月06日
川俣晶の縁側歴史と文化下高井戸周辺史雑記total 3376 count

淀橋・十二社という重要な土地……複数の興味の軸からものの見事にすっぽり抜け落ちたメカニズムとは!?

Written By: 川俣 晶連絡先

前置き §

 私は1964年生まれですが、物心ついて最初に見た「新宿西口」には既にバリブルーン発進口(笑)がありました。ぐるぐるまわって地下に降りるロータリーが既にあって、京王線の駅は既に地下。京王デパートも存在し、父親の車に乗って地下駐車場に車を止め、きらびやかで新しい京王デパートの玩具売り場で商品に目を奪われて親に迷惑を掛ける……というのが新宿像だったわけです。

 その後で意識的な情報収集で過去の新宿像を再構築していったわけですが、様々な理由により、十二社という土地が見落とされました。それはもう、見事なぐらいに複数の確認経路から抜け落ちていたのです。そのあたりのメカニズムが興味深いので軽く書いてみようと思います。

 ちなみに、本当に見落とされたのは十二社よりも淀橋かもしれません。

主要な興味の軸 §

 私の主要な興味の軸は、甲州街道(甲州道中)、京王線、玉川上水です。

 この3つの全てにおいて、新宿は重要な意味を持ちます。

 甲州街道において、新宿とは後から作られた最初の宿場町であり、下高井戸宿の存在意義を大幅に低下させた存在です。

 京王線は、もちろん新宿と八王子を結ぶ路線です。しかし、始発駅は、現在のように新宿西口ではなく、新宿三丁目あたりに当初作られていました。

 玉川上水は四谷大木戸で終わりますが、これは新宿の目と鼻の先であり、ほぼ「新宿で終わっている」と言えるものです。

 さて、私が当初持った疑問は、以下の2つです。

  • なぜ京王線の終点は現在の新宿三丁目あたりなのか
  • 宿場町の新宿とはどのようなものか

 この2つの疑問は完全にシンクロしています。

 つまり、宿場町としての新宿の中心は新宿追分にあり、京王線の当初の始発駅はまさに新宿追分に存在したことが分かったからです。

 必然的に、それまで新宿の中心だと思っていた現JR新宿駅は西の外れだと思い知ることになりました。

 この時点で、現JR新宿駅以西は完全に興味の対象から外れたことになります。

 当然、淀橋、十二社も対象から外れてしまいます。

 また、甲州街道、京王線、玉川上水のいずれも、淀橋、十二社を通過しません。途中経路として興味の対象に入ることがありませんでした。

確認の軸その1・古地図 §

 古い時代の状況を確認する手段として、以前からよく使っていた複製古地図が「東京近傍中部 明治十三年測量同十九年製版」です。

 この地図は、建物の密集地を黒く塗りつぶしていて、人口密集地を特定するのに便利でした。

 しかし、十二社のあたりには黒い部分が見あたりません。そのため、このあたりには何もないと思い込んでしまった可能性があります。

 ちなみに、淀橋のあたりは黒い部分が多くありますが、青梅街道にはあまり興味がなかったのでチェックしていません。

確認の軸その2・実地を歩く §

 新宿西部は2004年11月21日に実地を歩いています。(旧淀橋区角筈周辺散策参照)

 このとき、「新宿中央公園が途切れる交差点の西の向かい側に、角筈区民センターという建物」を確認しています。

 この建物は以下にあります。

 角筈区民センターという施設がある以上、ここは角筈という地域の典型的な一部であり、「このあたりも角筈であった」つまり「新宿中央公園の西側も角筈であった」と思い込んでしまいました。

 しかし、今になって確認すれば、この施設のすぐ北はもう十二社です。地図中のセントピラ永谷と書かれた建物はかつての十二社に属します。

 この錯誤が、完全に十二社という別地域の存在を隠してしまったと言えます。

興味対象外となった神田川と青梅街道の問題 §

 神田川と青梅街道は、主要な興味の対象ではありません。

 その結果として、神田川と青梅街道がどこを通っているかの詳細をよく把握していませんでした。この2つが交差する点が、予想以上に新宿に近い場所であったことも知りませんでした。そして、その箇所が交通の要衝であり、まさに「淀橋」という橋がある場所であり、大東京三十五区の「淀橋区」の名前の元になった場所だとは、思い至っていませんでした。淀橋区、淀橋浄水場、といった言葉をよく使っていたにも関わらず、淀橋について考えていなかったのは、まさにそれが興味対象外の川と街道の交差点だったからでしょう。

 しかし、これほど新宿に近いということは、新宿という街を考える上で知っていなければならなかったことです。

地名と地域の問題 §

 十二社や淀橋は、古い時代にあっては新宿の一部ではありません。

 しかし、現在「新宿」として認識する範囲の一部、あるいはそれに近い位置にあります。

 このギャップは、文字を通して調べる場合に見落としを発生させる可能性があります。つまり、昔の「新宿」について調べる場合に、これらの土地がいつの間にか排除されている可能性があるわけです。

その他 §

 中央線から淀橋浄水場に入る引き込み線は、淀橋浄水場の中で終わっていて西には抜けていません。ですから、淀橋浄水場の西側への興味につながりません。

 西武新宿線の新宿駅延伸問題は東口の問題。

 東急の渋谷から新宿への延長時の新宿駅予定地はどうも京王が新宿駅として使ったようで、これも南から入って小田急新宿駅の西脇に入っておしまい。

結論 §

 というわけで、本来無関係な複数の興味から新宿に迫り、地図を見て、実地の歩行を行い、多角的に網羅したつもりだったのに淀橋と十二社はその網から抜け落ちていたわけです、

 実に興味深い面白い話ですね。

 いかに、人間の認識力があてにならないかが良く分かります。

 そして、単に私が驚ける新事実であれば、地球の裏側はおろか、奈良・京都にすら行かずとも身近にまだまだ眠っていることがよく分かりました。

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