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2008年08月17日
川俣晶の縁側歴史と文化下高井戸周辺史雑記total 4682 count

徳川家康が江戸に来る前の関東世界と上北沢勝利八幡神社

Written By: 川俣 晶連絡先

桜上水Confidentialさんの上北沢勝利八幡神社より。

桜上水・上北沢の鎮守さま勝利八幡神社。平安時代・万寿三年(1026年)に京都府八幡市に鎮座まします石清水八幡宮より勧請し創建された神社と伝わり、その創建は世田谷区内で最も古い。

(中略)

府中の国府からみると、上北沢は、荏原の中で一番、府中に近い場所であり、北は北沢川、南は烏山川を自然障壁として、古府中道を望む勝利八幡神社の立地は、国府の出先機関を置くのに適した立地と見ることができよう。

(中略)

神社の現在は、過去の経過が全てそぎ落とされ、そこに鎮座ましますこと、そのものが存在理由であるが、おそらく古来、平安期前後までは、現代で言えば基礎自治体の役所の機能をもっていたものであろう。

(中略)

上北沢勝利八幡神社は、平安時代は、世田谷区役所のような存在だった?

 おっと!

 予想外に私の好みにジャストミートだが、あまり手を付けていない領域にピッタリ!

 まるで狙ったように私のハートに来ましたよ!

関東史というテーマ §

 徳川家康が来るまで江戸には何もなかった、と「したり顔」で語る人は西日本はおろか、東京でも珍しくありません。更に、そのような話を「関東には何もなかった」と拡大解釈する人もいます。

 そういう状況に不満を感じたことから、特に中世の関東史というものに強い興味を持っています。興味を持つだけで、あまり突っ込んではいませんが (汗。

 とりあえず、平安時代から鎌倉時代まで、武蔵の国は「政治的中心となる府中」と「宗教的中心となる国分寺」を結ぶラインが中心地であり、そこを中心に物事が動いていたらしいことは分かりました。江戸はその時点で政治的重要性を持った土地ではなかったわけです。(しかし、当時最も効率の良い輸送手段である水運の都合を考えれば江戸が重要な水運の中継点であったことは容易に予測ができる。日本列島の中心に近く、更に利根川を遡れば裏日本への物流も担える)

 そして、やはり忘れてならないのが世田谷城。戦国時代、吉良氏の世田谷城と関東管領上杉氏の深大寺城が向かい合う緊張状態があったという話は、ワクワクしますね。しかも、世田谷城の支城である赤堤砦に至っては、どの説を採るにせよ、気楽に行ける徒歩圏内です。

 しかし、あまり突っ込んでいないので、私が思うところはこの程度。

府中とつながる勝利神社 §

 しかし、桜上水Confidentialさんの文章は、あの時代の府中と勝利神社の関連性について示唆しています。これは面白い。そうか、そのようなものの見方があったのか!

 ちなみに、下高井戸にはこれだけ古い神社はないはずです。(下高井戸八幡神社は太田道灌が江戸城を築城する際にできたもので、かなり新しい)。たぶん、勝利神社と並べて比較対象になるのは、大宮八幡宮でしょう。

 更に卓見であるとは、「上北沢勝利八幡神社は、平安時代は、世田谷区役所のような存在だった?」という文章に見られるように、神社を宗教的機能というよりも政治的な機能として見ている点です。神社をそのような視点で見ることは、おそらく正しいと思います。

まだ終わらないって!? §

 と、ここまで書いて気付きました。

 私は2007年12月14日に以下のような文章を書いています。

下高井戸を貫く江戸道(府中道)の正体は現在の東京都道14号新宿国立線!?」より

 下高井戸近辺であれば、古地図を見てもたいてい位置関係が分かります。甲州街道、玉川上水、神田川の位置関係はほとんど変わっていないからです。

 しかし、『文化財シリーズ26 甲州道中「高井戸宿」 杉並区教育委員会』の冒頭の「上・下高井戸村図」を見たときに、把握できないものを見てしまいました。

 上高井戸村、下高井戸村を東西に貫く江戸道(府中道)という道です。従来、江戸から西への主要な道は、新宿追分で分かれる甲州街道(甲州道中)と青梅街道の2つだと思っていましたが、その中間に別の道が存在したことになります。

 大宮八幡の近くを通っているというヒントから、この道を現在の地図上で特定してみました。

 そう……。大宮八幡の近くを府中道という道が通っているのです。

 もちろん、府中道とは府中に通じる道です。

 つまり、府中と勝利神社のラインが繋がっているだけでなく、府中と大宮八幡宮のラインも繋がっていたわけです。

 上記の文章の文脈では、江戸時代の江戸住民が大宮八幡宮に参拝する道というニュアンスが濃く、府中との関連性はあまり意識していませんでした。しかし、江戸に徳川家康が来る前の状況を想定すれば、当然府中との結びつきの方が重要であるはずです。

感想 §

 平安時代のこの地域の状況は、何の取っ掛かりもなく何もイメージできませんでした。しかし、少しだけイメージが掴めそうな予感。

余談 §

 上記文章からリンクされている街歩き・その2 「古府中道と滝坂道」(上北沢 ~ 粕谷)の最初のページにある写真ですが、最初、私の知らない場所だと思っていました。しかし、よく確認するとあそこじゃありませんか! 何回も歩きましたよ! そうか、あれが滝坂道であれが古府中道だったのか!

追記 §

 今日は、世田谷文学館・没後5年 宮脇俊三と鉄道紀行展で宮脇俊三と北杜夫が松原に住んでいたと知ったことと、上記の勝利八幡神社の件で一人で盛り上がって、行うはずだった仕事の大半に手を付けられませんでした……。とほほ。

 しばらく面白いことを見ないようにして、仕事に集中しなくては……。

 ちなみに上記の話は、現甲州街道ができる前の主要道路は府中発の大宮八幡神社経由と勝利八幡神社経由であって、下高井戸は主要道路が通らない村だったことを意味します。しかし、神田川は通っていたと思われます。水があれば農業ができるので、村としては成立していたのだろうと思います。

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